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問題解決あるあるコラム#17:ふり返ればQがいる

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第17回のテーマは、「ふり返ればQがいる」です。なんかどこかで聞いたことのあるフレーズですね。これまでのコラムでも何度も「ふり返り」を提案してきました。「ふり返る」ことが活動に付加価値を生み、次の成長の機会も提供してくれます。でも、我々はこの「ふり返り」が苦手なのです。なぜなら、人間は前に進みたい動物だからです。


前に進む事が最優先

人間の持つ「好奇心」は、時には、本来最優先事項である「リスク回避」を押し留めてでも、ものごとを前に進ませようとします。それは、個人でも組織でも同じです。とにかく前に進んでいきます(Delivery)。組織の場合、その活動が意図した通り進んでいるかを定期的に経営層が確認し、妥当性を判断します。が、ここで注目されるのは、主にコスト(Cost)です。進捗を説明する立場のメンバーは、経営層からこと細かに使ったお金のことを問いただされます。経営者なので当然ですね。そして、品質を担保するDR(Design Review)の結果は、棚卸しチェックの結果で判断されます(QualityではなくQuantitiy)。このように、組織の中でのプロジェクト運用の優先順位は、どうしてもD>C>Qとなってしまいます。

障壁がある程前に進む気持ちが強くなる

このように、経営層によるレビューは進捗とコストに関心が集まることは必然で、品質に関しては現場のプロジェクトチームにゆだねられています。そりゃそうです、経営層がいちいち細かい技術的な所まで見ていられないですから。ところが、これまでのコラムでもお話ししてきた通り、現場はプロジェクトを前に進めるためにも、経営レビューを「通過する」ことが最優先となりますので、経営層が関心のある所に力を注ぎます。そうして、「D」と「C」の力で前へ前へと進んでいこうとします。

ふり返るとQが置いてきぼりになっている

このようなプロジェクト運用をしている中で、何か問題が起きるとその時点で初めて立ち止まり、これまでの活動をふり返ります。すると、さまざまな確認事項が抜け落ちていることが判明します。そう、「D」と「C」に注力するばかりに、「Q」が置いてきぼりになってしまっているのです。いわゆる、「運用プロセス」と「検証プロセス」といわれるふたつのプロセスが、本当なら同時に進んでいるはずが、いつの間にか「運用プロセス」だけがどんどん前に進んでいってしまい、「検証プロセス」が止まってしまっているのです。本来、これらの同期を図るためのDRの場も、とにかく早く前に進むために、前回まででお話ししてきた通り、「あるなし」判断の棚卸しレビューになってしまい、「検証プロセス」が再起動することなく進んでしまっているのです。

ふり返りの場がただの通過点になってしまっている

このように、本来置いてきぼりになり勝ちな「検証プロセス」を、追い付かせるために設定されたDRが、「運用プロセス」を加速させる場となってしまっており、当に文字通りのチェックポイントになってしまっているのです。

ふり返ればQがついてくる

しかし、問題が起きてふり返った時のように、どんな時でも、一旦立ち止まってふり返れば「検証プロセス」を起動させることができるのです。「検証プロセス」が起動すれば、さまざまな確認事項がプロセスに乗り「検証」が行われていきます。検証の結果、「できていること」「できていないこと」や「課題」も顕在化し、次のアクションも決まります。そうして、置いてきぼりになっていた「Q」が追いついてくることができるのです。

しくみを超えた人類

しくみは、我々人間がふり返りたがらない生き物だということをよく知っています。なので、自動的にふり返りが生まれるように、そのきっかけをしくみに落とし込んでいるのです。が、それでも人間の「前に進みたい」という欲求が勝り、しくみの用意した「ふり返りゲート」を「通過ゲート」に変えてしまい、障害となった「通過ゲート」は、より「前に進みたい」という人間の欲求を強めてしまっているのですね。この意図せぬ状況を元に戻すには、我々がしくみの意図をよく理解し、正しく使うこと以外にありません。

少しの努力が現状を変える

しくみを理解するためには、猛烈な勉強が必要なのでしょうか? しないよりはした方がいいです。でも、わざわざ勉強しなくても大丈夫です。勉強しなくても、少しだけ「意識」を変えれば大丈夫です。それは、何度もいいますが、「ふり返る」ことです。自分たちで意識的に「ふり返り」の機会を持つことで、今まで見えていなかった色々なことが見えるようになります。人間は「見えたこと」に対してのリスク回避能力が備わっています。この、我々が元々持っている力を使えば、問題を未然に防ぎながら、活動を成功に導くことができます。ふり返れば、「Q」が改善されていくのです。

まとめ

ふり返りたがらない我々が、ほんの少し努力して「ふり返り」を行えば、そこにいる「Q」を見つけることができます。ふり返ることは、「後戻り」することではなく、この先に生まれるかも知れない「大きな後戻り」を未然に防ぐ、実は一番早くゴールに辿り着ける方法・機会なのです。「D」を優先すると、結局「D」が達成されず「C」もかさみます。「Q」を優先すると「D」も達成され結果として「C」も最小限で済みます。そして、「Q」を達成する近道は「ふり返る」ことです。このコラムを読んで「なるほど」と思ったら、早速今から「ふり返って」みてください。きっと、今まで気づかなかった、置いてきぼりになっていた「Q」に気づけるはずです。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「10個の行動心理」です。
次回もお楽しみに!


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