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コピペの歴史 - その意味から操作方法まで

コピーアンドペースト、またはカットアンドペーストというのは、テキストであるとか表示されているオブジェクトを、他の場所に移動または複写する操作です。

コピーアンドペースト

その歴史は後で触れるとして「コピペ」という単語は、最初はテンプレート的なテキストをコピーしてから必要な部分を埋めて使う場合の言葉として使われ始め、それが徐々に既にある情報をそのまま自分のモノとして使うことを指すようになっていきました。

アナログな時代に「丸写し」という言葉があったのですが、デジタルな時代の丸写しのことをコピペが意味するようになりました。アナログな時代の丸写しは、写経ではないですが、1文字づつ手で文字を書いていくという労力があった(当時からそんなのは無意味とは思っていました)ので、レポートなどでも意味があると解釈されることもあったのですが、コピペは中身を読む必要すら無く、キーを数回叩くだけで出来てしまう(それが素晴らしいところなのですが)ので、なにかを盗んだかのような悪い意味も付いてきます。

そういえば、その狭間の時代にはコピー機でコピーした紙から必要な部分を文字通りハサミで切り出して紙に貼り込むという「切り貼り」というのもあったのですが、こうなると意味的にはコピペそのものですね。ワープロの普及とともに、これらの意味を持ち始めたようですが、決定的なのはパソ通の掲示板などで人の書いたものを引用の形式を取らずに使った場合に「コピペ」だと言われるようになってからだと思います。

さてさて、そんなコピペの歴史をたどってみましょう。この呼び名と使い方が広がったのは1984年に発売されたMacintoshの標準的なGUI操作に使われるようになってからですが、その歴史はクリップボートという仕組みが考えられた時代に遡るようです。

Classic Mac OS

クリップボード

つまり、テキストなりオブジェクトを一時的に複数のプログラムやアプリケーションから呼び出せる共有メモリに入れて、データをやりとりしようというところが出発点でした。この操作に1973年に「カット」「コピー」「ペースト」という名前をつけたのがラリー・テスラーで、彼がXeroxのPARCでGypsytというワープロソフトを取り組んでいる時に、これを導入したのが始まりのようです。

ラリー・テスラー

Gypsy (ソフトウェア)

Alto

このように「コピペ」という操作はGUIとともにやってきたのですが、クリップボードのようなカットバッファとも呼ばれる概念や操作は、viやemacsのヤンクバッファでも使われており、最初のワープロである1978年にリリースされたWordStarでもブロック移動、ブロック複写というコマンドとして似たような機能は実装されていました。ただ、これらにペーストという単語は使われていません。

バッファは基本的にはひとつしか無いのですが、viのヤンクバッファには名前をつけて複数のバッファが扱えますし、最近のWindowsにはバッファ履歴が保存されていて、最後以外のデータからもコピーが出来るようになっています。

操作方法としては、まず範囲を指定してコピーするのであればCTRL-C(MacだとCmd-C)、カットであればCTRL-X(MacはCmd-X)、そして別な場所に移動してCTRL-V(またはCmd-V)とすればペーストされるだけの簡単なお仕事です。どうしてこれらのキーが選ばれたかには諸説ありますが、コピーですからCが分かりやすいですし、Xは消す意味が薄っすらとありますから、あとはキーの位置が近いVが選ばれたのは納得できるところです(近くにあるCTRL-Zが最後の操作のキャンセルなのが、便利なのか危険なのか)。

ちなみにWindowsに関しては、OS/2から引き継いだ操作方法であるShift+INSでコピーでCTRL+INSでペーストが基本で、未だにOS内部の処理としては、こちらがベースとなっています。CTRL-CやCTRL-Vはアプリケーション毎のショートカットキーで実装されています(正式な操作はメニューの編集-コピーなどなので、ALT+E Cなどになる)。ということで、普通はコピー出来そうに見えない読み出し専用のWindowsオブジェクトなんかでも選択さえできればShift+INSで内容をクリップボードに取り込めることがあったりします。INSキーって本来は挿入モードと重ね書きモードを切り替えるものなのですが、だいたい挿入モードしか使いませんし、使わない人には縁の薄いキーですよね。

挿入キー

最近のWindowsはマイクロソフトのクラウドサービスを使って、クリップボードをPCをまたいで共有する機能が追加されて、その関係でクリップボード操作が微妙に変更になっています。そのためWindowsキーを併用する方法もあって、少しばかりややこしくなっています。履歴は便利なんですけどね。

クリップボードのアイテムを別の Windows 11 デバイスと共有する

しかし元になるテキストを自分で探してきてコピペするのは、もう原始的な方法で、クリップボードの中身を覗いて生成AIが勝手に解釈して解説や画像を用意する世の中になって、もはやペーストしかしないご時世が近づいてきているような気もしてきています。いやはや。

ヘッダ画像は、Copilotに描いてもらいました。

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