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たかまつなな(慶大総合政策卒、AO入学)炎上の理由を3つほど考えてみた

正直いいますとね、塾生OBOGでも多種多彩でして。

とりあげやすい方と、とりあげにくい方とがいます。

ちょうど判断に迷う例がありましたので、ご紹介まで。


タイトルにあげたたかまつななさんですね。

芸人・ジャーナリスト・起業家という多芸多才なかたです。

それはいいんですが、さいきんネットでよくない目立ちかたしてます。

後述しますが、3つほど考え違いがあるのでないかと。

    ↓

炎上CM「若者よ、選挙に行くな!」に今度は盗作疑惑 :デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/04150600/

優秀な記者のかたが、たいへん巧みにこの事態を整理されてます。

 今回、物議を醸した「若者よ、選挙に行くな【2023年ver.】」のCMは、2023年3月にYouTubeで公開された。統一地方選の選挙啓発、特に若者の投票率上昇を目的としたCMだ。
 CMには3人の高齢者が登場する。女性が2人、男性が1人という構成で、バストショットにカメラ目線で政治的な“改革”を否定、「自分たち高齢者は投票に行くが、若者は投票に行っても無駄だ」と主張するという内容だ。
 ・・・(中略)・・・
 ただ、たかまつ氏は「若者よ、選挙に行こう」とストレートに訴えるのではなく、「行くな」と逆説的なメッセージを流した。その結果、「高齢者が悪者になりすぎている」などの批判が殺到し、“炎上”と報じられた。
 ・・・(中略)・・・
 ところが、このCMに関して、もう1つ別の観点から疑問が提示されている。たかまつ氏が制作したCMに盗作や剽窃の疑いがあるというのだ。事実だとすれば、クリエイターとして致命的な問題だ。
「3月に動画がアップされると、写真家の桐島ローランドさんや元朝日新聞の記者でジャーナリストの烏賀陽弘道さんが、アメリカの選挙CM『Dear young people, "Don't Vote"(若者へ、投票するな)』と極めて類似しているとTwitterで指摘したのです」
 ・・・(中略)・・・
 たかまつ氏のCMが炎上したのは事実だが、広く拡散し、話題を集めたことも間違いない。しかし、もう積極的な評価はできないという。
「CMに対する賛否は分かれるだろうなと、ある程度は事前に予想していました。しかし、まるで私が高齢者に対する差別主義者であるかのようなレッテルを貼られるとは思っても見ませんでしたし、そのことには強いショックを受けました。日本の商業広告は現在、数件でもクレームが来ると問題になってしまい、表現が萎縮しています。私はメッセージ性を重視して『若者よ、選挙に行くな』というCMを作りましたが、自分の想いとは関係のない点で炎上してしまいました。精神的なショックは少なくなく、今も不眠に悩まされるなどしています」
 ・・・(中略)・・・
 最後に改めて、読者に対するメッセージを聞いた。
「若い人たちに選挙へ行ってほしいという想いから、あえて高齢者の方々に出演を依頼し、『選挙では私たち高齢者が得するのよ』というセリフを喋ってもらいました。現状を風刺したつもりですし、『若い人たちに声を上げてほしい』というメッセージを込めました。統一地方選の前半は終わり、投票率を見ると若い人たちの投票は増えていないことが予測されます。しかし、これから後半戦が始まるので、まずは選挙に行ってほしいです」
 ・・・(中略)・・・
「老若男女が一丸となって、『みんなで選挙に行こうよ』という声が出てくることを期待しています。社会に不満があったら、政治という観点からも行動してみる。署名を集めたり、政治家に陳情し、選挙の際は一票を投じる。現状を変えられないというのは思い込みに過ぎない。それこそ私のCMを批判する声が集まれば、批判的な記事も配信されるわけです。みなさんの行動で社会は変えられます。社会を改善するための手段の一つとして、選挙に行ってほしいと心から願っています」

