誰かにもらった目標が、僕だけの目標になった。
「タニモク…」
内定先からのお呼び出しだ。
今日は、僕の次の代の就活生向けのイベントが内定先であり、「手伝ってくれ」と連絡を受けたが半信半疑だった。というか効果があるなんて想像していなかった。
「他人に目標を立ててもらうワークショップ」
そんなのしてる暇あるなら、自分で目標を見つけて行動しろ。
僕は昔からそんな奴だ。
無音のエレベーターが音を鳴らす。
受付に着いた時、何度かお世話になっている人事の社員さんが出迎えてくれた。
もう何度来たかわからない廊下を歩き、
何度開けたかわからない扉を開き、
何度入ったかわからない会場に到着した。
白いテーブルが3つの島のように漂っている。「あれ、意外と少ないな」そう思う僕を横目に社員の皆さんが歓迎してくれた。
「noteいつも読んでるよ〜!」
「私も実は…笑」
「本当に続けちゃうんだもんすごいな!」
なんだか照れ臭いけど、嬉しい。
この人たちはやっぱり僕と似ている匂いがした。
そんな僕の話はさて置き、
今日参加する就活生が1人ずつそっと、入室してきた。
目の前には、男の子と女の子がいる。
少し緊張しているように顔が硬い。
「僕も一年前はこんな感じだったかなぁ、早いな」と浸りながら、挨拶を済ませた僕らの周りには、上手くいったのか思った以上に雑談が響いていた。
そうして始まった
「他人に目標を立ててもらうワークショップ」
僕らのタニモク。
今日は、上手いことを言って終わらせるのをお互いにやめようか。
話をしていくと、なんとなく人となりが見えてくる。2人とも「就活が上手くいっていない」と言いながら自分でしっかり動いているようだ。
ただどちらも器用そうで、不器用なところが愛くるしかった。
「幹がしっかりしないと先の枝や実は育たない」
「何でもしようとしても、結局何もできてない」
そんな話が出たり
「上手いことを言って済まさない」
そんな事を僕は言ったりした。
これは最近ようやく認められた自分の改善点だった。
そうして最後に僕の番がきた。
「困ったことなんてあるんですか?」
「悩んでてくださいよ〜!」
と2人が嘆いていたので
「2人が俺になったらこれからどうするか考えてみてよ!」
そう言ってみた。
まさかそんな言葉が出るとは。
まず男の子。
印象的だったのはこれだ。
「ホームレスになればいいと思います。僕は昔、友達が家出して、相談しにきたことがあるんです。でも絶対家にいる方が楽だと思ったから帰るように勧めました。それでも友達は帰らなかった。だから僕も同じ体験をして、そこまで帰りたくないという気持ちがどんなものか体験したんです。しかも2日。公園のベンチで寝ました」
これはパンチ効きすぎだろ。
この子の行動力には参った。
最高に見込みのある子じゃないか。
この子は今の僕よりきっと、人の痛みに寄り添おうとする子なんだ。
やり方はどうであれ、僕も見習わなきゃいけない。
そして次の女の子。
「前に散々言われた社長さんに会えばいいと思います!就活中に、面接で実績もなにもないと散々言われた人に今の自分を伝えればいいんですよ」
これこそビックリだった。
僕はその社長に面接で散々罵倒されて、それが悔しくてReDiverを始めようとスイッチを入れた。
その社長にまた会えと!?
でもいい手段なのかもしれない。
いや、確かに怖いけど。
今の僕をどう思ってくれるのか知りたい。
自分の弱いところと向き合って、強くあろうとしてきたのが、最近の僕だ。
ただきっと、その一幕を終えるにぴったりな物語はその先にある気がした。
「この子たち遠慮ねぇなぁ。笑」
そう思いながら、僕はまた弱さと向き合った。それと同時にこの子たちに対する就活の心配はなくなった。そして、言葉を発する強さは時に、年齢を越える。
そう感じていたんだ。
これから社長に連絡を取ろうと思う。
お問い合わせにメールでもいれておくか。あの社長のことだから「感謝されるとか、どうでもいい!」って返してきて、会わなさそうだし。
まぁそこの方法はゆっくり考えよう。
にしてもまったく、参ったもんだ。
これだから就活っていうものは、いつ関わっても人の痛みを掘り、人を深みの増したものにするんだから。
「僕一人じゃ考えなかったことだな」
そう思った僕は、感謝の印として
ReDiverのロゴステッカーを渡した。
ちゃっかり営業も忘れていないと笑わないで欲しいが、いつか2人が立ち止まった時、この瞬間を思い出して欲しい。
そんな繋ぎ目をこのステッカーに担ってもらおう。
男の子はさっそく就活ノートに貼っていた。
満足気に僕に見せてくる。
そんな顔をされると、こっちまで嬉しくなっちまうよ。
2人「ReDiverって、何でReDiverっていうんですか?」
僕「より深く人の心に潜れるように、未知への好奇心を忘れない開拓者であるために、だよ。いいでしょ」
2人「深い〜」
この空間は間違いなく
誰でもない僕らのモノになった。
僕らのタニモク。
人に気付きを与えるのは、
やはり自分ではない誰かなのかもしれない。
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