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【ひよわな校長の処方箋67】次へつなげる学校

 校長は退職か転勤でいつか変わってしまう。何か新しいことを始めても、次の校長が受け継がなければ元に戻ってしまう。何かを改革しようと思ったら時間をかけて学校の文化になるように浸透させなくてはならない。
 しかし校長の任期は短い。だからこそ、着任したらすぐに自分が信じる教育に取り掛からなくてはならない。「1年目は様子を見て」などとは言っていられない。
 まず、経営の柱となる学校教育目標が古くて時代に合わなかったり、マンネリ化していて心に響かなかったりしたら最初に変えるべきだ。
 ただ、組織や具体的な取組などは、この学校の文化として根付いているものが多いので、それらを生かして学校教育目標の具現化を目指していく。学校には文化的な「つながり」があるのだ。
 教育は目に見えるものを製造していない。形あるものを残さない。教師が与える知識はもともとあったものだし、経験や思い出も形としては残らない。では教師は何を残しているのだろう。
 それが「つながり」だと思う。教師は授業や子どもたちとの生活を通して「つながり」を残している。つながる知識、つながる学び、つながる思い、つながる命。その子からつながって広がってゆく無限の樹形図を創造しているのだ。
 日々の営みが積み重なって「つながり」が作られてゆく。教師自身の名前は残らないが、「つながり」は残る。そのつながりの中に教師の「生きた証」が刻まれている。
 学校の取組はそうやってつながってきたし、これからもつながっていく。そこに新しい発想や、創造された工夫が差し込まれながら進化していく。
 校長はその「つながり」を大切にした中で、今の時代と未来を読み取り、社会や自分が信じる教育を進める。その柱が学校教育目標である。
 以前の勤務校には、100年以上続く校訓が二つあり、その精神は教育にとって本質的で、不変的なものであったので、その2つの校訓を組織と関連させた学校教育目標を作った。
 今の勤務校では、前年度の学校教育目標の中に大変多くの理想が詰め込まれ、過去の歴史の中で肥大化してきた様子がうかがえたので、わかりやすく、10文字の一文にして、別に3文字の合言葉を作った。「受ノ心」である。
 それぞれ4月1日に時間をかけて説明し、校務分掌の図を使いながら、前年度までの組織や取組にこの目標がどう関わり、どうつながるのかをプレゼンした。
 学校は、そんな「つながり」の中で未来を創っている。

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