はせべコラムvol.4 スパイダーマンシリーズをみれば近代のヒーロー映画に求められる要素の変化がわかるという話

社内向けに書いてる自分のつぶやきを転載します。

テーマは「スパイダーマンシリーズをみれば近代のヒーロー映画に求められる要素の変化がわかるという話」についてです。                よかったら読んでみてください。

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スパイダーマンシリーズをみれば近代のヒーロー映画に求められる要素の変化がわかるという話。
※ネタバレ注意です
近年はヒーロー映画がハイコンテクスト化していると思いますが、最近公開されたスパイダーマンもまさにでした。
なんでハイコンテクスト化しているかと思ったかと言うと理由は2つあります。


①近年のハリウッド映画の特徴であるワールドビルディングという手法のポピュラー化
ワールドビルディングとは、従来の映画のスタイルであったひとつの作品で起承転結をつけるという手法とは異なり、
あらかじめ大域的に世界観を設定しておき、その中に適度に「謎」を読み込める「余白」を散りばめる、というスタイルのことをさします。
マーベル映画がこの手法をとり大ヒットしてますね。
この手法が実現できているのは様々な要因があります。単篇映画の受容度の低下(一つの映画だけで面白さや没入感を与えるのが難しくなってきている)、シリーズ化することで、ある程度固定ファンの来場が見込める(その代わり新規ユーザー獲得のハードルは高いが、それはネトフリやディズニー+などのOTTによって簡単に過去コンテンツが見れるようになったので、CACが安価になった)等々、マーケティング観点で語るときりがないのでやめますが、いろいろあると思います。
ベンアフレックも言ってましたが、こうなると将来的に映画館は単篇映画は少なくなり、MCU等の映画しか上映されず、今までのシリーズのコンテクストを理解したユーザーしか訪れなくなり、
映画料金は高騰し、映画という視聴体験はもはやイベント化してしまうという恐れがありそうだなと感じています。3D技術を使ったCX最大化の方向性にいくこともありえそう。


②物事の描き方、ヒーローの在り方が一元的ではなくなってきてたり世の中の情勢も知っておく必要がある?
これはスパイダーマン1と比較するとわかりやすいです。
ヒーロー=正義、強い、なんでも一人で解決しちゃうみたいなイメージがあるかと思いますが、近年はそういう描かれ方はされなくなってきています。
新作スパイダーマンも、困難が起きた時に自分で解決するのではなく、周りの皆に助けを求めていますよね。
また、「ドントルックアップ」でも描かれていましたが、アメリカの近年問題になっているキャンセルカルチャーなど風刺がきいた表現が多くなってきています。
他にも人種や性別等、多様性ある社会を意識した表現も随所に見られます。
(書いててめんどくさくなったのでここのパートの細かい言及は避けますw)
以上のことから、アメリカのヒーロー映画はハイコンテクスト化し、従来のヒーロー映画の在り方から再構築されていると感じています。
ハイコンテクスト化することで、読み手のリテラシーも問われる時代になってきたということですね。
そういった意味で、エヴァの庵野さんが描くシンウルトラマンとシンカメンライダーは近代の日本を踏まえてどう日本のヒーロー映画を再構築するのかが今から楽しみでしかありません。
話は逸れますが、これ考えてたらそろそろMCUシリーズはOTT上のデータを使えば興行収入予測モデルを作れるのではないかと思ってきました。
映画の興行収入というのは外的要因の変数の大きさや、来場者データの繋ぎ込みが困難なので、どうしても公開してみないとヒットするかどうかはわかりませんが、OTTでのデータを読み取ればそれが可能になるかもしれません。
おそらく戦略コンサルがそういうモデルをすでに提案してそうですが個人的には興味深いテーマです。

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