齋藤和哉

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ネトフリ実写版を踏まえて読む新一とパラサイトの共生【寄生獣】

先日ネトフリにて寄生獣 ザグレイが配信され早々話題になっている。 自分はネットフリックスにも入っていないので予告でしか情報が見えていないが早速シーズン2も見える綺麗な出来なのはうかがえる。さすがサスペンスジャンルにも脂も載っている韓国制作なだけある。 ドラマの軽いネタバレも食らったのでそれも踏まえてもう一度原作を観たら一貫するテーマである人間とパラサイトの「共生」と共通する人間における振る舞い、そしてシーズン2にどうつながっていくか考える。 共生における感度の高さを持つ

    • 誰も知らなかったGTアカデミーが果たした功績【映画「グランツーリスモ」】

      公開当時はトップガンに匹敵するほどの好評を得ていたが、確かに実際に観てみるとゲーム映画とは思えない出来だった。 自分はアマプラで観たがこれもトップガン同様、映画館で音の臨場感を楽しむ映画だったのだろうと惜しまれる。 驚いたのはGTアカデミーやヤンは実在し、史実を元に描かれた作品だったということ。映画ストーリーとしてもここが終始面白さの肝だった。 後半からは実際のレース映像と展開が話の軸になっていくがグランツーリスモをオマージュした演出やサウンドがよく盛り込まれており、エ

      • 新基準バットは高校野球にどう影響を与えるのか【第96回選抜高校野球】

        今大会一番話題になったのは今年から新基準に変わった低反発バットの影響だろう。 全日程を終えて大会ホームラン数は昨年の12本から3本に明らかに減少したが、得点率は7点代から6.4点代と数字上はそれほど影響は見られなかった。 自分は全試合フルでは追えていたわけではないが青森山田高校による木製バットの使用の話題や、数試合観ても明らかにそれまでの高校野球にはない新たな戦い方が見られ新基準のバットは確実に高校野球の戦略に影響を与えていた。 今大会勝ち進んだ高校に観られた戦略などを

        • 【考察】「走るゾンビ」はなぜ生まれ進化したのか。元祖「バタリアン」と映画「呪呪呪」までに観る時代観変遷

          走るゾンビの元祖とも言われる(諸説アリ)映画「バタリアン」をこの令和に初めて観た。 なぜそこまで辿ったかは個人的な「ゾンビ観」の変遷について研究したかったから。名作と呼ばれる映画には制作側が意図していなくても社会的な先見性や雰囲気がどこか含まれてしまっているとよく言われる。 最新のKゾンビ映画「呪呪呪」から観た令和の視点で見るとザックリとではあるがその変遷と「走るゾンビ」だから見える感染症社会以後と以前における物語性の独特な変化の部分は多かったので、あくまで個人的な考察と

        ネトフリ実写版を踏まえて読む新一とパラサイトの共生【寄生獣】

        • 誰も知らなかったGTアカデミーが果たした功績【映画「グランツーリスモ」】

        • 新基準バットは高校野球にどう影響を与えるのか【第96回選抜高校野球】

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        • 1stアルバム「地方でも鬱」
          8本

        記事

          キムハソンから学ぶアジア人内野手がMLBで活躍した方法

          ソウルシリーズの開幕も控え韓国だけでなく日本などのアジア野球大国全体でMLBの開幕が盛り上がり始めている。 そもそもなぜソウルで開幕することになったのか疑問に思う方は下記の記事を読めば大体の経緯は分かると思う。 要約すると、 ・そもそも大谷がドジャースに入団する前からソウルの開催は決まっていた ・パドレスにはキムハソンという韓国のスターがおりソウルの開催を望んでいた。相手がドジャースなのは歴代に韓国スター選手が所属しており韓国でも一番馴染みのあるMLB球団だから ・ソウ

