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「志」の話をしよう

志す
ある事をしようと思い定める。心の中に立てた目的・目標に向かって進もうと決心する。(コトバンク)

志すとは、どういうことなのだろうか。ずっとそれを考えていた。

「志す」を企画する

企画メシ2021、第6回は「食の企画」。課題はこの「志す」に関することだった。

農業(漁業)を志す人が増えるために食べチョクができることを企画してください。

農業(漁業)を「志す」とはどういうことなのか。農業や漁業に興味が持てれば、「志し」ているのだろうか。実際に農業または漁業に従事する、または従事するために具体的な進路を描き、行動をしなければ「志し」ていないのか。とても推進力のある言葉だとは思っていたが、どこからが「志」と呼べるものなのか。
言葉の意味や範囲はそれぞれの捉え方で変わるよ、と言われればまさにその通りではある。けれどこの言葉自体が力を持っていると思うからこそ、それがどういうことなのか、自分の中で持っておきたかった。

第6回の講師である、株式会社ビビッドガーデン代表・秋元里奈さん。著書である『365日 #Tシャツ起業家』に一貫して書かれているのは、「生産者ファースト」ということだった。生産者のパートナーとして食べチョクを運営し、他にもいろいろなサービスを展開して、生産者をサポートしていく。
その食べチョクができることを企画するのだから、ここでいう「志す」とは、やはり実際に従事する人を増やすということなのだろう。
従事する手段にしても、農家や漁師になることだけではないはずだ。農林水産省に入って働くことも、農機具メーカーに入社することも、ひいてはビビッドガーデンに入社することすら従事することではないのかと考えた。ただ、やはり『Tシャツ起業家』を読むと、秋元さんの目は(もちろん全方位に向けていると思いながらも)強く生産者に向いていると感じる。

そのため、「農業(漁業)を志す」ということは、「農家や漁師など、生産者として農業・漁業に従事することを目指す」ことだと、自分の中に据え置いた。

「志す」のに必要なものは何か

「志す」には、何が必要なのだろう。反対に、なぜ自分はいま志さないのだろう。部活動で野球やサッカーをやっていれば、将来プロ選手を志したかもしれない。面白いマンガやいい音楽に触れて、マンガ家や音楽の世界を志すというのもよく分かる。自分の持っているスキルや資格が、そのまま志すものにつながることもあるだろう。
農業や漁業を通じて作り出されたものには、毎日のように「食べる」ことを通して触れている。港で漁船を見たことはあるし、歩いている周りに田畑が広がるのも日常だ。小さいころには田植えの体験や、鉢植えで野菜を育てて日記をつけたこともある。

日常的に触れているのに、なぜ自分は農業や漁業を志さないのか。それは志すような鮮烈な体験や、従事することを実際に想像できるような経験が、自分の中に無いからなのではないか。
であるならば、実際に想像できるような経験が、またはそれになるべく近いことができればいい。自分が今回提出した課題は、それが実現できればと考えたものだった。

秋元さんに感じる「志」

講義を受けて感じたのは、秋元さん自身が強い「志」のある人なのだということだった。『Tシャツ起業家』には、秋元さんが人前に立つことの苦手意識について書かれているが、お話を聴いていてそんな風にはみじんも感じない。自身のことや、企画生のみなさんが提出した課題について、明瞭に話をされているのがとても印象的だった。

課題については、「生産者の力になれることはどのようなことか」「一次産業へのダイレクトな支援」という目線のことを話されていた。自分の中に据えた「志」は、秋元さんの目線と大きくは異なっていないのだ。そこに安心しつつも、やはり企画生のみなさんの課題を見て、秋元さんの講評を聴いて、その志を体現する企画を提案することの難しさを知る。

秋元さんは最後に、「企画することとは」について、このように言われていた。

企画することは全てのスタート。
一番最初が一番大事で、どれだけ熱量を込められるかで成果が変わる。

そう、秋元さんからは「熱」を感じる。話をされる口調や身振り手振りといった、見える部分の話ではない。明瞭に話をされるその内側というか、秋元さんを見ていてその芯の部分に、しっかりと話そう・伝えようという姿勢がはっきりと感じ取れる。
自分にある志を、熱をもってしっかり伝えられる。画面を通してではあったが、秋元さんの姿にそのようなことをひしひしと感じた。

自分と「志」

さて、自分と「志」の話だ。
企画メシも終盤を迎えている。にもかかわらず、相変わらず毎回の課題には苦戦する。果たして熱量をどれだけ込められているか、それをきちんと「伝わる」形にできているかというと、そもそも反省点しかない。

それでもほかの企画生とチームを組んだ「チームの企画」は、やっとここにきて実際に動く段階に入ってきた。第3回の講義が終わって、チーム5人で「年内いっぱい、できるところまではやってみよう」と話をしたことが。ずっと5人で毎週のように暗中模索したことが。本当に少しずつ動き出してきた。
ほかの企画生にも協力してほしいことを発信すると、丁寧にそれを返してくれる。繋がりを作りたいと思って進めているこの企画で、既に自分の中でいろんな企画生と少しだけ繋がりはじめているのではと感じている。それがけっこう、というかかなり嬉しい。

ごくごく個人的な「志」の話もあるのだが、それはまた改めて。
ただ、企画メシも自分自身も少しずつ、でも一気に動き出した気がする。いま個人的にその実感がすごく大きい。一気に動き出した分、したい事・しなければならない事も当然多く、ここ最近の自分は目まぐるしいというほかない。

まだ何かを成し遂げたわけじゃない。いまはそれらを成し遂げようと、精いっぱい動くしかない。
動いた先に、成し遂げられるものがあればいい。そう思ってチームのみんなとも、企画生のみなさんとも、何より自分自身がこの後も走り続けたい。

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