権力者の内面
欧米で臨床医として働いたことのある人の中では割とよく聞く話であるが、日本に帰国した時に自分が属していた医局の教授などに、”外国で何をやってきたか知らないが、ここでは一年目からやってもらうから”とか”研修医に教えてもらってから一から頑張ってください”とか要するに”お前のやってきたことなど全く意味ないし認めないよ”というメッセージを割と権力者と言っていい位置にいる人から言われることがある。
個人的にも三度の海外生活から帰国して就職活動をする際にいろんな人から必ず複数回言われることなのでさもありなんという話であり、さらにあまりこういうことが気になら無いタイプなのがますます相手をイラつかせるのかもしれ無いな、などと考えたりもする。
先日、海外で長く働いていた金融界の知り合いと話していて、久しぶりに日本に帰ってきて就職活動の末日本の企業に勤め始めたが、役員と言われる人から同じようなことをいつも言われる、と言っているのを聞いて分野に関わらずどこも同じだなと感じると共に、これがどのような精神構造から起こるのか正確に把握したいと感じるようになった。
実際、仕事世代である30−40代のメンタルが弱った方々の立ち直りのお手伝いをしていると、その中の多くの人になんらかの形で力を持った存在(親や夫、上司や指導者など)に否定された経験が心に強く刻み込まれていることが多い。
普段はその被害者である人たちの精神構造の分析を行うわけであるが、今回は少しその加害者となっている側の人の心理状態について考えてみることにした。