10個入りパックの卵買ってみて自炊頑張る宣言をする いつだって賞味期限のギリギリに味玉を作ろうともくろむ 卵焼き巻く工程に人生を当てはめてみる終わりよければ どうせ見えない内側を少しでも良くなりたくて取るタンパク質 ちょうど良い半熟具合の目玉焼きつぶすところが大サビになる
モーニング行きたい店を津々浦々書き溜めてなお選んだ二度寝 タマゴサンドウィッチと熱い珈琲が遠ざかってく水曜の朝 もうここに平穏はない出勤前キッチンだけは未来を信じる トーストとベーコンの焦げ目度合いはこの世で1番自我を表す もう厚切りじゃなくていいと気がついた朝はいつでも少しかなしい いつの間に上手くなってる半熟が少し嬉しくなる朝である
アスファルトまでまるで私のようで乾いた心踏み躙られる 欲望は形で言うならば液体千円高い乳液を買う 満たされぬ心を砂漠に例えてひとまずポカリスエットを飲む 欲しがっている私こそ本物で汗も涙も皆宝物 もう二度とあなたの夢は見たくない時計の針を右に回して
毎日をルーティンにするコンビニも右足入店おにぎりコーナー ツナマヨは三角よりも丸い気分たぶん私は今甘えたい アイスコーヒーのサイズを一段階大きくさせて戦闘モード 買うつもりはないけど一応覗き込むアイス売り場のハーゲンダッツ レジ横の思わず買ったチロルチョコ思うがまま開ける通勤路
チョコよりもシャリシャリ系アイスを求む口で感じる夏の訪れ 選ぶ側が見てる景色はカラフルでサディスティックであって然るべき 30円高い味より先輩が選ぶ抹茶が大人に見える 浮き輪から卒業したい一心でばたつく足が駆けてく未来 何度目かの夏、たしか、あったはず、デジャビュな夏が誰にでもある
生ぬるく口溶けのよいため息で付け入る隙を見つけてしまう とめどなくこぼれる涙塩辛く修司は海と表していた 泣いて泣いてまだ腫れる前の瞳が閉じて気づいた後悔がある 標準語を覚え得意げに笑ったあどけなきひとの残す嗚咽 明朝はモカ珈琲を飲むために君より早くこの部屋を出よう
夜向かう会社の通勤経路には見たことのない道のりがある 変わる街並みがホントは見えている車窓に映る眠たいニキビ ビル群の静かに照らす明かりこそ東京らしい人のぬくもり いつも寄るパン屋に降りるシャッターが異世界感を演出しだす 夜ふかしは悪いことして生み出した世界であった確かにあった 少女時代夜の女王になれる気がしてた名残に飲むホットココア 検索すればわかった気がしたあの日の東京はまだ異世界だった
ただ心地良いのが理由ではなくて言い訳になる虚しさばかり 春の夜の控えめに吹く風こそがひとを生かして生かされている お揃いのアラーム音が焦ってるおそらく上に住む大学生 斜め上からみたベランダの景色ばかりこころに焼き付けている 生ぬるい気温に優しさのように寄り添う春のやわらかな風
理不尽に耐えることより教育と称して肯定される悔しさ タガが外れぬ性格で損をする想像ならば異世界ならば 物語にするな ただの逃げだから心を踏みにじるだけだから 傷をうつくしいものだと君だけには何が何でも言われたくない どんな事情だって私が傷ついていいものはないあってはならない
幾度となく重ねぞろりと並びゆく5分置きに設定せしアラーム コーヒーを避けてそのままハイボール取ろうとせし右手を諌める 「寝る方法」検索せしスマートフォンの画面が発せしブルーライト 起きられぬなら寝まいとす吾に突如襲い掛かりしわがまま睡魔 寝ることは起きる姿を心から信じるための訓練である
早く来てほしい週末絶対に決めてやりたい夜ふかし二度寝 いつもより拡張されてる気がするコンビニの中ただ迷子である 食べたいものがわからないもう一生出られないのかセブンイレブン 食欲を駆り立てるのは記憶より写真なのだと伝えるPOP ステンレスボトルを洗う明日もまた生きようとする私だけいる
遠く遠く離れた君をラーメンか回転寿司に連れて行きたい それぞれの毎日がある人生がある未来があるただそれだけ 気がつけばいつも決まってシャリハーフ変わる私にどうか気づいて 豊富すぎる回転寿司のサイドメニュー ケーキ揚げ物なによりラーメン ただ無性に回転寿司のラーメンの味程度の相談がしたくなる
教科書に郷愁を覚える今はただただ未来ここが未来だ 知らないでいられることは幸せのひとつなのです生き方なのです 夢を見ることは悪ではないにしろ恥であるかもしれない4月 物事を知ることが諦めであるとイコールにだけはしたくなくて 恥をかけ今しか出来ぬ夢を見ろ幸せをただ享受してみろ
会えなくてつらい でも期待した私世界で一番可愛い気がする 特別な一番欲しい唇で発する「好き」が手に入らない 概念で恋をしようよ 支配までされず乗り込む満員電車 何もかも私の敵に見えてきてマスクの下で出す赤い舌 宝くじぐらいの可能性賭けてパックしている私も好きだ
泳ぎたい飲料水ランキングなら1位カルピス2位レモンサワー まみれたい粉の調味料ランキング1位は圧倒的に青のり お隣のテーブルに聞く仕事論喋らぬ喉を湿らすサワー 白熱する仕事談義のお隣でひとりじめする大盛りから揚げ たっぷりとレモン搾ってマヨネーズつけて味わう自由の象徴
