窓開き立哨

5月の半ばを過ぎると
春というより夏に近い気候になる。

最近は
日本的な四季が変化して
春と秋は省略されつつある。

大型商業施設のお客様の大半は
自家用車でやってくる。

暖かくなると
窓を開けて走行する人が増えて
その中の一定の割合が
車を降りる際に
窓を閉め忘れてしまう。

新しい車種なら
窓が開いたままでロックすると
警告されたりするが、
そもそもクーラーに頼らない人々は
古い車を大切にしていたりする。

駐車場を通過する際に
窓開き車両を発見してしまうと
警備士には罰ゲームが待っている。

当該車両の車種・塗色・ナンバーをメモし、
防災センターに無線で報告する。

防災センターからは
車の持ち主を呼び出す館内放送を依頼する。

発見した警備士は
そのまま当該車両の横で立哨をする。

車上荒らしに遭わないための策で
車内にゴミを投げ込むイタズラの予防でもある。

立哨は
車の持ち主が現れるまで続く。

食品売場やイベント会場付近は
館内放送が聞こえにくいので
なかなか呼び出しに気づいてくれない。

最悪なのは
映画を見ている場合だ。

こうなると立哨は2時間コースになる。

そして、
持ち主が現れる。

どんなにイライラしていても
ここは笑顔の対応である。

何かが盗まれていないか、
車内に異変はないかを確認してもらい。

何事もなければ立哨は解除になる。

深々と一礼し、
車両の出庫を見届ける。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?