ウタをめぐる冒険。〜郡上白鳥 2017初夏〜 その2

郡上白鳥、唄をめぐる旅の第2回目です。更新が遅れてしまいすみません。いつの間にやら、盆シーズンを越してしまいました......

運命に導かれるような1日目が終わり、2日目。この日はそもそもの旅の目的だった「なっきお」さんのお囃子グループの踊りイベントに参加する日です。と、その前に前日、白鳥のヤバい楽器店「上田楽器店」のお母さんに、「時間があったらお茶でも飲まない〜?」と誘われていたので、まず午前中はお母さんに会いに行くことに。

駅前の白鳥おどり像をさするメンデルさん(左)とすけちゃん(右)。

駅前広場に向かって、昨夜の唄講座と拝殿踊りでも顔を合わせた太田さん(東京の郡上〜白鳥系の踊りイベントでよくご一緒する方。のらぼん主催の踊り会にも頻繁に顔を出していただいている方)と合流し、上田楽器店へ。「お邪魔しますー」と店の前で声をかけると、ひょっこり顔を覗かせたお母さんが「じゃあついてきてー」とおもむろに自分の車に飛び込み発進。「ヤバい、早くついて行かないと!」と焦って我々も車に飛び乗って、追走します。

上田楽器店のお母さんとのスペシャルすぎる秘密のお茶会の後、白鳥の町に別れを告げて、我々は次の目的地へ。そうです。今回の旅をコーディネート?してくれた、なっきおさんの元へ!

文章って本当に便利なもので、一気に場面が飛んじゃいます。はい、ここが次なる盆踊り会場。なっきおさんが所属する郡上おどりや白鳥おどりのお囃子演奏グループ、踊月夜(よづきよ)さんの公開練習会が開催されるということで、岐阜県の多治見にやってきました。「公開練習会」という名前の通り、実際に踊月夜さんは盆シーズンには地元のイベントに参加して、盆踊りの演奏をやられているのだそうです。この日はシーズン前のリハーサルを兼ねての開催とのこと。出店などはない、純粋に踊りだけを楽しむハードコア盆踊りです。到着すると、すでにお囃子がスタートしていました。わわ、踊らなくては! なっきおさんにご挨拶をして、早速踊りの輪に加わります。

ってか、演奏のレベルたけえ! はじめて目の当たりにする踊月夜のクオリティの高いお囃子に驚きます。この日は天からの殺意を感じるほどの猛暑だったのですが、暑い!暑い!と漏らしながらも、楽しくて踊りが止まりません。郡上おどりはもちろん、公式のお祭り以外でこれだけ白鳥おどりが踊れるイベントってないんじゃないでしょうか。しかも、生のお囃子ですぞ!

郡上おどりが好きな方には、意外に白鳥おどりが分からない人って多いんですよね。というわけで、白鳥の曲が演奏されると皆んな踊れる人を探してキョロキョロしだすわけなのですが、そんな中、なぜか東京から来たわれわれが全体をリードするぐらいの勢いで猛烈に白鳥おどりを踊っている状況。かなりカオスです。セットリストをすべて消化して、アンコールの段になった時も「神代!」という声が真っ先に出て、白鳥おどりのキラーチューン、神代が再び演奏されるという事態に。生のお囃子で神代が二回も踊れて、本当に満足です。踊月夜のみなさん、本当にありがとうございました!

あっという間の二日間。まさにマジカルミステリーツアーだったわけですが、帰りの車中でもわれわれ興奮冷めやらず、みんなで郡上や白鳥の歌を大合唱している始末。この歌が終われば旅も終わってしまうんだ......そう思うと、切なくてシンガロングが止まりません。嗚呼......。

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踊り以上に、唄の魅力に触れることができた旅でした。いやね、私、正直言って昔からめちゃくちゃオンチなんです。できれば人前では歌いたくないし、カラオケなんて誘われても絶対に行きたくないなー、行っても隅っこでタンバリンしゃかしゃか鳴らしていたいなーというタチで、それは今でもあまり変わらないのですが、かつて盆踊りが苦手で、今では人前でガンガン踊るように変化したのと同様に、郡上白鳥を訪れるたびに「唄」という文化に惹かれている自分がいます。ちょっと、歌詞を覚えて小唄を出してみようかな〜、拝殿で歌えたらいいな〜って思い始める自分がいるわけです。

本当にこの土地には多くの唄が残されています。そして、その唄に対する情熱がちょっと尋常じゃない、という印象を受けます。神社の拝殿に地元の人や、外部の者たちが集まり、神様を迎える文句や、他村の人間を迎える挨拶まで、すべてコミュニケーションが「唄」を通じて交わされる。神聖な唄に心静まり、小粋な唄に唸り、下世話な唄に盛り上がり、いわゆる「唄盃」が交わされていく。替え歌があれば、即興の唄があり、唄の連携もある。唄で遊ぶ文化がこれほど豊かな土地も他にはあまり残されていないのではないでしょうか。

何より僕が好きなのは、唄の歌詞に宿った、昔の人たちの生活や思いです。かつての農作業や恋模様がしのばれる歌詞を現代の人が唄うことで、いまはもうこの世に存在しない人たちの存在がありありと息を吹き返して、時間や空間を超えて、大いなる流れの中に自分が同期していくような......ややスピリチュアルな表現になりますが、そういう一体感のようなものを得ることができる。不思議なものですが、確かにそのような実感があるんです。

ウタを巡る冒険はこれからも続いていきます。次はどんな唄に会えるだろうか。どんな人に会えるだろうか。ともかく楽しみで仕方ありません。


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小野 和哉

盆踊りデイズ

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