          キムハソンから学ぶアジア人内野手がMLBで活躍した方法

          「子供嫌い文化」のアメリカが紡ぐ下手くそな継承物語【映画「トップガン マーヴェリック」】

          トップガンマーベリックをアマプラで観た。 相変わらずのスタントなしのアクションやマニアのツボを突くような戦闘機やバイクの撮影は一作目当時にリスペクトしか感じられない作品で、ただただ面白かった感想は同じだった。 今作はそれから30年後のマーヴェリックが教官となり英雄となった彼が下の世代に教育していく設定になっていく。日本で言えば師弟関係、継承の話である。 作品全体の展開だけで見ればそこまで深みが感じられた人は少なかったようで、むしろその薄さが面白さを出しているとほめている

          「子供嫌い文化」のアメリカが紡ぐ下手くそな継承物語【映画「トップガン マーヴェリック」】

          【阪神タイガース】生観戦でしか見えないオープン戦9連敗していた理由と開幕までの不安要素

          オープン戦9連敗していた阪神とロッテの試合を観戦しに行ったので、連敗していた理由と 生観戦する上で各選手についての個人的な見方と雑感を動画で語った。 倍速で作業用にでも聴いてもらえれば。 ちなみにオープン戦連敗していた理由については主にこの3点だったと思う。 詳しくは動画で語ってます。

          【阪神タイガース】生観戦でしか見えないオープン戦9連敗していた理由と開幕までの不安要素

          フェリーニ監督の鬱がそのまま剥き出されたカルト映画【8 1/2 (ハッカニブンノイチャ)】

          一部の映画マニアから未だに愛され、映画監督からも模倣されているフェリーニ監督作品の映画を観たので動画で語った。 テレビ版エヴァのラストシーンもここから来てるとか。 初見ではラストシーンしか理解できない今作独特のテーマ性の理由を主に考えた。 サブスクでも観れるが短期間で追加されたり外れたりするので、たまたま見かけたら一度観ておくべきクラシック作品。

          フェリーニ監督の鬱がそのまま剥き出されたカルト映画【8 1/2 (ハッカニブンノイチャ)】

          松山と東出がいい男すぎな映画。大人とは被査定マインドから外れて余計な問題を起こさないこと【映画「Blue」】

          アマプラでひっそりと追加されていた映画「Blue」を観たが久しぶりに邦画で食い入るように観れた。 低予算で公開当初も上映が多い方ではなく出演している役者のファンぐらいにしか届いていなかったようだが、主演の松山ケンイチと東出がボクサーという設定に負けない絶妙に良い大人を演じていて良かったのでその辺りを書く 。 試合をすればするほど負け続ける瓜田とその幼馴染で日本チャンピオンに迫る小川の二人を主役に対比されながら描かれていく。 この映画の良さは負け続ける瓜田の姿を単なる悲哀

          松山と東出がいい男すぎな映画。大人とは被査定マインドから外れて余計な問題を起こさないこと【映画「Blue」】

          原作再現はできたけど微妙な冒険のまま打ち切られた実写版【ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章】

          ジョジョの微妙な冒険で打ち切られた実写版。レビュー。 同じ内容を動画でも語っているのでこちらでもどうぞ。 ただのコスプレ映画と巷では酷評されていた実写版ジョジョの奇妙な冒険。 舞台はファンにも人気である第4部の杜王町を設定し、実写化する意義は確かにあるが映像化する上ではそこそこ難しいところをチョイスしてしまったのは正直なところだろう。 実際に見たところ役者陣は本格派の顔ぶれが揃っており、コスプレ映画と言われるほど容姿や演技力で邪魔になるような酷さは感じられない。 多

          原作再現はできたけど微妙な冒険のまま打ち切られた実写版【ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章】

          実写ドラマでは分からなかった海江田の思惑~核保有を発信したワケ~【沈黙の艦隊】

          ドラマではイマイチ分からなかった海江田の思惑について。 沈黙の艦隊が実写ドラマ化されたが海江田の目的について結局よく分からないという感想がちらほら見られた。 なのでここでざっくりとではあるが彼の目的は何だったのか今一度整理しておく。 ちなみに同じ内容を動画でも解説してるので読むのが面倒な方はこっちでも観れます。 ドラマでは分からなかった海江田の思惑 海江田の思惑をざっくり言ってしまうと全世界の核廃絶である。 もしも核を持っている原子力艦ごと独立して国際政治をすれば

