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受難のコーヒーカップ 7日目(7回目)

とはいえどうにかセーフだった。
前回訳あってヒビが入ったコーヒーカップに今日は生正味漆(きじょうみうるし)を浸み込ませることになった。なかなか長いヒビ。

生正味漆は、漆の木から採取した樹液を濾した漆で少し薄い色をしている。強度が強く伸びがいいので高価な美術品の製作の下地用として使用されるらしい、そして乾きが遅い。

だからだろうか?その生正味漆をヒビにしっかり浸み込ませるように筆をじっとヒビの上に乗せていく。最初は点、点、点と団子のように乗せてじわりじわりと浸み込ませていく。

ところがコレ疲れていたからか、ほかに先に進んでいる作業が終わって、遅れて追加の作業になったので最後の作業だった。
私は点、点したまま帰ってしまったのだった。

それから2週間後8日目(8回目)

「!!っ!」
先生が、「ヒ!」とも「へ!」ともつかぬような音の声で、生正味漆が団子の数珠つなぎのようになった私の例のコーヒーカップを見て唖然!

点、点と表と裏の長いヒビに生正味漆を乗せたまま

「これは!」
さっそくそのフランケンシュタインのような傷跡を持ったコーヒーカップは先生の早急なかつ手際のよい処置により、生正味漆も団子状に浸み込んではおらず、きれいに傷跡に細く浸み込んで事なきを得た。

というのも生正味漆を塗る前に、確かご飯粒をつぶした「汚れ止め?」の処置を施していたから?だろうか?良かった。

本当に受難の珈琲カップである。危なく団子三兄弟になるところだった…というのは先生の小さなつぶやきだ。(笑)
果たしてどんな仕上がりになるのだろうか?なかなか今は痛々しいヒビなので少しでもセンス良く仕上げてあげたいと思っている。
そんな7日目と8日目の出来事。
ありがとう
2023.11.21


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