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第96回選抜高等学校野球大会展望号

今年は例年よりもやや早い春の訪れとなって3月18日(月)に開幕。
全32校が春の覇を懸けて13日間の大会に挑む。

今大会を迎えるにあたってまず押さえておかないといけないポイントは一にも二にも『新基準バット』の導入だ。

※新基準バットとは…

【高校野球】来春採用の新基準バット 日本高野連の狙いとは…「木製バットでやる野球に近づけていく」 - スポーツ報知 (hochi.news)

スポーツ報知 2023年6月27日の記事より引用

簡単に言うとバットの最大直径を従来の67mm→64mmへ細く、打球部の厚みを3mm→4mmへ増すことでバットの反発力を抑えた新基準のバットのことである。
バットの反発力が抑えられるということは必然的にボールが飛びづらくなるということを意味する。
プロ野球選手が使っている木製バットと似たような打球スピード、飛距離となることが期待されている。

一方で現場の声を聴くと、
『芯を喰った時の打球の弾きは木製バットの方が良い』
という声もあるそうだ。

今大会は木製バットを使ってくる選手が増えてきそうで今までの高校野球とは違った新たな高校野球が始まっていく年になる可能性がある。

普通に考えれば打球が飛びづらい=投手有利となるわけで想像通りに投高打低の大会となるのか…新バットにすんなりと対応して打棒爆発となる学校が現れるのか…楽しみは尽きない。

その点を念頭に置いて今大会の展望を行っていきたい。

今大会の予想印

◎広陵
○高崎健康福祉大学高崎
▲報徳学園
△作新学院
✕八戸学院光星
☆青森山田、創志学園、敦賀気比

注目校

Sランク

広陵
昨年のベスト4進出校。3年連続で中国大会を制しておりまさに円熟期。

昨年のチームから全国大会で負かされた相手が全てその大会で優勝している。
2022年
明治神宮大会決勝戦 vs大阪桐蔭 5-6
2023年
センバツ準決勝   vs山梨学院 1-6
夏の甲子園3回戦  vs慶應義塾    3-6(延長10回タイブレーク)
明治神宮大会1回戦 vs星稜   6-7

この4試合以外は練習試合、公式戦を含めたほとんどの試合で負けておらず地力の高さは疑うまでもない。
ただ強いチームと戦うと勝ち切れないともいえるため冬の期間でどれだけ鍛錬を積んできたのかは見ものである。

この冬は徹底的に守備を鍛えてきたという話。

それはチームの絶対的な柱である高尾君-只石君バッテリーの強みをフルに活かすために必要不可欠な要素。

飛ばないと言われる新基準バットの恩恵を強く受けそうなのが高尾君。
とにかくコントロールよく内外投げ分けるその投球スタイルがしっかりと発揮されれば各校手を焼くことになるだろう。

大会後半に1回戦があるために2番手堀田君の力も必要。
そこさえ噛み合えば大会を勝ち上がっていく力は十分にあるはず。

『サクラの広陵』と言われるほど春に強いチーム。西村健太朗-白濱裕太のプロ入りバッテリーを擁して優勝した2003年以来の戴冠を目指す。

高崎健康福祉大学高崎
バッテリーのタレント性でいうと今大会1番。

投手陣はエースのサウスポー佐藤君と右の石垣君の2枚が中心。

佐藤君は高校進学時に50を超える学校から誘いの声が掛かった選手。U-15日本代表として世界を見てきた選手で舞台慣れしているのが最大の強み。
大阪桐蔭出身の前田悠伍や興南出身の宮城大弥のような大物感を漂わせているように思える。
140キロ中盤のストレートと大きなスライダーが武器。

石垣君は最速150キロのストレートが武器。昨秋から状態がとにかく良いそうで健大高崎上位進出の鍵を握りそう。

4番キャッチャーキャプテンの箱山君はプロ注目の存在。箱山君が強いリーダーシップを持ってやれることが大事になる。
選手としては肩の強さとフットワークの良さが持ち味。この春で存在感を示せばドラフト上位指名も見えてくるだけに楽しみだ。

健大高崎といえば機動破壊と称されるほどに機動力を全面に出していく野球が持ち味だったが今回はドンドン打ってくるチーム。ベースとなる部分での機動力は変わらずにあるそうだが以前に甲子園を席巻した時とはスタイルが違うということも頭に入れておきたい。

