金額と幸せは比例しない


こんなの暴挙だ。

人間の業の深さは恐ろしい。

汚水が流され、巨大な浄水器で水を濾し、その水を貯水するタンクを作るために広大な土地を更地にしてなおかつコストをかけて巨大なダムを作る。

果たしてそんなもの誰かの利益になっているのだろうか、そんなこと知る由もない

ドリンク無料、完全二時間制の恋牛に行ってきた。

そこには且つての僕らが当たり前のように見ていた居酒屋があった。

店内は満席、人の笑い声で空気が押しつぶされ、連れの声すらまともに聞こえない。

こちらの声も、少々声を張らないと通らないようだった。

心なしか息苦しささえ感じた。

奥では何やら会社のお祝いで、肉ケーキなるものを注文していた団体がいた。

団体や周りのお客さんが一緒になって騒ぎ立てる中、静かに拍手をして、まあ静かに肉を食べた。



どうやら長い夢でも見ていたようだ。

不景気もコロナウイルスもあいつが長く付き合ってた彼女と別れたのも、きっと何もかもが僕の思い過ごしだ。

肉は美味しいし飲み物は無料だし、仮に世の中がどうであろうと僕が今体験しているこの時間が至福だと言う事実は誰にも否定できない。

しかしそんな幸福の裏には、並々ならぬ企業の努力がある。

確かに恋牛は本当に少しばかり料理が高いが、ドリンクを無料にして元が取れるほどの値段ではない。

むしろ肉だって原価は高い。

料理も酒も、出せば出すほど赤字だろう。

このお店の催しは限りなく慈善活動に近い。

しかし僕だって自分の欲深さに負け、ドリンク無料に釣られて来た客の1人。

その安さに申し訳なさを感じてしまっては本末転倒。そのサービスを思い切り噛み締めるべきだ。

せめて店側の思う壺になるよう、美味しくお腹いっぱいになるまで料理を食べ、沢山ドリンクを飲んだ。コーラだけど。


帰り道でタピオカを買った。

黒糖ミルクタピオカだ。

店員さんは商品の提供時に、「普段は8割くらい入れなきゃいけない氷、少なくしてミルク多めに入れておきました。タピオカも、ちょっと多めに入れてます。」と笑顔で商品を渡してくれた。

黒糖ミルクタピオカ650円。



どのお店の誰がどんな志で、お客さんに対してサービスをしてるかなんて客は知らない。

しかし数十円で買える駄菓子をたまに買って食べてみると、みんなと遊んでいたあの日の風景が見えてくるような気がする。

そんなもんだ、お金なんていうものは。

金額なんてものは、商売にとっては二の次だ。

その数十円でほんのちょっと幸せな気持ちになる人がこうやっているんだからね。

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