卒業後も論文が読みたいとき

「学生の時のように卒業後も論文を読みたい!」そう思ったことはないでしょうか?仕事に関連する物であれば勤務先を通じて手に入れることができるかもしれません。でも、趣味や自己研鑽のために読みたい場合はどうすればよいのでしょうか?今回は卒業後にも自由に論文が読みたい学問を愛する読者の方向けに論文の検索方法と閲覧または入手する方法を4つ紹介します。


論文の検索方法

検索方法

興味がある分野や事柄が決まっている場合は論文を検索する必要があります。大学ではデータベースで論文が検索できたと思います(例えばSci-Finderなど)。データベースは契約が必要なので卒業後は利用できなくなります。卒業後は検索にGoogle Scholarを使うのがよいと思います。通常のGoogle検索でも論文のタイトルなどを入力すれば検索できますが、Google Scholarなら検索オプションでデータベースのように著者、雑誌名や出版年度を指定することができます。

論文を閲覧または入手する方法

① Open Accessの論文を探す

一番簡単な方法はOpen Access (オープンアクセス)の論文を探して読むことです。Open Accessとは購読契約をしていない方も自由に読むことができるの論文のことです。通常は有料ですが、Open Accessの論文も一部掲載している雑誌もあります。化学系の場合は代表的な雑誌であるJournal of the American Chemical Society、Angewandte ChemieやEuropean Journal of Organic ChemistryなどもOpen Accessの論文を一部掲載しています。各雑誌のWebサイト上で探してみましょう。また、各雑誌の論文を紹介するX (Twitter)のアカウントをフォローするのも良いかもしれません。中にはOpen Accessのものを紹介しているポストがあります。
雑誌全体がOpen Accessのものもあり、化学系ではChemical Science、ACS Omega、ACS AuやBeilstein Journal of Organic Chemistryなどが挙げられます。
Open Accessの論文を探すメリットは無料であることです。一方のデメリットは、興味がある論文に出会えるかは運次第であること(有料のものと比べて本数が少ない)や、一部に不適切な査読を行っている低品質な雑誌が紛れている可能性があることです(ハゲタカジャーナル問題)。ハゲタカジャーナル問題については本記事では紹介しませんが、各大学の図書館から注意喚起が出されています¹⁾。雑誌の評判を調べて対策しましょう。

② 近くの大学の図書館を利用する

近くの大学の図書館を利用するのも方法の1つです。事前に利用資格や学外の方への対応時間を大学図書館のWebサイトなどで確認しましょう。入館前に事前予約が必要な場合や、入館時に身分証などが必要な場合があります。大学の図書館では冊子として収蔵されている論文の館内閲覧と複写ができます。また、電子ジャーナルの場合は大学によって対応が異なりますが、館内閲覧と職員に依頼しての複写ができる図書館もあります。各大学の図書館の規則によって対応が異なるので事前にWebサイトで確認するか問い合わせをしてください。また、複写にはルール(複写できる資料の範囲や複写不可な期間など)があるので職員の指示に従ってください。複写には料金がかかります。自身で複写する場合は、事前にコピー機などの設備についても調べておきましょう。コイン式の場合もあれば、大学内の売店でカードを購入する必要がある場合もあります。

③ 地域の図書館を利用する

地域の図書館(市立図書館や県立図書館など)で複写物を取り寄せることができる場合があります。複写料金などを含めた詳細は利用する地域の図書館のWebサイトで確認するか問い合わせてください。

④ 国立国会図書館を利用する

国立国会図書館は東京本館と関西館があり、利用しやすい地域にお住まいの方はこちらを利用して論文雑誌を複写する方法もあります。詳しくは国立国会図書館のWebサイト²⁾をご覧ください。

以上に大学卒業後にも論文を閲覧する方法を紹介しました。①と②の方法は私も利用したことがあります。③と④については利用したことがないので、簡単な紹介にとどまりました。在学時と比較すると手間がかかりますが、論文の入手は不可能ではないです。在学時に情報に簡単にアクセスできたありがたさを実感しますね。

【参考文献・URL】

1) 九州大学付属図書館, ハゲタカジャーナル(注意喚起) - 九州大学附属図書館, https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/services/open/gold/pj (2024年1月19日閲覧)

2) 国立国会図書館, https://www.ndl.go.jp/ (2024年1月19日閲覧)