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問題解決あるあるコラム#15:あなたはいてくれるだけでいいの

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第15回のテーマは、「あなたはいてくれるだけでいいの」です。ドラマなどでもよく耳にする言葉ですね。母親が我が子に対してかける言葉としてもよく登場し、無償の愛を端的に表しています。誰かにこんなこと言われ、自分の存在を肯定してもらえたら、嬉しくて天にも昇る気持ちになりますね。では、自分たちが所属する「組織」ではどうでしょう? あなたは「いるだけ」でいいですか? 


「いてくれるだけでいい」は組織にとって価値あることなのか?

このコラムを読んで頂いているほとんどのかたが、何かしらの組織に所属していると思います。営利団体である企業勤めかたが多いですよね。自動車業界のかたも多くいらっしゃると思います。そんな組織の中で「いるだけでいい」なんてことありませんよね? ところが、その「いてくれるだけでいい」がよく生まれる場面があります。SWOT分析です。

ISO 9001やIATF 16949に取り組もうとすれば、組織の「強みや弱み」を分析することが必ず要求されます。その方法のひとつとして有名なのが、SWOT分析です。SWOT分析とは、取り組もうとする課題に対して、現時点の「強み=Strength」「弱み=Weakness」「機会=Opportunity」「脅威=Threat」をリストアップしていく現状把握の為の分析手法です。

このSWOT分析で「強み」を考えてもらうと、出てくるんです、「いるだけでいい」が。「ルールがある」「基準書がある」「設備がある」「経験がある」等々「存在していること」が強みとして挙がってきます。これ、本当でしょうか? 例えば、ルールや基準書などは「ある」ことが必須ですし、もし必須でなくてもあった方が都合が良いですね。でも、これらはあるだけで本当に「強み」なのでしょうか? 活かせていなければ意味がありませんよね? つまり、これらが存在していることはまだ「機会」であり、活用し成果を出せて初めて「強み」になるのです。

「ある」に価値が生まれるのは「ない」の反動

では、なぜこれらが「強み」に挙がってくるのでしょう? それは「弱み」の反動だからです。SWOTの「弱み」には多くの「あれがない」「これがない」といった「ないない」が並びます。その反動で「ある」ことに価値が生まれ、「ある」だけで「強み」に分類されてしまいます。どんな組織でも、もっとたくさんの「強み」があるはずなのに、です。では、なぜ「ある」ばかりが「強み」として認識されてしまうのでしょうか? 

これは、第5回のコラムでもお話しした、「パフォーマンス評価をしていない」ことに端を発します。自分たちで自らのパフォーマンスを評価していないので、自分たちの「強み」がわからないのです。なので、その代わりに何かが「ある」ことを「強み」として評価してしまうのです。一方、「弱み」も同様で、パフォーマンス評価をしていないので、手段や環境の不足に対して不満を挙げてしまい「ない」「ない」のオンパレードになってしまうのです。そうして、「ある」「ない」評価の後は、みえない「脅威」に怯え、自分たちで切り開けるはずの「機会」には、世の中がもたらす変化を挙げ、「SWOTを埋めること」を達成します。

「ある」「ない」評価が生まれるのは「パフォーマンス」評価をしていないから

つまり、「いてくれるだけでいいの」はパフォーマンスを評価されず、その「存在」のみを価値とする、「消去法の評価」の結果、ということになります(あくまでも営利達成を営みとする組織での役割の話であって、特定の個人の存在を否定するものではありません)。親が子を、子が親を、愛おしく思う気持ちは紛れも無い価値判断です。しかし、組織の中では「存在」はまだ「機会」に過ぎず、その「パフォーマンスを評価する」ことが、次の改善への動機づけとなるのです。

ふり返ればPDCAが回り出す

「ある」と「ない」だけの評価基準から、「パフォーマンス」へ評価基準へ変えていきましょう。「パフォーマンスの評価ってなんか難しそう」と思っているあなた、心配ありません。パフォーマンスを評価するのは意外と簡単です。それは、「ふり返れ」ばいいのです。やったことをふり返れば、その結果や取り組みが勝手に評価され、「できたこと・できなかったこと・課題」が生まれ、次の取り組みの「目標」や「計画」が生まれます。実は、これこそがPDCAを回すための重要なステップなのです。

まとめ

もし、あなたが実施したSWOT分析で「ある」が「強み」に分類されていたら、今すぐふり返ってみましょう。そして、「ある」ことの先で行われた活動や、その活動によって生まれた「結果」を評価してみましょう。良かったことも悪かったことも生み出されていたはずです。そして、「ない」ことは、それだけで本当に「弱み」なのでしょうか? もしかすると「ない」ことから新しい「機会」に気がつけるかもしれません。そんな目でSWOT分析を見直してみると、今までとは景色が変わってみえるはずです。

そうして「ある」「ない」が判断基準だったところから、「パフォーマンス評価」ができるようになり、みつかった課題から改善の提案を行い、PDCAを回せるようになれば、「いてくれるだけでいい」や「いてくれた方がいい」から、「いてくれないと困る」と言われる存在になることができるはずです。そんな今とは違う未来へのきっかけが、SWOT分析の中には潜んでいます。昔にやったきりになっているSWOT分析があったら、一度見直してみてください。きっと今まで気づかなかった何かがみつかるはずです。 

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「SWOTはいつでもあなたと共にいる」です。
次回もお楽しみに! 

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