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【詩】楽園

アラベスクの流麗に見とれて 冷たい彩色タイルに凭れると 微熱がひいて 中に吸い込まれていく

アラベスクの中には 空も水も 空気も花もある 食むための唐草も 読むための書もある 青の壮麗の中で 時間を忘れて過ごしていると もう外には戻れない 人を描くことを 禁じられたアラベスクには 人が抜け出す出口がない 香り立つ文様に酔うように 旋回して舞い始めたら 目が回り 視界がターコイズ色になって 私はターコイズの中の 黒い斑と化し もう人界に戻れない

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