見出し画像

ピーガーピロピロ - モデムで通信できるまでの道のり

電話線に電話ではなく何らかの装置を繋ぐ通信の世界がFAXから始まった記事を前に書きました。

ファクシミリって、FAXのことなんだけどさ

そこにも書いたのですが、その昔は電話網に何らかの装置を接続することは自由には出来ず、必ず公社の認定した装置を公社を経由して設置し接続し利用するという手順が必須でした。これは通信だけが特別なのではなく、上下水道や電気、ガス、無線そして道路(公道)でも自由に使うことは出来ず、何らかの法律や規制をクリアしたものだけが利用することが出来るのは今でも変わりません。もちろん通信が自由化されたと言っても好きな装置を自由に接続して使えるわけではありません。

通信自由化

(1)通信自由化の背景と1985年改革の概要

通信自由化から30年、10年ごとに起きた3つの変化から将来を展望する:篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(56)

このような制約があったので、電話線を使って通信をするにも、直接、何らかの装置を接続することは出来ず、普通の電話機にマイクとスピーカのついた「音響カプラ(音響カップラ)」という装置を括り付けて通信をしていました。

音響カプラ

デジタルな信号を送受信するのに、わざわざアナログな音に変換してから、それをデジタルに戻すなんている手順が必要だったのです。それに受話器に謎の装置をマジックテープとかで縛り付けて使っている姿はよく考えれば少しばかり滑稽な風景です。

ただ、この方法はモジュラジャックといった端子が用意されていない、どこにでもある電話機を使って通信を行うことができるので、モデムという電話線に直接接続できる装置が使えるようになってからも、しばらくは活躍していました。公衆電話もISDNが普及しグレ電と呼ばれるモジュラジャックが着いているタイプ(なぜか端子の部分にガムが突っ込んであることが結構あった)が増えてくるまでは、モバイルな通信には必須の道具であり続けました。

懐かしの通信機器「NEC PC-8268 パーソナルカプラ」

懐かしの通信機器「ジャストシステム ハンディカプラJS-HC002」

モバイルに関係なくても、オフィスなどで使われているビジネスホンの端子は形状が同じに見えても少しばかり一般の電話と異なるところがあって、モデムを接続できない(出来たように見えても通信できない)こともあり音さえ通せれば通信できる音響カップラが活躍する場は結構、多かったです。

黒電話でインターネット

こういう時代でしたから、パソコンで電話を使って通信をするというのも、なかなか大変でした。言ってみればテレビの音を録音するのに、ラジカセに付けたマイクをスピーカに貼り付けているようなものですから、周囲で大きな音がすると文字が化けるなんて言う事態もあったわけです(特に公衆電話だと)。

モデムと呼ばれるパソコンと電話線を直接繋ぐ装置が使えるようになって、通信もかなりお手軽になりましたが、それはそれで電話回線を専有してしまい、電話をかけてきた人には話中にしてしまうわけですから、あまり長く通信していると、相手であるとか家族に苦情を言われるわけです。また当時、普及し始めたキャッチホンというサービスを使っていると、通信中であるにも関わらず通知音が入るので、やはり文字がバケバケになりダウンロードに失敗するなんて言うことになるんですね。

こうして通信で電話を使うようになると、もともとアナログな電話回線なので、そのアナログ特定のバラツキで通信速度が速くできなかったり、他所の回線の信号(会話)が漏れてくるなんていうことも、アナログ時代は珍しいことでもなかったので急に通信が切れるなんて言うことも結構あったんですよね。

こんな通信環境でも離れたところにある他のコンピュータと接続できるという魅力は大きく、通信はパソコンの使い道の一つとなりました。最初は大型機であるとか、特定のひとつのコンピュータと繋ぐだけだったのですが、多くのパソコンを接続して、データベースであるとか掲示板などが使えるパソコン通信というサービスが始まることで、これを使うためにパソコンを使うということが増えていきました。

パソ通の話もいろいろあるのですが、その前にアナログ回線で苦労したアレコレもいろいろあったなぁ。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:音響カプラ.jpg
投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=122872197による

#通信 #通信自由化 #音響カプラ #パソコン通信 #モデム #アナログ回線

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?