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今いる場所から、これまでにないものへ

「今までのかたの中で一番近しい感じがするんだよなぁ。何でだろう。」

他のかたを特別視してはいなかったと思うし、話してくださるテーマも(個別の体験や視点があるとはいえ)一緒の部分はある。それでも話を聴きながら、やっぱり近しさのようなものを感じたのは、柔和な感じの語り口からだったのか、画面越しに伝わる雰囲気からだったのか。

企画メシ第5回「本の企画」。課題は

「自分の中で絶対いける!」という確信の持てる本の企画をLINEグループ(事務局が作成します)に送ってください。

というものだった。LINEでの企画提出は初めてだったし、どのように提出すればいいのかも分かっていない部分があった。そんな中で、提出の締め切り数日前になってLINEグループが作成される。一番初めに挨拶をしてくれたのは大塚さんだった。

わたしたちにとって、本は、凍りついた心を解かす光だと思っています。みなさんの企画、お待ちしています。(原文ママ)

締め切り間近、グループの企画生が続々と課題を提出する。ピンと来ない企画は既読スルーという、その場で結果が分かるシビアなものだったが、大塚さんからの返信がついたものもあった。(残念ながら自分ではなかったが。)
講義までは、LINEグループが試験の場のような緊張したものに見えていた。だが、あの場で(一方的な印象かもしれないが)大塚さんとコミュニケーションをとったこと。それが、講義の場で大塚さんに近しさのようなものを感じた、一つの要因だったのかもしれない。

講義では、画面を通してではあるけれど大塚さんと対面して話を聴く。大塚さんから語られる10代の頃の話は、まさにこの一言があらわしていると思った。

小ささを知り、大きくなりたいの繰り返し

世界を知らないと感じれば世界を放浪し、それを自己満足だと言われれば周りにも共有できるよう展示を開く。またそれを非日常だと言われれば、日常を伝えることに目線を向ける。
似たことを感じたことがあるなと思い、そこにまた近しさがある。ただ、小ささを知った時に大きくなろうと試行錯誤を繰り返す。なかなか実直に取り組めるものじゃないと思う。
「見たことのないものを作ろう」「ニッチの中でトップになる」。近しさを感じる一方で、これを実現しているすごさも、ライツ社の本を読み話を聴くことで感じていた。

もう一つ印象的だったのは、「生活」という言葉がよく出てくることだった。

生活にいきなり入ってきても目に留まる企画
生活の中にある数字を入れるのは企画としてめちゃくちゃいい

一番近しいと感じた理由は、ここにあったかもしれない。大塚さんから語られる話は、自分とかけ離れた話のような気がしないのだ。決して、他の講師のかたが自分とかけ離れていたというわけではないと思う。ただ大塚さんから出てくる話が、企画というよりも大塚さんの生活の話であるような。そんな風にも聴こえてくる気がしていた。

同じグループの企画生が提出した課題。思い返してみると、おそらくそれぞれの生活の話なのだろう。
まゆゆは「○○らしさ」を、まきまきはモーニングルーティンを。あっこさんはミュージカルで学ぶLGBTQ+を、まめしばちゃんは推しと話せる学習本を。自分の生活の近くにあるもの、生活の中で感じることを企画にしたのだと思う。
「自分の中で絶対いける」、自分の中に全くないものからそう思うには難しい気がする。でも好きなものから企画をするのもまた難しい。

生活にあるものから、視点を少しずらして突き詰めて、これまでにないものへ。
近しさから、得意なことを誠実にやり抜いて、届かないような領域へ。
これが企画の目指すところなのかもしれないと、今回の講義で改めて学んだ気がする。

だからと言って、ただただ突飛なことをすればいいのではなく。自分の周りにあるものにしっかりと目を向けて、自分にやれることをやり切る。それが、自分の今いる場所から少しでも飛距離を生みだしてくれたらと思う。

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