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第95回記念選抜全国高等学校野球大会展望号

春はセンバツから。

いよいよ高校野球シーズンの到来。今年からは声出し応援が全面解禁され、ようやくコロナ以前の本来の大会の姿へ戻っていくのではないかという期待感に胸を躍らせる大会前夜。

久々に甲子園の魔物がいきなり牙をむくシーンがあるのか…

今年は記念大会で例年の32校から4校多い36校が出場。
春は練習試合解禁となってから僅か3週間での実戦となるため、試合勘やチームとしての仕上がりが大会の行方を大きく左右する。

そういった点から大会としてあまり波乱がなく、総合力の高いチームが上位進出する傾向がある。そういった点を踏まえて今大会の展望を行っていきたい。

今大会の印

◎仙台育英
○広陵
▲履正社
△大阪桐蔭
×報徳学園
☆海星、長崎日大

学校別評価

Sランク…大阪桐蔭、仙台育英、広陵
Aランク…履正社、報徳学園、
ダークホース…海星、長崎日大

今大会は下馬評では3校の実力が抜きんでているのではないかという大方の予想。
その3校とは秋の全国チャンピオン大阪桐蔭、昨夏の全国チャンピオン仙台育英、2年連続秋の準優勝校である広陵。この3校を中心に優勝争いが繰り広げられると考えて展望していきたい。

Sランク
大阪桐蔭
言わずと知れた絶対王者。秋は調整不足を指摘されながらも圧倒的な力で全国制覇。その中心はエースでキャプテンの前田悠伍君。2年生時から圧倒的なパフォーマンスを見せて今秋のドラフト1位指名が確実視されているサウスポー。
彼の右バッターへのアプローチは過去に類を見ないほどの美しさ。インコースへの力強いストレート、アウトコースへのツーシームと魔球チェンジアップの投げ分けは圧巻。今流行りのアプローチアングルが非常に優れたタイプのピッチャーと言える。前田君を打つにはアプローチアングルの幅を少なく出来る、左バッターがキーポイントになる気がするのでその点は今大会の注目点。
他にも140キロ超えのピッチャーを5.6枚有しており連戦にも限りなく強い。
打線も抜け目なく、ここ一番での集中力の高さはもはや伝統芸と化している。
ただし、秋の時点ではやや大味な野球をすることが目立ったので付け入る隙はある。
あとは長年の課題であるサウスポー相手のアプローチ。本当にいいサウスポーと対した時には苦戦するシーンも頭には入れておきたいが圧倒的な優勝候補なのはゆるぎない事実。

仙台育英
昨夏、東北勢悲願の初優勝を成し遂げた勢いそのままに秋も全国ベスト4。昨夏の優勝を知るメンバーが多く、攻守に隙が無い。
特にバッテリーの充実度だけでいうと大阪桐蔭に全く引けを取らない水準にある。右の高橋君、湯田君、左の仁田君という3枚看板は全国で屈指の厚み。キャッチャーの尾形君は夏の日本一を経験して勝ち方を知っている点が強い。
秋に大阪桐蔭と対戦してある程度の手ごたえは掴めているはず。一度負けている強みから逆転を狙える存在と見る。仁田君、田中君という2人のサウスポーの使い所が今大会のカギとなりそう。

広陵
新チーム発足後、神宮大会の決勝で大阪桐蔭に敗れるまでの間の成績が50勝1敗(練習試合を含む)という驚異的な数字。
昨夏の3回戦で英数学院に敗戦してから1球、1点への執着心にトコトン拘ってきたのではないかと推測できる。
プロ注目の今大会№1スラッガーと呼び声の高い3番真鍋君を中心にした強力打線と広陵伝統の堅守が持ち味。特に打線の厚みは素晴らしく今大会屈指の打線と見る。
現在盛り上がりが最高潮に達しているWBCを見ると、3番大谷の前後を打つ2番近藤4番村上の役割が非常に重要と分かる。広陵は打線の構成が侍JAPANと似ているように感じる。
2番谷本君、4番小林君の頑張りが今大会のカギとなりそう。
投手陣は左右の両輪である高尾君と倉重君の2人が中心。
勢いに乗った時のポテンシャルは今大会で随一のものがあると思わせる。

Aランク
履正社
岡田龍生監督から多田監督に交替してから初の甲子園。現時点では選手の質は高い水準をキープ。チームとしての変化の面でいうと攻撃面では大きな変化があったように思う。岡田監督時代は高校野球らしくオーソドックスにバントを多用するシーンが目立った。それが多田監督に替わってからはいい意味で攻撃的な野球をするようになった印象。その象徴がサードを任される森田大翔君。彼のフルスイングは新星履正社の光となる予感。投手陣は相変わらず履正社らしい質の高いサウスポー増田君を筆頭に今仲君、福田君と層は厚い。今大会のベンチに入るか分からないが中村君という超剛腕投手も控えておりベンチ外まで含めて選手層の厚さは相変わらず。能力の高さなら上位の3校に決して引けは取らない。

報徳学園
高校№1キャッチャーと呼び声の高い堀君を中心にディフェンス力の高さには定評がある。投手陣は盛田君、今朝丸君、間木君の3人が中心。特にエースの盛田君は先々のカテゴリーでも楽しみに出来そうな存在。180cm後半の長身から投げ下ろす投球は迫力十分。イメージでいうと、一昨年のドラフトで日ハムに1位指名されたで天理高校の達投手のようなイメージ。盛田君だけではしんどいかなと思うが今朝丸君、間木君がある程度しっかりしてきた。特に間木君は個人的に注目のピッチャー。大きな縦割れのカーブは独特で真っ直ぐとのコンビネーションはなかなか味がある。昨秋に大阪桐蔭と1-0の接戦を演じたことから地力の高さはありそう。

