見出し画像

電卓への長い道のり - 機械式計算機

確か小学校の5年生の時だったと思います。どういう訳かクラスの体力測定の結果から、それぞれの生徒の測定値に対して偏差値を計算してほしいと担任に頼まれてしまいました。5年生になった頃には、ボチボチ大手塾の公開模試とやらを受けることもあり、その頃から偏差値というのを評価に使い始めていて、評点の紙には偏差値とはナンゾやという解説も載っていたので、何となくは知っていたのですが、いざ実際に計算しようとなると計算方法を調べるところから始めなければなりませんでした。

調べてわかったのは、計算の中に平方根が含まれており、これを開平法という計算で値を求める必要があることがわかりました。何せ筆算ですから、わり算みたいなものかな?とやってみたものの難易度がひとつグレードアップしています。こりゃかなわんわ。と父親に前からネダッてはいた電卓を買ってほしいとお願いしてみました。

開平法

もうカシオミニは出ていたようなきがするのですが、これには平方根がありません。ネダッたのは確か

CASIO 102-MR

みたいな奴だったと思います。今とは物価が違いますから、それなりにお高いものでした。まさかルート計算をしようとしているとは思わなかったのでしょうが、教育的効果も考えたのか「お前にはまだ早い」と、電卓の代わりに倉庫の中から謎の機械を探し出してきて「これを使ってみろ」と渡されたのが機械式計算機のひとつであるタイガー式計算機でした。

使い方は、元の数字を上の部分の溝のようなところに設定して、足したり引いたりする数字を下部の数字が出るところに設定していくのです。右にあるレバーを回すと、回す向きによって足したり引いたり出来るわけです。掛け算は下部の数字のところを左右にずらしていくことができるので、筆算のように桁位置を合わせて、その桁の掛ける数だけレバーを回して、結果を足し込んでいくという次第です。

機械式計算機

割り算や開平も手順があったのですが、そろばんで割り算がややこしい以上の面倒さでした。それでも筆算よりはだいぶ楽にはなりました。

ということで、何とかクラス全員の偏差値は出せたのですが、お陰であまり得意ではなかった計算問題に対する体力はついたと思います。まったくもってどういう思いで担任は私にやらせたのかはわかりませんが、きっと何か思うところがあったのでしょう。その担任は5年から受け持っていたので、まだ最初の方からこんな調子で、その後もどんどんソリが合わなくなって、残念ながらあまり良い思い出がありません。生徒が担任を選ぶことはできないので、仕方ないといえば仕方ないのですが、いろいろな代表にはしてもらったので、他の先生との会話も出来てガス抜きはできていました。当たり前ですが学校の勉強は追い越し禁止の1車線なので、大部分の生徒が前の車の後ろをついていくだけで楽しいものではなかったですね。しかたがないので、塾の勉強に励むようになってしまうわけです。

しかし単純な計算を繰り返し行うのは、どう考えても人間のやるものではないと固く信じるようになり、電卓を手に入れても自分で電卓を作りたくなって、電子回路の勉強を始め74シリーズと7セグLEDで一桁ですが足し算装置を作るところまではやってみた記憶があります。授業中に回路を引いていたのを発見した担任が、紙に書いてあるものをまったく理解できずに驚愕の表情を見せていたのをよく覚えています。まああまり良い生徒ではなかったですね。

発掘された当時の電卓

これが中学に入ってマイコンボードを手に入れた時につながるわけだったりします。

電卓


ヘッダ写真は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Calculator_triumphator_hg.jpg


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?