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菊池寛 『マスク』

こんにちは

今日は『マスク』のご紹介です。

明治生まれの文豪、菊池寛の作品です。
(ジム・キャリーじゃないよ!)

菊池寛といえば、文春砲でお馴染み
文藝春秋社をつくった人ですね。

今から100年ほど前、世界的にスペイン風邪が大流行したときのこと
菊池寛と思しき主人公が、感染の恐怖に怯えつつ、マスク生活の日常を語っています。

文庫本で8頁ほどの小品です。
コロナ禍でなければ、おそらく再び日の目を見ることはなかったでしょう。

よくぞこの作品を掘り起こしてくださいました。
文春文庫、ありがとう!
商機を逃さないその姿勢
流石です!

主人公は体が弱く(あら、意外!)
人一倍感染を恐れている。
手洗い、うがいの励行
そしてマスクの着用!

春先になるとマスクの人は少数派になっていく。
主人公はマスクをしない人を
野蛮人呼ばわりしているくらいだから
春になっても頑張っている。
そして街で同志を見つけると嬉しくなったりして。

とまぁ、マスクに関してぶつくさ言いながらも、揺れ動く主人公の心の動きがとても面白い。

得体の知れない敵と闘う不安は
100年前も今も同じ。

去年の夏も頑張った。
そして今年の夏も。
マスクが当たり前の日常がつづく。

思いっきり新鮮な空気が吸える日が
来るのはいつ?

最後に一句

顔面の 上半分で 勝負する


しばらく
口紅買ってないなぁ(嘆)


追記
菊池寛『恩讐の彼方に』『忠直卿行状記』等の代表作だけではなく、『真珠夫人』『貞操問答』などの通俗小説もおすすめです。

#マスク
#菊池寛
#文春砲
#真珠夫人