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体罰はなぜ起こる?

※この記事はFBページや
http://kbahorinic.blog.fc2.com/にも掲載した記事です。


背景

体罰は比較的アジア圏に多い傾向にあります。

恐らく文化的な背景がそこにはあるのでしょう。

師弟関係、上下関係、宗教、軍隊、規律、服従、民族性など

いろいろな要素が絡んで来るようです。


これらに共通する言葉は「厳しさ」です。

厳しさ=美

という図式になりがちなのがアジア圏です。

よって厳しさが常に肯定される環境が作り上げられます。

それを美としてしまうと、

厳しさに関することはすべて「正」となってしまいます。

これが怖いところです。


スポーツと体罰


さて、本題のスポーツと体罰に関してですが

個人スポーツにおいては比較的体罰が聞かれないことを、

皆さん不思議に感じたことはありませんか。

セクハラはありますが・・・。(ただ体操界の件もありましたね・・・)

体罰が多く聞かれるのはチームスポーツです。

なぜでしょう。


おそらくそれは、

日本のチーム観の根底に

「軍隊的要素」というものがある
ためです。

絶対服従、洗脳、連帯責任、集団行動、同一行動などは

キーワードではないでしょうか。


スポーツの競技特性も体罰に関わっていることは否めません。

サッカー、ラグビーをはじめとした

イギリス発祥のスポーツなどは、

試合が始まったらコーチの役割はほとんど終わりです。


しかし、

バスケットボール、野球、アメリカンフットボール、バレーなどは、

ベンチからコーチが指示を直接出せます。

言葉を変えると、コーチが選手を操作できるということです。

これが悪い方向に行くと、

コーチの感情は

「選手が自分の思った通りに動いてくれない!」となり、

試合に負けると

「指示通りに動かなかったから負けた!」となり、

そのフラストレーションが爆発して

暴力となってしまうのです。


人間のフラストレーションの大半が

事象に対するものではなく、

事象に対してセルフコントロールできない

自分への苛立ちだと言うことを忘れないでおきましょう。


ベンチからの指示が直接可能なアメリカ発祥のスポーツは、

選手とコーチが共に作り上げる概念があるということです。

よって、コーチがタイムアウトを取らないということはあり得ません。


個人スポーツの場合、

日本ではコーチと選手の関係は

比較的上手く行っているように感じますが、

チームスポーツの場合となると・・・

チームスポーツに関して言えば、

アジア圏は未だ発展途上と言えるのではないでしょうか。


体罰における3つの分類


体罰行為には次の3種類があると考えます。


①言うことを聞かない生徒に対するもの、あまりに失礼な行為を働いた時

これは、迷惑行為を働く生徒に対して感情的になり、

体罰をしてしまうというものです。

暴力は当然いけませんが、

分からなくもないとも言えます・・・。

このような生徒には、

暴力以外で何らかのペナルティーは必要でしょう。


②自分のストレスを発散させるために行うもの

思った通りに行かない時など、

自分のストレスを吐き出したいがために

体罰に走ってしまうというものです。

このパターンに該当するのは、

非常に未熟なコーチ・人間ですね。


③パフォーマンスを上げるために意図的に行うもの

理想のチームを作り上げるため、

とにかく鍛えパフォーマンスをあげることに固執します。

罰を与え走らせ、恐怖を与えて行動を促す方法です。

やりたくないことを恐怖で実行させることは、

アクセルとブレーキを同時に踏むことと同様です。

いずれそれはバーンアウト(燃え尽き症候群)となって現れます。


体罰に走ってしまう場合、

大きく分けてこの3つのどれかに当てはまると考えます。


体罰によって競技力は上がる?


体罰を行うことで、競技力や個々のパフォーマンスは上がります。

これは事実です(体罰を肯定しているわけではありません)。

むしろ体罰を加え上がらない方が不自然です。


言葉を変えると、

目的に対する行動力があがるということです。

ここでは善悪は無視します。


人間が最も行動する状況は「危機的状況下」です。

火事場の馬鹿力と言う言葉がありますね。

自身の持っている以上の力が、

追い込まれた状況下で発揮される状態です。

限界値を上げる方法の1つの手段が

体罰と言えるでしょう。


相手に行動を起こさせるには

不安感を煽る、

もしくは危機的状況を作れば良いのです。


その心理を巧みに使いこなす代表が、

オレオレ詐欺(特殊詐欺)です。

仕掛ける側は

「不安は人間が行動する最大の動機」、

ということをよく把握しています。

特にお年寄りは、

思考より感情で動いてしまいますので、

なおさら被害は拡大してしまうのです。

本能に働きかける行為のため、

今後もなくならないでしょう。


体罰以外で限界値を上げる方法


人間の限界値を上げるのに、

もう1つ方法があります。


それは本人の

「負けたくない」と言った心理から生まれます。

性格的なものもあるので、

すべての人が持ち合わせているわけではありませんが、

これを持っている選手は、

自ら進化するために

自分の限界値をあげることが出来ます。

一流アスリートは必ず持っているマインドです。


MJのエピソード


”神様”マイケル・ジョーダンなんかは顕著な例ですね。

閑話休題、せっかくなのでここで1つジョーダンにまつわる

有名な負けず嫌いエピソードを紹介します。

1992年バルセロナ五輪、つまりかのドリームチームの合宿時、

ジョーダンはヘッドコーチのチャック・デイリーとゴルフをし、

1打差で負けてしまいました。

すると、次の日ジョーダンは

早朝からデイリーの部屋のドアを何度もノックし再戦を要求。

要求を受け入れるまで諦めることはなく、

結果的に再戦の末リベンジを達成したそう。

大分行き過ぎた感のあるエピソードですが、

これが一流アスリートのマインドでもあります。


さて話を戻すと・・・

多額の賞金、報酬も欲の作用により、

限界値を超えさせることが出来ます。

良い悪いは別として、

このように様々な限界値を上げる手段があります。


結論


結論としては、

内発的動機が最も自己パフォーマンスの価値を高めることになります。

悲しいことに、自我を表に出せない子どもに

体罰は効果を発揮してしまいます。


しかし、年齢が上がるにつれ

体罰行為はまったく意味をなしません。


指導者は前述の①②③において、

自分自身がどの状況で感情的になっているのかを

客観視する必要があります。

セルフコントロールがコーチには求められます。

選手が何か悪いことをした場合
(チームの和を乱す、自己中心的、迷惑行為など)、

私はバスケットボールそのものを取り上げます。

これが生徒にとって最大の罰になるからです。

そのためには、

日々バスケットボールが楽しくてしょうがない環境を

作る必要があるのです。


あとがき


2020年3月11日

日本バスケットボール協会より

新メッセージ

「クリーンバスケット、クリーン・ザ・ゲーム~暴力暴言根絶~」が発表されました。

詳細はリンクより確認できますが、

これにより、

コーチの選手に対する暴力や暴言も、

テクニカルファウルの対象となりました。

このような行動・行為が根絶されることを願います。

http://www.japanbasketball.jp/integrity/49024

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