          実写ドラマでは分からなかった海江田の思惑~核保有を発信したワケ~【沈黙の艦隊】

          悪魔が神父に憑依する「お決まり」の訳が初めて解明される【映画「ヴァチカンのエクソシスト」】

          話題だった映画がアマプラに入ったので早速観た。 ここにきて王道のエクソシストモノが最近は復活してきているがここでもう一度描く意義を感じられる作品が増えているのでとてもいい傾向だと思う。この作品もよかった。 初代「エクソシスト」から続く神父が最後に悪魔に取りつかれて終わるあのフォーマットは理にかなっていたものだと今更ながら分からせてくれる作品だった。 それまでの悪魔映画では主に三点の行動を繰り返し人間や物に憑りついて目的を果たそうとしていることを描くことが多かった。 1

          悪魔が神父に憑依する「お決まり」の訳が初めて解明される【映画「ヴァチカンのエクソシスト」】

          アニメ版海江田艦長の思惑「もしも日本が核を保有していたとしたら」【沈黙の艦隊】

          Amazonスタジオにて制作された実写版が話題の「沈黙の艦隊」をアニメ版から見てみた。 原作は何となく知ってたがスルーしてたし実写版も観てないのでほぼ初見であるが面白かった。 政治ファンタジーではあるがこういう「もしも」の危機や未来を想定する作品が映画やドラマでは少ない日本にとっては意味のある実写なのだろうとは思えた。実写では現代的に加えたオリジナルな展開もあるらしいので、敢えて原作に忠実なアニメ版に沿って感想を述べたい。 アニメ版も全3作の映画尺になっており、海江田に

          アニメ版海江田艦長の思惑「もしも日本が核を保有していたとしたら」【沈黙の艦隊】

          「アミティヴィルの恐怖」を元に泥沼化した18回目のリメイク作『悪魔の棲む家 REBORN』を観た

          悪魔の棲む家の作品の存在自体は知っていたがアマプラなどでは元祖には中々辿れず、原点リメイクとなるREBORNとその後に住むラッツー家を描いた05年版を観た。 悪魔の棲む家シリーズは1974年アミティヴィルに起きた一家6人が就寝中に射殺された事件を元に描かれている。 犯人として捕まった長男ロナルドデフェオが「家が殺せと命じた」と主張をしたことで、悪魔が棲む家として本や映画で後に語り継がれエクソシストなどの悪魔ブームと共に大ヒットした作品となった。 最新作となるREBORN

          「アミティヴィルの恐怖」を元に泥沼化した18回目のリメイク作『悪魔の棲む家 REBORN』を観た

          令和の辺境地に突然訪れる「担い手問題」に着手した哀しい復活【映画「Dr.コトー診療所」】

          当時のロケーションやキャストもほとんど変わらせず同窓会的な映画としてもよく復活させたとは思えたが、それだけではなく物語はこの令和に復活させた意味も感じさせるかなり重いテーマでもあった。 今作は財政難による医療統合とコト―先生が重度の白血病になったことで、いきなり志木那島における医療所の担い手問題が急激に挙がりはじめていく。 今回から東京から研修として新たにやってきた判斗が医師として診療所に加わるが、島民はコト―と家族同然の付き合いをしてきたために老人らは判斗自身の存在をほ

          令和の辺境地に突然訪れる「担い手問題」に着手した哀しい復活【映画「Dr.コトー診療所」】

          チープなアメコミ要素が排除されて上質なスパイ映画に【キングスマン:ファーストエージェント】

          今まで触れてこなかったキングスマンシリーズだがアマプラに追加されたので初めて見た。 007も好きなおじさんには1作目から全くウケている意味が分からなかったが、シリーズを追うごとにその理由が分かってきた。 ゴールデンサークルの二作目までを追うごとにめちゃくちゃアメコミみたいな映画だなと思ったが、調べたら原作はアメコミだったらしく納得した。 日本や韓国、アメリカでも結構一作目からウケていたようだが自分のような重厚感のあるスパイ映画が好きな人には受け入れられない要素はあるので

          チープなアメコミ要素が排除されて上質なスパイ映画に【キングスマン:ファーストエージェント】