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MSX-DOS - 実はCP/Mのプログラムが走ったんです

MSXもMSX2に進化した時代には、もうフロッピーディスクの時代が来ていました。規格を検討していた時代は、まだ3.5インチはあまり出回っておらず、5インチもサポートするかどうか議論されたようですが、結局3.5インチ2DDを基本とするように落ち着いたようです。当初はFDDを内蔵している機種も無かったので、ROMカセットにBDOSと呼ばれるシステムコールの入ったルーチンを用意して、ここに外付けFDDを接続していたようですね。

さて物理的に接続できるようになったとしても、ソフトウェアのサポートが必要です。まずMSX-BASICにディスクを扱うための命令を追加します。他のMS製DISK-BASICとほぼ同じ内容です。DOSコマンドに相当するCALL命令もいくつか追加されています。特殊なものとしては、VARPTRくらいかな。

1.2 MSX DISK-BASICの命令

http://ngs.no.coocan.jp/doc/wiki.cgi/TechHan?page=1%2E2+MSX+DISK%2DBASIC%A4%CE%CC%BF%CE%E1

MSの世界ですから、DISK-BASICだけでは満足できません。当然MS-DOSのようなDOSも欲しいです。そこでMSX-DOSと呼ばれるDOSを開発し1983年にリリースしました。コマンドなどのDOSの仕様としてはMS-DOSコンパチブルなのですが、CPUがZ-80なので中身はCP/Mです。システムコールは、これと互換性があり(1.4相当)、CP/M用のプログラムを動かそうと思えば動かせたようです。ファイルシステムとしてはFAT12なのでデータファイルはMS-DOSとやりとりすることも出来ました。

MSX-DOS

1章 MSX-DOSの概要

http://ngs.no.coocan.jp/doc/wiki.cgi/datapack?page=1%BE%CF+MSX%2DDOS%A4%CE%B3%B5%CD%D7

当初は低価格帯PCであるMSXに高価なFDDを使うような人も少なく、ディスクを活用するようなアプリも無かったので、普及のテンポは決して早くはなかったのですが、徐々に本体にFDDを内蔵するような機種も増えてゆき、本体のメモリも増えるに連れディスクをより活用できるようにする必要性に迫られてきました。そこで1988年にはMSX-DOS2と呼ばれるバージョンを発売しました。MS-DOS2.11とほぼ互換性があり階層化ディレクトリやリダイレクトなども可能となり、RAMディスクのサポートも行われるようになりました。

MSX-DOS2ファンクションコール一覧

WebMSX

まだまだMS-DOSは16ビットPC用ですからビジネスPC向けで、家庭用PCでディスクを使っている人は少ない時代です。ここに本格的なDOSを使えるようにしたのもMSXの功績の一つと言って良いのかもしれません。MSX2後半からですがFDDも使え漢字も扱えるようになり、ようやく日本でもパソコンが実用的な用途へ踏み込んでいきました。もっとも先に台頭したのは「ワープロ」で残念ながらMSXは、やはりメインストリームにはなれませんでしたが。

世界のOSたち - 国民的8ビットコンピューター「MSX」を支えたOSたち

ヘッダ画像は、以下のものを使わせて頂きました。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MSX-DOS_and_MSX_Home_Office,_MSX_Designer_Floppy_Disk.jpg
By Micha - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=130884855

#MSX #MSXDOS #FDD #DOS #互換性

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