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Lv.99のキャラとLv.50の脚本

B

クール終わりのレビューラッシュです。今回はこの作品。よくある「転生系」のこのアニメ。あまり相性の良いジャンルではないのですが自然と見進めちゃってました。なんなら結構次が楽しみになるぐらいにはハマってました。食わず嫌いは良くないなという学びを得た良いアニメでした。

感想

乙女ゲーム『ヒカユウ』の悪役令嬢・ユミエラに転生してしまった主人公。
実は、ユミエラは魔王を倒したあとに登場する裏ボスで、
レベルをカンストしていないと倒せないほどの強大な存在だった。
しかし、ただ倒されるだけの存在ではいたくはない。
そう考えたユミエラは、ゲームのストーリーに干渉しないよう、
目立たず生きていこうと決意するが、
ゲーマー魂に火が付いて思わず自身のレベルを99まで上げてしまった。
その強大な力のせいで、
周囲の人々から「魔王」と疑われることになってしまう。
平穏な学園生活を望むユミエラが手にする未来とは――?

『TVアニメ「悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~」公式サイト』より引用

あらすじ通りで、物語の開始時でもうすでにLv.99に到達してしまった俺TUEEE系。それらのジャンルの中で一線を画していた点として主人公のユミエラの不遇さではなかろうか。ユミエラは黒髪という物語の世界では被差別階層であり、さらに実力がカンストしてしまっているが故に実力の虚偽を疑われたり、さらには何者でもない多数派にいびられて魔族などと謂れのない流言飛語が飛び交う始末。異質な存在を多数派を虐げる構図でありこれは人間の歴史で常に行われていた負の歴史であり皮肉が効いていた。そこから積み上げた実力で周囲を黙らせていくのは程よく痛快さがあり、そして実力がないと虐げからは逃れられない悲しい現実を突きつけられてるような気もしてきました。

ユミエラのキャラも良かったです。光の魔法使いのアリシアとその取り巻きの漂う陽キャ感と対比的で根暗で毒々しい性格が刺さりました。自分だけだと思いますが猫猫などといったやや根暗がヒロインが一番刺さります。「陽」の光は自分にはもうまぶしすぎるのかもしれません。陰陽師みたいなことを言い出しました。

ここからは批評ですが、終盤はめちゃくちゃ駆け足。もう少し尺を増やして2クールでも良さそうですがそれはそれで中だるみしそうです。本来なら裏ボス的存在のキャラが最初っからバチバチ強くて物語の進行を乱すという掴みの良さはありましたがそれ以降は有効な一手は出せてなかった故に帯に短し襷に長しのストーリーでした。まじで掴みの面白さだけで駆け抜けてました。他要素もEDのエレノアの親友(一方的)設定も別にそんな大事じゃないし結局、エドウィンとはなんにも起こらず。学園長もロナルドも果てしない胡散臭さを出しながらただのお目付け役。あれってなんだったんだろうって見終わって3日後ぐらいに思い出す事が多いです。

ここは賛否両論あるところがありますが大事?というかある程度物語の山場になりそうなところをあっさり終わらせまくってました。パトリックの恋路もパトリック側から徐々に膨らませといてあっさりキスして終わりの逆にここまであっさりしてるのもある意味でユミエラらしいので自分は好きでした。こんなあっさり終わらせていいとこなんかこれ?な葛藤はありありでしたが。他には親との確執。ユミエラは近年稀にみる猛毒親ハードモード。令和にここまでダメな親の存在は許されることに関心しました。そんな親との禍根もめちゃくちゃあっさり描いて最後は力で表舞台から引きずり下ろす。許す許さないとかの倫理的な問いは一切挟まずに淡々と課題をこなしていく様は帰りの高速の右車線の様です。これもユミエラらしいっちゃらしくて好きではありました。

あとは作画の安っぽさ。昨今の作画はインフレ気味であるので今作品ぐらいは悪くないです。自分はすべての要素の総合力で勝負してほしいので凸凹があるぐらいが作品の角が見えるので好きです。今回は他の要素であまりある+な印象です。

原作ストックはありそうな今作品。原作をざっと見る感じ。今回、膨らましてほしいと感じたところが結構膨らんでた気がします。それなら2クールぶち抜きでやってほしかったです。


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