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PC-1210 - ポケコン時代が始まる

パソコンは基本的にCPUなどが載った基板を電源などと共に箱にしまった形の装置で、普通は机の上とか下において電源コンセントに繋いで使うものです。しかしながら、パソコンが便利になるにつれ、もっと手軽に使いたいようになり、持ち歩いてどこでも使いたいと思うようになってきます。

電卓と呼ばれるその場で数字を打ち込んで計算を行う装置も、最初は机の上で使うもので、電源が必要だったのですが、パソコンが普及する頃には電池で動き、とても軽量でどこでも使えるようになっていました。

当然のように、特に既に電卓を販売していたメーカーは、パソコンで出来るようなことを電卓のように軽くて持ち歩け、電池で動かせるようにしたいと考えます。もともと高機能な計算ができる関数電卓と呼ばれる装置に関しては、マクロや簡単なプログラムが書けるプログラム電卓というものがあったのですが、そのプログラムは独自の言語で必ずしも書きやすいものはなく、また電卓なのであくまで数値処理で結果は数字で表現することしかできません。もっともその時点で独自のデバイスや市販のカセットにプログラムやデータを読み書きできたりまでは出来ていました。

そんな中で、シャープがBASICを搭載したポケットコンピュータという製品を1980年に投入します。RAMが1KのPC-1210が3万円弱、2K程度のPC-1211が4万円とちょっとで、表示こそ24桁の1行しかありませんでしたが、ボタン型とはいえテンキーとフルキーを搭載し、Tinyではなくきちんと数値計算が出来るまともなBASICを搭載していました。

PC-1210

PC-1211

電源はボタン電池でしたが、かなり長く使うことが出来、学生にとっては学校に持っていける文字通りポケットに入るコンピュータでした。少なくとも私の周りでは爆発的にヒットし、1行でテキストしか表示できない画面を使って、みんなでゲームを作っていました。

PC-1211

大学時代(1978~1982) PC-1211(Sharp)

人によっては頑張ってカセットインターフェースやレジのようなプリンタまで手に入れて、かなりガチな開発に取り組んでいた人もいました。残念なことは凝ったことをするにはメモリが足りなすぎることと処理速度がかなり遅かったことです。少なくとも当時は機械語に関する情報が無かったのでBASICを使うしかありませんでしたしね。

シャープのポケコンは、アメリカではタンディが自社ブランドで取り扱ったので、世界的にも知られた存在になったようです。

Sharp PC-1210 & Sharp PC-1211(Radio Shack/Tandy TRS80 PC-1)

今でもしまいこんでいる人や中古市場に出回ることもあるようですが、この機種の液晶はあまり品質が良くなく、かなりの割合で表示に問題が出ているようです。

まあ、その人気を間近に見ていたものの、いろいと痒いところに手が届かないなぁと思っていたところで、新機種が出て飛びついてしまったのは、以下の記事に書きました。ちなみに「目指した」と書いたのは、PC-1500はポケットにいれるには大きすぎて、どこがポケットなんだ!という意味が込められています。ちなみにオーバーコートのポケットなら入りそうなので、勝手にオーバーポケットコンピュータと呼んでいました。

PC-1500 - ポケットに入るパソコンを目指した

この後、順調に多くの後継機種が登場し一大ファミリーとなりました。パソコン雑誌にはポケコン向けのプログラムが多く載りましたし、機種ごとのムック本もたくさん出ていた覚えがあります。学生にとって手が出せる価格帯だったこともあり、かなりの台数が出回っていたと思います。

ポケコン別館 - シャープ博物館

さらにカシオも当然、この分野に参入してきましたし、もう少し画面を大きくしパソコンに近づいたハンドヘルドコンピュータという分野も見え隠れするようになりました。

ポケットコンピュータ

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:PC_1210.jpg
ドイツ語版ウィキペディアのArmin.maas sbさん - de.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2046518による

#ポケコン #ポケットコンピュータ #シャープ #PC1210 #PC1211 #タンディ  

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