デイリー新潮

よい記事で、アドレスから全文お読みになることを強くおすすめします。

慶大志望者でなくとも考えさせられると思います。

同時に、賛同する、あるいは共感するひとはごく限られたものでしょう。

それは、たかまつなな氏に3つの考え違いがあると思われるからです。

    ↓

①メッセージ性を重視したからこそ〝炎上〟の直接原因になった

②若者の投票率向上で現状を変えられるということこそ〝思い込み〟

③〝みなさんの行動〟は政治や社会を変える方向に向かってない


以下、ひとつずつ説明してゆきます。


①メッセージ性を重視したからこそ〝炎上〟の直接原因になった

SNSって、かなり実証研究すすんでるんですよ。

SNSでいちばん速く、遠くに伝わる感情は〝怒り〟なんだそうですね。

そして否定的な意見のほうが拡散されやすい(Facebookでの研究結果)。

メッセージ性を強め、風刺きかせたことが炎上の直接原因なのでは。


たかまつさんが辞めたNHKってすごく優秀な記者がたくさんいます。

そうしたSNSの負の側面、しっかり本にして出してるんですよね。

    ↓

2020年度・慶大小論文受験者への推薦書③「AI vs.民主主義: 高度化する世論操作の深層」 【法/総合/経済/文】
http://shouronbunnotetsujin.blog.fc2.com/blog-entry-89.html


②若者の投票率向上で現状を変えられるということこそ〝思い込み〟

人口動態みたら誰でも分かると思うんですが。

高齢層って若者の2倍以上の数なんですよ。

団塊の世代とか、年に200万人以上うまれた世代ですよ!

私はよく生徒に言うんですが若者が200%くらい投票しないと勝てない


   東工大の西田先生がこう書いてます。

「若者向けの政策ができないのは、若者が投票に行かないからだ」そんな政治家を絶対に信じてはいけない : プレジデント・オンライン
https://president.jp/articles/-/55457


しかも若者って大人とおなじく学歴で分断されてる。

阪大の吉川先生がこと細かに研究してるんですが。

慶法の頭のいい学生でもこれ認めたがらないんですよね。

すぐ若者とかジェンダーとか言いたがる。メディアを気にする。

無意識にかもしれないけど、自分が啓蒙的な立場にいたがる。

自分たちの認識が同世代や庶民から遊離してると認めたくない。

ホントに根は深いですよ、この問題。


③〝みなさんの行動〟は政治や社会を変える方向には向かってない

私はいろんな調査研究みてるのでね。空虚な理念って信じないんです。

たとえばこれなんか、もう衝撃的ですよ。

   ↓

日本のZ世代「所得の分配に不平等感じる」6割 民間調査 : 日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13CS80T10C21A7000000/

いわゆるZ世代、不満あっても具体的な行動にでない。

投票も寄付もしない。その傾向、世界的にみて際立ってます。

これ自体が興味ぶかい研究対象ではありますものの。

そういう若者にただ投票いけって言ったって限りなく無意味でしょう。


若者に投票いけっていうのはハッキリ言って時間のムダです。

投票率あげたかったら豪州みたく罰金制にすれば効果てきめん。

動かない若者を動かしたいなら、他にはおカネかけて選挙割しかない。

いまのユルイい日本だと罰金制には非難ゴウゴウでしょうね・・

面倒くさがる若者をおカネで釣って投票いかせるくらいが関の山。

費用対効果を計量分析したらかなりひどい結果になるでしょう・・


ただ、そこまでして投票に行かせることが正しい政策目標なのか。

そもそも投票率にこだわること以外に重要な問題はないのか。

塾生や慶大志望者にはそこまで深く考えて欲しいですね・・


行動する人もいますが、若者じゃないし、おかしな方向むいてます。

   ↓

「意外な事実」ネット炎上の参加者は参加しない人より年収が80万円高い 
正義感に突き動かされる裕福な人々
https://president.jp/articles/-/39170


【結論】

・たかまつなな炎上騒動は自ら招いた側面がある

・若者の投票率はCМでは上がらない

・若者の投票率を上げたければ罰金制かせめて選挙割が必要

 (しかも選挙割だと予算のわりに効果や妥当性に疑問)

・そこまでして投票率をあげることに公共性があるのかは疑問

・仮に若者の投票率が上がっても社会はほとんど変わらない



週刊新潮から直撃取材うける慶大AО入試組は私の知る限りこれで二人目。

ともにあんまり宜しくない事例なんですよね・・

もちろん立派な活躍されている塾生OGOBも存じ上げてますが。


・・ここまでお読み頂きありがとうございます。

ご意見や情報提供ありましたらお寄せ下さい。

   ↓

https://twitter.com/keidaishouron



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