Aランク

報徳学園
間木君、今朝丸君の強力2枚看板と枚方ボーイズ出身の主軸西村君の打撃が注目。

投手陣が特に強力で世間の注目は150キロ右腕の今朝丸君に集まる。
個人的な注目は主将も務めるエースの間木君。抜群のコントロールと大きな縦割れのカーブは高校生ではなかなか捉えられない。個人的にはこの春1番楽しみな投手だ。

西村君は準優勝した前年のチームからサードを任されていて率を残せるタイプのバッター。彼がどれだけチームを引っ張っていけるか。

作新学院
エースの小川君が大黒柱。右左問わずインコースに強い真っ直ぐを投げ込めるのが持ち味。
新基準バットとの相性が非常に良さそうで本調子ならば連打を喰らうことはそうなさそう。

八戸学院光星
洗平君、岡本君のプロ注目のサウスポーコンビが迫力十分。
特に洗平君は180cmの身長以上に手脚を長く見せるタイプでかなりタイミングが取りづらそう。昨年から出場していた砂子田君中心に攻撃人も隙がない。

個人的注目選手

(順不同)
投手
間木君(報徳学園)
森君(大阪桐蔭)
洗平君(八戸学院光星)
冷水君(耐久)
小川君(作新学院)
西山君(近江)
佐藤君(健大高崎)
高尾君(広陵)
吉岡君(阿南光)
佐宗君(星稜)
坂井君(関東一)
関君(青森山田)
竹下君(敦賀気比)
平君(高知)

捕手
箱山君(健大高崎)
大栄君(学法石川)
能美君(星稜)
只石君(広陵)

内野手
蝦名君(青森山田)
泉君(宇治山田商)
萩原君(星稜)
吉田君(星稜)
ラマル君(大阪桐蔭)
西村君(報徳学園)
今岡君(神村学園)

外野手
モイセエフ君(豊川)
徳丸君(大阪桐蔭)
飛田君(関東一)
濱本君(広陵)
髙木君(明豊)
正林君(神村学園)

ベスト8展望

Aブロック八戸学院光星
昨年夏の経験者が多く残り、好投手2枚を擁する八戸学院光星が1歩リード。昨年秋の日本一星稜も実力は十分。秋ほどは打てない可能性が高そうで佐宗君-能美君バッテリーの頑張りが勝ち上がりの鍵。

Bブロック近江
西山君中心に守りの堅い近江が勝ち上がると予想。強打豊川と大会屈指の好投手吉岡君擁する阿南光は好勝負の予感。

Cブロック健大高崎
タレント軍団の健大高崎の勝ち上がりを期待。敦賀気比vs明豊は常連校同士でチームカラーもどことなく似ている。敦賀気比エース竹下君を明豊打線が打ち崩せるか。

Dブロック創志学園
名門東海大相模で永年監督を務めた門馬監督が昨年着任。着任早々に甲子園へ導いた。学校が変わっても基本としてきたアグレッシブベースボールは変わらず。能力の高いチームだ。

Eブロック耐久
エース冷水君の頑張りで創部120年悲願の甲子園を掴んだ耐久が昨秋同様に粘り強く戦うと予想。冷水君中心のチームなだけに優勝争いは難しいだろうが大会の序盤を勝ち上がる力はある。

Fブロック広陵
個人的優勝候補広陵が抜けた存在と見る。高尾君はそう簡単に打ち崩せない。高知は平君、辻井君の2枚看板が粘り強く広陵打線を抑え込んで終盤勝負なら勝機が生まれるか。
秋の東北を制した青森山田も抜け目のない野球で実力は十分。

Gブロック作新学院
昨年秋の神宮大会で準優勝した作新学院が勝ち上がりと見る。対抗は当然大阪桐蔭。ポテンシャルだけなら今大会も優勝候補筆頭級。ただ最近はやや雑な野球が目立ちミスから崩れていくことが多い。
学校として目指す野球の方向性が変わっていっているように感じる。まだ軌道修正中。
作新学院の小川君が丁寧にインを付けば大阪桐蔭打線といえどなかなか打てない。

作新学院vs大阪桐蔭といえば6年前の夏の1回戦で対決。その時は3-1で大阪桐蔭が勝利。この勝利で勢いをつけた大阪桐蔭が春夏連覇を成し遂げた。作新学院はその時のリベンジなるか。

Hブロック報徳学園
昨年の忘れ物を取りに行く報徳学園が勝ち上がると予想。最新のトレーニング機材を導入して科学の力も取り入れる愛工大名電も実力は十分。エース伊東君の頑張りが鍵となる。


高校野球新時代の幕開けとなるのか。楽しみな13日間の幕開け。
オープニングゲームの八戸学院光星vs関東一から目を離せない戦いを楽しみにしたい。

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