見出し画像

うつ病が治らないのはどうして?

うつ病は治らない原因は色々とあると思います。
今回はうつ病が治らない原因を考えてみようと思います。
今治療をしている方、うつ病で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。


①うつ病が治らない原因:抗うつ薬が合っていない可能性がある。

うつ病の治療は抗うつ薬がメインです。抗うつ薬にはSSRI、SNRI、NaSSAが保険診療上適応が通っております。
抗うつ薬の一覧を下記に示します。

皆さんが内服している薬はありますでしょうか?
この薬がない場合は基本的にはうつ病の根本的な治療にはなりません。
他に三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬はあります。
しかしながら最近はあまり使われていないです。図の薬で効果が乏しい場合は使われる場合はありますが最初に使うことはまずないと考えてください。例外的にはトラゾドン(デジレル、レスリン)、ミアンセリン(テトラミド)は睡眠薬の代わりに使われることがあるのでもしこの薬が入っていても大丈夫です。
一般的にはそれ以外の三環系、四環系抗うつ薬はいきなり最初に使うことはないのでもし自分の薬がそうで合ったときは一度主治医に理由を聞いてみるといいかもしれません。効果としてはSSRIやSNRIに比べて三環系、四環系抗うつ薬は強い場合があるのでその辺りを考慮して処方されているのかもしれません。
SSRIとSNRIは少し違いますが基本的には保険診療上で使う場合は大きな差はありません。
NaSSA(ミルタザピン)はSSRIやSNRIとは別の機序の抗うつ剤であるのでSSRI or SNRI+NaSSAという使い方もされていることが多いと思います。

②うつ病が治らない原因:うつ病の増強治療が治療が合っていない。

うつ病はなかなか難治的な場合があり、上記に書いた抗うつ剤だけではうまく改善が得られない場合があります。3−4割くらいの方は抗うつ薬で十分な改善が得られないとされています。
その場合は抗うつ薬+抗精神病薬で治療する場合があります。抗精神病薬は統合失調症の患者さんで使われる薬となっています。抗精神病薬を少量使うことでうつ病の改善が見られることがあり保険診療で認められている治療となっています。保険診療で認められていて代表的に使われている薬剤としてはアリピプラゾールやレキサルティがあります。アリピプラゾールでは3mgが至適な容量で、レキサルティに関しては0.5-1mg程度が至適な容量とされています。皆さんのお薬手帳にこの薬があればうつ病の増強目的で使われている薬剤ということになります。まずは増強だとこの薬剤を使われることが多いと思います。クエチアピン、オランザピン、ハロペリドールなど他にも抗精神病薬はたくさん種類がありますが保険診療上はうつ病には適応が通っていません。なのでそれ以外の抗精神病薬が使われている場合はあなたの病名がうつ病と別の疾患の合併かそもそもうつ病ではない可能性があります。その場合は、一度主治医に病名を聞いてみるといいかもしれません。絶対使わないというわけではなく海外では他の抗精神病薬もうつ病の増強に使われていることはあります。
薬を使わないうつ病の治療としては他にはECTやrTMSが挙げられます。
ECTは簡単にいうと電気ショックのような治療です。大きな病院で入院で行われている治療となります。手術室で行われることが多く、全身麻酔で入院で行われる治療となります。希死念慮が強くて治療を急ぐ場合や抗うつ薬で改善が得られない場合は適用となることがあります。電気ショックと聞くとすごく危ない治療のように感じますが基本的には安全性が高く、効果の高い治療となります。
抗うつ薬よりも効果が高いとされています。ただ一度ECTで改善が得られた場合もしばらくすると効果が落ちてくることがありその場合は維持ECTと言って再度入院して継続してECTを行っていく必要が生じる場合があります。

rTMSは頭に磁気を当てることによって磁場を発生されて電流を流す治療となります。2019年に日本でも保険診療が始まった比較的新しい治療となります。とはいえはアメリカでは2013年より治療が行われている安全性が確立されている治療となります。アメリカではまずは薬剤治療でうつ病が改善しない場合はrTMSが第一選択となります。r TMSの治療のメリットはECTと違い全身麻酔などを行わなくても治療ができ、基本的には外来でも治療できるほど負担の少ない治療の点です。ただ現状の保険診療上は入院での治療のみ認められているためにあまりメリットを活かしきれていないところはあります。現状だと1日60分を8週間を入院にて行う治療のみ保険診療で認められています。ただ自由診療ではシータバースト刺激と言って3分半で終わり効果も60分の場合と同等の治療を受けることができます。なのでもしrTMSを受けてみたいけど入院するのは嫌だったり、時間に余裕がない方は自由診療のrTMS治療も検討してみるといいかもしれません。効果としては日本のデータだと薬剤が効きにくいうつ病の方の60-70%に効果があるとされています。
完全な寛解まで行く方もいます。ただ1年程度するとrTMSも効果がなくなってくる場合がありその場合は保険診療では追加のrTMS治療は認められていないので一度rTMSで改善した方を今後どのような治療を提供していくかは今のところはっきりとしていません。

③うつ病が治らない原因:そもそも診断が間違っている可能性がある。


あなたのうつ病が治らない原因としてはそもそも診断が異なっている可能性もあります。
例えば双極性障害のうつ状態とうつ病はほぼ全く同じ症状を呈します。時間経過を見ていき躁状態があるかどうかを判断していかなければ見分けはつきません。人によっては双極性障害のうつ状態から始まりその後躁状態となる方もいます。その場合だと最初の診断ではうつ状態あるいはうつ病としか診断できず、うつ病に準じた治療が行われるために躁状態を誘発してしまうかあるいは治療を行っても改善が見られないことがあります。双極性障害とうつ病の薬は異なっていることが多いためにどちらか診断が異なっていると改善が得られない場合もあります。診断も難しいためにもしうつの改善が得られず自分の診断が正しいか不安な場合は思い切って別の精神科の先生に話を聞いてみるのがいいかもしれません。特に精神科の分野は医師によって判断や診断、治療方針が異なることがあるので他の医師の意見を聞いてみる価値はあると思います。他にもうつ病の背景に発達障害(ASD、ADHD)、知的障害、パーソナリティ障害が隠れていたりするのでそういった疾患を併発しておりうつ症状が良くならない可能性もあります。

今回は以上となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

X(ツイッター)でも発信しています。よろしければご覧ください。
https://twitter.com/kazu11310

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?