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東芝のMSX HX-10/20/21/22

東芝のパソコンについては

PASOPIA - 東芝の参入

PASOPIA7 - 東芝の悩み

あたりに書いたのですが、その素晴らしいスペックにも関わらず、いろいろな意味でタイミングを逸した感が強く、それなり程度しか売れていませんでした。そこで少なくとも家庭向け8ビット機はMSXに合流することにしたようで、PASOPIAを冠したMSX機であるHX-10(PASOPIA IQ)を1983年に発売します。

MSX機に良くあるハイロー戦略で16KのRAMしか持たないHX-10Sと64K積んだHX-10Dの2機種があります。それぞれ筐体には赤と黒があったようですが、デザインとしてはほぼ同じに見えます。

Toshiba HX-10

Toshiba HX-10S

Toshiba HX-10D

東芝はかなり本気だったようで、キーボードとテレビ出力をカスタマイズしたヨーロッパのいろいろな地域向けの機種も出しています。MSXとしては標準的な構成で東芝の独自性は見られませんが、キチンと拡張性について考えられているように感じます。

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翌1984年前半には、HX-10SA,HX-10DP,HX-10DPNというマイナーチェンジ版を投入しています(カラバリとビデオ出力が異なる)。

Toshiba HX-10SA

Toshiba HX-10DP

Toshiba HX-10DPN

その後、同じ年の後半にはHX-20,HX-21,HX-22を投入します。これらの機種はカートリッジが2つに増え、日本語ワープロソフトが含まれています。MSX2で規格として取り入れられるRAMディスクの機能も実装されているようですし、独自のVDPを採用したり特殊なRAM配置など独自路線が見え始めます。

Toshiba HX-20

Toshiba HX-21

Toshiba HX-22

正直、どのような理由でどこの何が違うのでこんなにいろいろな機種が出たのかはわからないのですが、ひとつの機種でいろいろなインターフェースに対応するのではなく、コストを抑えるためにも必要なものだけを搭載するべしという判断だったのかもしれません。

MSXでは珍しい、ステレオサウンド出力が可能だった「東芝 HX-20」

東芝 MSX PASOPIA IQ HX-20とHX-22の比較

次々と新機種を出し続ける勢いは止まらず、1985年にはHX-30,HX-31,HX-32を出してMSX2に移行します。これらはMSX2のコストが上がったために廉価版としての役割を担っていたようですが、果たしてどれだけの需要があったのかはどうなんでしょう。今までのパソコンと比べれば、これでもそれなりに売れたからなんでしょうか。

Toshiba HX-10

パソピア

ところでこの時代(1984年)のパソコン販売台数の資料を見つけました。それによると機種別ではPC-8801シリーズが圧勝だったものの、MSXを合計すれば、その2倍は売っていたようです(台数であることに注意)。そしてMSXの内訳では東芝はソニー、松下に次ぐ3位のポジションに居たようです(そしてそれ以外のPASOPIA勢の悲惨な数字)。まあこの数字はカシオがMSXを荒らす前ですからね。

1984年度の各社パソコンの出荷台数・シェア

しかし半年ごとに複数の機種をリリースしていた時代なんて、今からはちょっと想像がつきません。昭和の勢いなんですかね。

さあてMSXも、そろそろ残りが少なくなってきたかな。ボチボチMSX2に行きたい気分になっています(私自身もMSX2からの参入ですし)。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Toshiba_HX-10_01.jpg
Miguel Durán - El Museo de los 8 Bits, CC 表示-継承 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1490024による

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