ドラマではイマイチ分からなかった海江田の思惑について。

沈黙の艦隊が実写ドラマ化されたが海江田の目的について結局よく分からないという感想がちらほら見られた。

なのでここでざっくりとではあるが彼の目的は何だったのか今一度整理しておく。

ちなみに同じ内容を動画でも解説してるので読むのが面倒な方はこっちでも観れます。

ドラマでは分からなかった海江田の思惑

海江田の思惑をざっくり言ってしまうと全世界の核廃絶である。

もしも核を持っている原子力艦ごと独立して国際政治をすれば、全世界に核廃絶を実現できるのではないかということ。

厳密に言えば本当に彼らが核を持っているかは定かではない。ただどの連盟にも属さない独立国が核を持っているかもしれないと世界にちらつかせる。

そのことが何よりも全世界に対して核抑止力になり脅威を遠ざけるのではないかという思惑があったのだ。

海江田が日本に同盟を持ちかけた理由。

そして海江田は独立国ヤマトとして一番最初に日本に同盟を持ち掛けた。その理由は決して自分が日本人だからではないとアニメ版では語っている。

それは日本が唯一、政教分離の国であるからであった。

今だに起きる争いやテロは宗教観の争いが最後に引き金を引いてしまうことが多い。しかし日本は世界で唯一無神論で成り立っている国であるからこそ核廃絶において価値があったということである。

原作やアニメ共に首相と海江田が初めて向き合う「同盟交渉」の席で初めて彼の口からそこは強調されるよう語られているのだが、ドラマ版では演出上、2人の対話は流れるように終わってしまい結局何が大きな目的なのか入らなかった人が多かったのだろう。

海江田が核保有を敢えて宣言した理由

原作通り核の行使権を世界に委ねて中立の立場を取ろうとしているのであれば、核保有を世界に認識させることで日本を実質的な永世中立国の立場にいることを選択しやすくする見方がある。

永世中立国とは条約や自国の宣言によって、今後全ての戦争に対して中立である立場をとる国のこと。

海江田の大きな目的は核保有によって戦争の脅威を遠ざける世界の核廃絶である。そのために独立国ヤマトは世界で最も争うことから遠い国である日本と同盟を結ぶことを決めた。

それを確固たるものとするための一つとして日本に核の脅威を世界にちらつかせながら、行使権を国際連盟に委ねることで日本とヤマトのすべての平和的な言動に説得力が出るのである。

なぜなら日本は唯一原爆を落とされて敗戦した歴史があるからである。そんな歴史を持つ国が核を保有しつつも中立である立場から国際政治ができるようになれば、争いが起きる世界に対して説得力と抑止力が世界一となり核廃絶にも大きく近づく。

だからこそ海江田は日本を同盟国に選び、中立である立場を強調させるため核の保有を敢えて世界に認識させたのだろう。

ドラマ版ではキャスターの質問にだけ向けて核の保有を宣言したが、原作では世界が見守る同盟交渉の席でこれを認めた。

これによって首相は同盟締結早々に核の行使権を国連に譲ることを海江田に認めさせ、あくまで中立の立場になることを強調させるのだが、ドラマ版では残念ながらそこはない。

そのため核を保有していることだけを内輪で認めて行使権は海江田にあるままのため、今だ視聴者としてもヤマトは不気味な存在なままである。

首相は国連総会の話し合いの場を設けようとしたシーンはあったが行使権に関しては言及していない。

海江田が世界に宣言するのではなく、メディアを通して世界に知らせる演出上の改変ではあるが、この辺のよく分からない演出で日本と大和の同盟の立場が分かりづらくなってしまった。

仮に原作通り行使権を委ねて中立の立場を取ろうとしているのであれば、核保有を世界に認識させることで実質的な永世中立国の立場にいることを選択しやすくする見方もある。

原作やアニメ共に首相と海江田が初めて向き合う「同盟交渉」の席で初めて彼の口からそこは強調されるよう語られているのだが、ドラマ版では演出上、2人の対話は流れるように終わってしまい結局何が大きな目的なのか入らなかった人が多かったのだろう。

原作は古本屋のどこを探しても現在売ってない状態なので個人的によく分からなかった人はアニメ版の視聴を薦める。