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オスカルとロザリーの出会いは”パパ活“(!?)

50年目の「ベルばら」と元ネタツヴァイグ伝

池田理代子先生「ベルサイユのばら」50周年ということで、いろいろと記事も出てきています。

で、このnoteの記事にえらいタイトルをつけてしまいましたが…😅(でも本当)

つまりパリの下町でリストラに遭い、病身の母を抱えて途方に暮れていたロザリーは、しょうもないアルコール依存浪費家援交オヤジのミラボー伯(実在の人物、のちに貴族でありながら革命に加わる)に声をかけられたことがきっかけで、つい思い余って通りかかったオスカルの馬車にパパ活を申し込むと。
オスカルは「私は女だからタダでもお前を買うことは出来ん」と一笑に付すのですが、よーく考えるとそうとも限らないような…(こわい考えになってしまった😓。この場合なんと表現するか…姐活!?)

この「ベルサイユのばら」、一部にはオスカルを除けばツヴァイクのアントワネット伝のコミカライズに過ぎないとの評価もあり、池田先生も原点がそれであることは認めていらっしゃいます。

ロザリー及びバグ

ロザリーも、アントワネット伝にも登場する実在の人物で、コンシュルジュリー牢獄で処刑を待つ日々のアントワネットの世話をしていた娘ロザリー・ラ・モリエールが元ネタです。そしてそこに脱獄計画を持ち込んできた最後の王党派軍人レニエ・ド・ジャルジェ将軍がオスカルの父の元ネタです。

つまり、「ベルばら」では物語終盤にあたるこのロザリー&アントワネット&ジャルジェ将軍の邂逅を念頭において、池田先生は全体の構成を作っていったと思われます。

それで伏線として、中盤にロザリーがアントワネットに出会う場面があるのですが―

ここでアントワネット伝が元ネタであるが故の明らかなバグを、一つ見つけてしまいまして…😟

つまりオスカルは姉の婚家の遠縁の娘(当然貴族)というウソンコ設定でロザリーを宮廷に連れてゆき、そこでポリニャック夫人の娘シャルロット(実在しません)はオスカル様押し押しゆえロザリーに猛ジェラシり、挙句「貴族ではない」とうたぐるワケです。
この後アントワネットがロザリーに話しかけるのですが、ここで口にする名前が「ロザリー・ラ・モリエールさん」(本名のまま、オスカルが紹介したと思われ)…あれぇ~!?

これより前、ロベスピエールがオスカルと出会う場面で、「貴族や名家には"ド”の称号がつく」と説明されていたような…

つまり本名を名乗らせてる時点で、家柄が貴族でないことはバレバレのはずで。(どうせなら名前もウソンコハンドルにしちゃえよ…オスカル様)

初めに読んだとき子供心にも(なんかおかしいなぁ~?)と釈然としなかったこの件は、おそらくはこういう事情だったと思われ。

(ちなみに池田先生のおっしゃるには、当初やはりアントワネットがメインでオスカルは脇役のつもりだったとか…。もし脇キャラのままだったら、果たして革命の引き金を引くという重大な役どころになったかどうか?何せ直球王党派ジャルジェ将軍の嫡子ですから、将軍の言う通り最後まで王家に忠誠を尽くすとか…再びこわい考えになってしまった😓。)

出てくる人来ない人

アントワネット伝にも登場し、革命をもたらす上でフェルゼン伯&ポリニャック夫人と並び重要な要素となった(つまりアントワネットのマブダチと目されていた)人物としてもう一人、ランバール公夫人が挙げられますが、こちらは「ベルばら」にはなぜか登場しません。(名前は1度くらい出てきたかな?)話がややこしくなりすぎるためか、或いはその最期がルイ16世の真性包茎(こちらはベルばら中では”肉体的な欠陥”としてさらっと触れられています。アントワネットに世継ぎのプレッシャーを与えてマブダチ押し活やらギャンブル&買い物依存やらに走らせ、更に国民にブルボン王家世襲への不安を募らせたという点で、やはり革命の重大材料でしょう。)同様、とても少女誌でそのまま描けるものではないためか…。
革命後、さんざアントワネットに貢がせた富を元手にスタコラサッサと国外逃亡したポリニャック夫人とは対照的に、ランバール公夫人はアントワネットとの熱い友情を守って留まり、結果民衆によって世にも無残な虐殺をされるという…。彼女にスポットを当てた作品もあれば興味がわきます(大それてますが描いてみたい気も…)。

ポリニャック夫人と並びアントワネットに貢がせまくったファッションコーディネーター、ローズ・ベルタン(「ベルばら」ではノミ色ドレスを押し押しした眼鏡っ娘デザイナーでした)の漫画は最近出てますね

首飾り事件の犯人ジャンヌ・ド・ラ・モット・ヴァロア⬅wikiなどではこの表記が一般的なようで(リアルにアントワネットとマブダチだとかいう話も考えたことはありますが…仮題「異説・マリーアントワネットの首飾り」?)の方は、東京ムービーのTVアニメ版(監督は旧虫プロ出身でカリスマ評価を得ていた出﨑統氏、のちに池田先生原作の「おにいさまへ…」も手掛けた)での死に際のツンデレっぷりと幸せ感が印象的ですが、彼女絡みでアントワネットに関わるカリオストロ伯爵(「アルセーヌ・ルパン」にも登場し、「ルパン三世カリ城」ロリコン伯爵のネーミングの元ネタとも思われる)も「ベルばら」には登場しない重要人物の一人ですね。

史実との整合

「ベルばら」においてはオスカル・アンドレの存在と、ロザリーの血縁関係を除き、フランス衛兵隊の造反が革命のきっかけとなる等大筋では史実に準拠しています。
このフランス衛兵隊、作中にもある通り貴族身分を持たない者もおり、高貴に騎士道的とは限らなかったようです。そのイメージ通りに描かれてるアランなんて”貴族”の上に”貧乏”がつくは、モミアゲだは…にもかかわらずとあるグッズにおいては、フェルゼン・ジェロ―デルと並び”貴公子”として名を連ねていたような記憶が…(TVアニメ版ではめでたくクラスチェンジして”百姓貴族”となりました。)
ちなみにそのグッズではアンドレもラインナップされてました(「節子その方平民や、貴公子ちゃう」)。

けれど池田先生の歴史ジャンル、のちの「オルフェウスの窓」とかにはかなり重大な歴史改変が見受けられまして…それはまた別の記事で。

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