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まぼろしの太子

ある男性がいました。
彼はとても聖徳太子を尊敬していたそうです。
仏教が伝来したときに、日本が悪く変わるのを仏神融合させて防いだ、とか。
世界に例のない素晴らしい内容の十七か条の憲法を作った、とか。
何から何まで凄いことづくめで、もはやスーパーマンと形容しても良いのではないかと、憧憬の念を抱いていたのです。

ある時、友人が彼に言いました。
「聖徳太子って、実在しなかった説があるんだって!知ってた!?」
それを聞いた彼は、一度動きが止まって頭の中が真っ白になったそうです。
「ところで親鸞っていうお坊さんは知っているよね?」
浄土真宗の開祖で、その弟子が著した『歎異抄』でも有名です。
彼は聖徳太子の次くらいに親鸞を尊敬していたので、こちらも人一倍知っているほどでした。
「親鸞が浄土真宗を開くきっかけは、夢の中で聖徳太子のお告げを聞いたからなんだってさ!」
畳みかけるように友人は言いました。
「いない人のお告げを聞いてもねぇ・・・」
まぁ、でもあれかな、信じる物は救われるっていうもんね。
ニコッと微笑む友人は、彼が聖徳太子も親鸞も、どちらも物凄く尊敬しているのを、全く知る由もありませんでした。


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信じる物は救われる

知らぬが仏

言わぬが花


それでも実在したと信じるべきか…。
親鸞はただ信じて念仏することをすすめた人でしたね。



#一人じゃ気づけなかったこと

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