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お客さまにわがままを言われやすい3つの話し方

お客さまからわがままを言われやすい人がいます。

どうもそういう人に当たる、運が悪い、そんな風に考える人もいるかもしれませんが、そうとも限りません。

接し方を変えることで、わがままを言われづらくすることは可能です。

儀礼的距離化

コールセンターとは関係ありませんが、『おひとりさまの老後』(上野千鶴子著)に「儀礼的距離化」という言葉が出てきました。
社会学の用語だそうで、

丁寧語は、相手とのあいだに距離を置く技法である。丁寧語を使い続けるかぎり、「わたしはあなたとこの距離を詰めるつもりはありませんよ」というメッセージが伝わる。

と書かれていました。(p.210)

そう言われれば、「親しきなかにも礼儀あり」という言葉も、昔から儀礼的距離化の重要性を説いてきた言葉かと思います。
いくら親しくても踏み込んではいけない一線というものはあって、それを守るためには普段から最低限の礼儀を守ることが大切なんですよ、というような。そして、そのためには、敬語なのです。

この本の中では“丁寧語”と限定されていましたが、“尊敬語”や“謙譲語”も距離を置くことには変わりありません。相手の位置と、自分の位置が異なることを伝える言葉ですから。

そして、距離を取るのは、敬語だけではありません。その話し方、姿勢でも距離を明確に取ることができます。

仕事としての対応であることを明確に表現する

お客さまからのお問い合わせに対応する受電のセンターの場合、主な業務は情報を伝えることです。

同じく言葉を使って情報を伝える職業といえば、アナウンサーがあります。

つまり受電の応対は、アナウンサーのような話し方が理想です。

アナウンサーのような話し方とは、下記のような話し方です。

・理路整然と話す
・聞き取りやすく話す
・語尾伸びや語尾上がり、語尾省略がなく、語尾をやさしく下げる
・口癖や不要語が無い

ただし、これだけでは事務的で冷たい対応になってしまうので、笑顔を声に乗せて伝えることが必要です。

加えて、自社のことについて話しているので、適切な敬語を使い、責任感のある話し方をすることも必要です。

仕事の枠が言葉遣いで明示できていないと

仕事としての対応であることが言葉づかいから明確に表現できていないと、どうなるか。いくつかのケースで見てみましょう。

①適当な敬語

対応者 ⇨ なんだかよく分かんないけど、とりあえずお客さまと話すときに「お」を付けておけば、敬意を表そうとしていることは伝わるよね。怒られなければそれでいいや。
 ⇨ なんだかよく分からないけど立ててもらえるんなら、これもやってもらおうか。怒られたくないなら、言うとおりにしてくれるよね。

②分かりづらい話し方(自信のない話し方)

対応者 ⇨ これを聞かれたから、こう答えよう。そうだ、あれも言っとかなきゃ。これは必要かな、とりあえず言っとこうかな。でも、先にこっち言ったほうがいいかな。違った、これは別のケースだ。言っちゃった。どうしようかな…。
 ⇨ なんなんだ、こいつ。この会社、手順も何も決まってないのか?だったらめんどくせえから、こっちのやりたいとおりにさせてもらおう。

③甘えた話し方(責任感のない話し方)

対応者 ⇨ 情報を伝えて間違ってたら自分のせいになっちゃうからなるべく余計なこと言わずに相槌だけ打って済ませたいな~。何も分からない風にしゃべれば、きっと許してもらえるよね。
 ⇨ そうだ、そうだ。余計なことを言うと俺が怒るから、俺の言うとおりに「ハイ」って言ってくれればそれでいいよ。「お客さまの言うとおりですよね」って言って「お客さまがこうしろって言っているから仕方ないんです」って言い訳してやってくれればそれでいいからね。

電話という密室の中では、お客さまから泣いて頼み込まれたり、怒鳴って脅してきたり、ということも起こります。

自分の中に明確な枠組みがなければ、なんとかしてほしいと思っている人を容易に近づけてしまうことになります。

もちろん、なんでも断ることをお勧めしているわけではありません。会社としてすべきこと、できることは、積極的に行ってください。

では、また。


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。