ダークホース
海星
きっと世の中的な下馬評はかなり低いはず。それでも個人的には力の高さがあるのでは思い込んでいるチーム。昨夏から出場している田川君がキャッチャーにコンバート。伝統的に守れるチームを作ってくる海星らしさの象徴になっている。攻撃面では1番田中君、2番永田君の1年生コンビが引っ張る。脚力、スイングスピードからポテンシャルの高さは相当で、彼らが乗るとチームの勢いは加速しそうと感じた。
秋の九州大会では優勝した沖縄尚学相手に9回までリードしていたほど。持っているポテンシャルの高さは相当で勢いに乗れば。

長崎日大
海星に続き長崎勢からのチョイス。こちらは九州大会準優勝。3番キャッチャーの豊田君は九州屈指のキャッチャー。エースの西尾君も九州地区では非常に名の知れた選手でバッテリーを中心に流れを作っていけるチーム。九州大会の準々決勝で沖縄県の日本ウェルネスを圧倒した時のパフォーマンスは目を見張るものがあったのでダークホースとして期待したい。

個人的注目選手

ここはさらっと注目選手を紹介。誰もが知っているような選手は割愛。
投手
小宅君(慶應義塾)2年右
西尾君(長崎日大)2年右
東恩納(ひがしおんな)君(沖縄尚学)3年右
小玉君(健大高崎)3年右
間木君(報徳学園)2年右
倉重君(広陵)3年左
捕手
箱山君(健大高崎)2年
鈴木君(常葉大菊川)3年
坂根君(履正社)3年
内野手
金子君(東北)3年セカンド
清原君(慶應義塾)2年サード(3年生の年齢)
片井君(二松学舎大付)2年ファースト
高見君(敦賀気比)3年サード
村本君(大阪桐蔭)3年セカンド
小畑君、杉本君(智辯和歌山)3年二遊間セットで
森田君(履正社)3年サード
宮平君(沖縄尚学)3年ショート
外野手
大矢君(二松学舎大付)3年
徳丸君(大阪桐蔭)3年
岩本君(報徳学園)3年
田上君(広陵)3年
寿賀君(英明)3年※ピッチャー兼任

ベスト8展望(トーナメント表の左から)

Aブロック 智辯和歌山
初戦で激突する四国チャンピオンの英明戦がポイントになりそう。ここで乗れば打線は調子を上げてきそう。作新学院の川又君、小川君はインパクトがあり逆転の目もありそう。

Bブロック 東北
開幕カードでもある東北-山梨学院が能力的には抜けていそう。東北はハッブス君、秋本君の左右の2枚看板が良い。宮城大会では優勝候補の仙台育英に土を付けており地力は高い。山梨学院は関東チャンピオンで能力が高い。吉田先生が良いチームをつくってきてそう。

Cブロック 履正社
個人的には最激戦ブロック。履正社は攻守にレベルが高い。初戦が北陸-高知の勝者と対戦。1つ勝ってきた相手にいい試合が出来れば乗っていきそう。専大松戸-常葉大菊川は1回戦屈指の好カード。平野君vs鈴木君のプロ注目選手対決。好投手擁する専大松戸がやや勝りそうな気はする。平野君はケガ明けで連戦はあまりよくないように思えるので総合力の履正社が突破と見る。

Dブロック 広陵
優勝候補筆頭格にある広陵が能力は抜けていそう。練習試合解禁後の成績も良好という噂でしっかり仕上げてきたか。桜の広陵と言われるほど春に強さを発揮しきてきたチーム。過去3度の選抜優勝実績があり4回目の優勝となるか。ダークホースとしてあげた海星も侮れないチーム。

Eブロック 大阪桐蔭
ここは大阪桐蔭。力は2.3枚抜けている。前田君の消耗を少なくしてこのグループを突破できれば自ずと頂点が見えてくる。

Fブロック 沖縄尚学
東海大菅生との一騎打ちと推測されるが個々の能力が高そうな沖縄尚学に分があると見る。春2度の全国制覇実績は大きい。選手、監督で甲子園を制している比嘉公也監督のタクトに注目。東恩納君は今大会屈指の右ピッチャー。東外大菅生の名物応援である菅生MIXっが鳴り響いて躍進する姿も見たい気はするが…

Gブロック 報徳学園
堅守の光る報徳学園が粘り強く勝ち進むとみる。初戦屈指の好カードである健大高崎との試合は大注目。機動破壊でおなじみの走力を盛田君-堀君バッテリーがどのように封じていくか。1つ目の盗塁機会の内容次第では展開が大きく変わってきそう。非常に興味深い。東邦はエース宮國君と4番石川君(中日・石川昂弥選手の弟)が中心になっていけるか。夏は他の愛知の強豪が黙っていないだけにここではしっかりインパクトを残すことも重要。

Hブロック 仙台育英
選手層の分厚い仙台育英が抜けた存在に思えるが追いかける慶應義塾、長崎日大もポテンシャルは高い。慶應の小宅君は非常にきれいなフォームから回転の良さそうなストレートを投げ込む。非常に人気が出そうなピッチャー。長崎日大は先に触れたとおり。魅力的なチームが多いがそれでも勝ち方を覚えた仙台育英が凌駕するとみる。

夏に向けての熱い戦いに注目したい。

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