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自己中な僕が見出した、人を理解するための答えは「あだ名をつけること」だった。

お前、あいつの好きなものを知っているか?

これは、ReDiverのパートナーに言われた
一言だった。

好きな服、好きな色、好きな食べ物…
嫌いな季節、苦手なこと…メンバーのことを考えていて、不躾に突きつけられた質問のおかげで、僕は人のことをまだまだ分かっていないんだなと理解した。

就活を終えた僕は、絶賛モラトリアム中だ。
好きな仕事をし、好きな人たちと遊び、好きなアニメを一気に見たり、好きな洋服を買いにショッピングに行ったり。

仕事は少しずつ声を上げているおかげで、協力してくれる人が少しばかり現れ、それでも活動としても0.5割ほどしか納得が行かないほど、もどかしさを感じていた。


「くっそー、早く走りたいけどチームで動くならみんなのことを理解しながら進んでいかなきゃいけないし、歯痒いなぁ」


僕は拗ねて、その日は1日パートナーからオススメされたスポーツアニメを一気見することにした。こんな時ぐらい思いきり休んでやる。

開いたパソコンの中では、高校野球児があくせく、甲子園を目指していた。
そんな中、隣のスマホが光った。

内定先から連絡だ。

「けいくんを去年のインターン参加者としてインタビューさせて欲しい」という内容だった。こういう過去の振り返りと、人に言葉を伝えるが大好きだった僕は、快く引き受けることにした。

「では、まずアンケートを…」

その中で書かれていた質問を答えるために
頭の中をジグザグに漁っていく。


ふと、思い出した。


そういえば、こんなこと前は楽しんでたな。
僕は懐かしくも、寂しい思い出を
メモ帳に綴り始めることにした。


君は炎の剣士だ。

インターンシップというイベントには、決まって最後にお互いの感想を言い合う場を設けられる。
僕は、その際にあだ名を付けて伝えるのが恒例だった。

まぁ、みんなへはインターンの始めに公言はしている。

「終わった後、全員にあだ名を付けてフィードバックするから楽しみにしててね!」

そんなこと言うもんだから、フィードバックの僕の番は、みんなが恥ずかしがりながら「俺は、私はなんなんだ〜?笑」とニヤニヤしながら聞いてくれて、僕もそれが嬉しかった。

ただ、それをするためには、
少々余計な仕事がかさむ。

みんなと話しながら

・その人の発言内容
・その人の発言意図
・その人の性格

を書いていき、帰った後家でまとめてみる。

「この人こんなこと言ってたなぁ」
「あれ、この人あんま書けない。話せてないってことか」

そんなことを黙々とやっていた。

僕が1番印象に残っているのは
「炎の剣士」と名付けた男の子だ。

同い年で、背丈を同じくらい(180ちょい)の子で、なんだか雰囲気が似ていた。


昔の僕に。


「俺、人とコミュニケーションをとる天才なんで!モデルもやってるし、デカいイベントの企画とかもしたんすよ!」

あー、こういうとこ。
前は自分のことを誇示して、強がってたっけな。

自信満々にチームを引っ張っていく彼を見て、昔の自分と重ねながら僕も流れるまま様子を見ることにした。


しかし、状況は一転する。


その子が付いて来られなくなった。
あれまで言葉を発していた彼が全く言葉を発しなくなったのだ。

聞いたことのない言葉の応酬。
話したことのない会話の数々。
進んでいく会話のスピード。

見るからに、彼の顔が曇っていった。
僕らもそれをわかっていて何とか、サポートしようと説明を小まめに入れたり、話のテンポを調節する。


これは凄く怖いことだとわかっていた。


僕も始めたばかりの頃は
周りの話すスピードが早く、言ってることも理解できず、時間が決まっている中で自分だけのために会話を止めるわけにはいかない。

焦るばかりか、終わった後の虚無感がすごかった。


結局僕らは最後まで、彼をすくい上げることができなかった。

そうしてインターンが終わり
全員で行った懇親会。

僕らの前で彼は泣いた。


自分が情けなくて、悔しくて、どうしたらいいかわからなくて。今までこんな経験をしたことがなくて…変わりたいんだ。

(文章は左へスライドできます。)


僕らも初めからこんなんだった訳じゃない。
しかもインターンで賢い奴が、本番に強いわけでもないんだよ。


不器用で、自分に直向きな自信を持ち
いつも絶やさず闘志を燃やす彼。

水みたいな、相性の悪いものにはまだまだ負けてしまいそうな危うさ。


僕は彼に「炎の剣士だね」
そう伝えた。


ここで泣けるんだ。凄いやつだよ。
君はもっと強くなれる。

そんなことを思い出していた。
彼は今どうしているのかな。

昔の僕にあったら、
今の僕はなんて言われるかな。
もっと人のこと理解しなきゃあかんな。

そんなことを考えながら、
アンケートを書き終えた僕は


静かにスマホを置いた。




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