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アメリカのサイバー攻撃の「前科」

6月20日のイランによるアメリカのドローン(無人偵察機)撃墜への報復として、トランプ大統領は実際の爆撃の代わりにサイバー攻撃を命じた。イラン側は、被害を否定している。実情は不明である。しかし、アメリカはオバマ政権時の2010年に既にイランに対してサイバー攻撃を実施している。これはイスラエルと共同で開発したスタックスネットというマル・ウエアでイランのナタンズのウラン濃縮施設を統御するコンピューターを誤作動させた。結果として多数の遠心分離装置を破損させた事件である。

それまでもコンピューターに侵入して情報を盗んだり、データを破壊したりする前例はあった。しかし、これは物理的な被害を起こした最初の例である。このスタックスネットによる攻撃は歴史に残るだろう。

またイラン核合意の成立した翌年の2016年にアメリカで公開されたドキュメンタリー映画「ゼロ・デイズ」のなかでアメリカの諜報関係者がオバマ政権のイランに対する大規模なサイバー攻撃計画について語っている。これには「ニトロゼウス」という作戦名がつけられており、イランとの交渉が不調に終わった際には発動される予定であったとされる。こうした経緯を踏まえると、今回のアメリカのサイバー攻撃は依然から周到に準備されていたものと推測される。


写真はトランプ大統領

Gage Skidmore

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Donald_Trump_(5440995138).jpg

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