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紙テープがすべての始まり

文字コードやキーボードの話をしようとするときの出発点として「紙テープ」というか紙で出来たテープに穴を開けて情報を記録していた穿孔テープが相応しいでしょう。個人的にもパソコンを触る前、タイプライタと同時期に使ったのがテレックスという紙テープとキーボードの付いた機械でした。

テレタイプ端末

文字を打つと紙テープに穴を開け、このテープを読み取らせると、今度は記録された文字が印字できるというものです。電話をかけて読み取らせれば、通信先の機械から同じ文字が打ち出されるわけです。これがテレックスです。

テレックス

アルファベットと最低限の記号に対してコードが割り当てられて対応した穴が開けられた訳です。この時にまだ穴が開けられていない状態が、いわゆるNULLなわけです。そして打ち間違えたときには、間違えたところの穴をすべて開けておいて(どんな文字でも全部の穴を開ければ消せます)、読み取るときには無視するのです。打ってすぐに間違いに気がついたときには、これで間に合います。タイプライタで戻って白い紙を挟んで打つのと同じです。遡って修正するときには、糊とハサミを使って正しい文字の入ったテープを挟み込むのです。音声テープの編集みたいなものです。つなぎ目が必要なので、こういうところも穴をすべて開けておきます。これが現在の文字コードの0x00と0x7fの役割に残っているのです。

紙テープ

電電公社のテレックスサービスで使われていたのは、国際的にやりとりできるデータとしての5単位に、カナ文字を追加した6単位符号を扱える端末だったような記憶があります。この端末に使われていたのが元祖カナキー配列だったのです。どうしてこんな配列になったのかは、キーボードの歴史の方でいろいろ書かれているものがあるようですが、文字コードとしては、6単位に無理やりカナを詰め込んだので、上段・中段・下段の3段シフトで、紙テープに開けられた穴から文字を読み取るのに、その位置でのシフト状態を把握せねばならず、とても人間には読めたものではありませんでした。

私の世代だと紙テープと言えば、特撮ドラマなどの基地のシーンで、怪獣が出現したときに謎の大きなコンピュータから吐き出される「東京湾に怪獣出現」などと何故かすぐに読める紙テープを想像するのですが、これはきっと英語(ローマ字?)で書いてあったのでしょう。実際、アルファベットに関しては、わりと読めるようになり、これで東京湾に怪獣が出現しても安心だぞと、なぜか思ったものです。

こういう能力はパソコンの時代でも発揮されて、16進ダンプを見ただけで含まれているASCIIコードから文字がわかります。どのアルファベットが先頭から何番目というのはすぐに出てきますからね。パケットキャプチャを生で見るときなど、まだこの能力を使うことがあります。

残念ながら紙カードの方は、ちょうど私が大学に入った年から、計算機センターがTSSに移行したので、実際に使う機会はありませんでした。そのタイミングだったので廃棄物置き場には大量の紙カードが捨てられていました。カードの束の側面に引かれた順序の目印にしていた赤鉛筆の軌跡が眩しかったです。

[余談]
そういえば1970年くらいまでは、船で出かけるところで紙テープを投げる姿が見られましたね。新幹線でも時折見たかも。

ヘッダ画像は https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%99%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%97#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:PaperTapes-5and8Hole.jpg より使わせていただきました。


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