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【2】公務員をやめて、スウェーデンまでサステナビリティを学びにいったのに、 最初の授業が哲学だった話

還元主義の本質は、
世界は予測できる、分ければわかる。


還元主義にもとづいた表出したモノってけっこうある。もちろん、ピンからキリまで、どこまで還元主義から表出したモノか科学せい!っていわれたら、なんもいえねぇってなるので、こういった視点もある。っていくらいできいてほしい。前回の投稿が反響もあったけど、亀ペースで更新していきます。

前回の復習
・還元主義:物事を分解していけば、理がわかる。科学を重んじよ。デカルトの考え方。

・氷山モデル:見える事象は、見えない事象からつくられているよねっていう考え方

・サステナ的視点:世の中の事象は、還元主義から出発してることが多いんじゃない?見直してみないかい。

前回の記事はこちら


Q:構造はわかった!んじゃ、なんでその見方(還元主義)から見直す必要あるっていうのよ?


A:還元主義的な見方だけをしてしまうと、まちがった問題を設定して、まちがった解答をだしちゃってることもありませんか。

還元主義のトラップ:
迷宮のリニアロード

還元主義って分けていけばわかるっていうアプローチ。
例えば、とあるコンビニで売り上げが下がっている。
売り上げが下がっている日をP O Sシステムから分析して、原因を突き止める。1週間のうち、水曜日が落ちている。この曜日の、30代の女性の売り上げが減っている。ならば、30代女性向けの新しい商品を開発しようとか、仕入れようとか、、、という風に考える。曜日を分ける。客をセグメントに分ける。分けて世界を見ることで問題にアプローチしたりする。


どうしても部分に分けて理解するっていう側面がある。思考をリニア(直線的)にして考える。ロジカルと置き換えてもよいかもしれない。A=B、B=C、A=Cみたいなね。ま、このこと自体が悪いわけではない。問題なのは、部分に分けていった結果、全体が見えなくなり失敗することもある、ということ。真実はいつもひとつ!だけではないのが現実の世界。

還元主義の失敗 
ジンバブエの生態学者
アラン・セイボリーの事例

21分くらいの動画で、日本語訳もあるので、ぜひみてほしい。
簡単にいうと、ジンバブエで砂漠化の原因は「象」だ、ということを誤って結論づけて、4万頭を殺す一助を担ってしまった生態学者。還元主義的にミクロ的な視点から目の前の事象を見て、象がサバンナの植物・木々を食べてしまい砂漠化の要因になっている、と捉えた。が、本当は象や動物が移動していることで、土地の豊かさが増して、緑化への手助けをしていたっていう、砂漠化とは逆の事実があらためてわかった。アラン・セイボリーは4万頭の象を殺してしまう手助けをした後悔から、一生かけて気候変動や砂漠化の研究にコミットする!と、誓っていた。


サステナビリティとリーダーシップを
理解する上での前提:
問題の捉え方、カナビンフレームワークの話

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さぁさ、ここでやっと前提の前提から、前提にたどり着きましたよ。
還元主義はわけて考えるので、ミクロ的な視点にとらわれやすい。群盲、象を評す、木を見て森をみずということわざがあるように全体をみることを忘れちゃいがち。(むしろ、ミクロを全体として捉えることもある。絵の中にある人たちのいってることがそう)。


還元主義が悪いということをいいたいわけではなくて、うまくいかないこともあるから、違う見方、違うアプローチも選択肢に入れたらどうですかっていうのがサステナ領域の提案。罪を憎んで、人を憎まず。トラップを憎んで、デカルトを憎まず。


ちょっと外れるけど、還元主義と資本主義は相性が良くて、この二つの組み合わせ「つよつよルール」がビジネスだけじゃなく、あらゆる領域で、あらゆるレイヤーで、世界を牛耳ってるようにも感じる。
つよつよルールだけじゃないルールでまわる世界が僕はみたい。自分が生きやすくなるから。


さて、本筋にもどる。アラン・セイボリーもまさに木を見て、森をみず状態におちいっていた。そ・こ・で、この問題にもおちいらないためのサステナ領域でのフレームワークがある。その名も「カナビンフレームワーク」発音よくいうとカネヴィンかもしれないけど笑 デイブ・スノーデンと他(Boone,M )が2007年に発表した。

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カナビンフレームワークでは、問題を4つに類型する。Comlexな問題、Chaoticな問題、Complicatedな問題、Simpleな問題。

シンプルな問題:問題解決が明白。例えば、ボタンが取れてるから取り付ける、とか、電池を取り換えれば動くなど、因果関係が明白。

カオスな問題:正解が全くない問題。例えば、災害直後などの避難所運営、事故など、状況がめまぐるしく変化する。

コンプリケイティドな問題:問題が複雑ではあるが、一つ一つ紐解いていけば必ず原因がわかる。飛行機、自動車事故など原因を探究しれば必ず解が得られる。

コンプレックスな問題:問題が絡み合い、レイヤーも複雑。因果関係も直線的なつながりではなく、解が新たな課題をうんだりする。


すご〜くぶっ飛ばしていうと、アランは、コンプレックスな問題をコンプリケイティドな問題として捉え、還元主義的アプローチで課題解決しちゃおうとしてしまってたってことなんだな〜。


個人的には、Complicatedな問題とComplexな問題って日本語だとどっちも複雑だし、現実世界って瞬間瞬間で問題が変わったりするときもあるから、これはこれ!っていうことを厳密にする意味はないと思っている。むしろ、こういった捉え方や類型があるっていう見方があるっていうことが大事だと思っている。

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餅は餅屋で、コンプレックス、カオスな問題にはサステナビリティのリーダーシップの世界観で対応しようぜ、コンプリケイティドな問題にはマネジメントの世界観、要は還元主義的に対応しようぜっていうのがサステナ界の基本的な姿勢。

コンプレックスな問題にはどういう主義やアプローチがあるんですか!デカルトへのアンサーは?

還元主義って西洋的な考えのお医者さんに近い。病気やケガをしたときに対処療法をして、問題のある部分を切り取って、治療したりする。
それじゃ、サステナ領域での対処方法は?
東洋的な考えの鍼灸師に近い。腰が痛いっていうのに、脚のツボを押したり、姿勢を正したり、さらには生活の改善まで指導が入ったりして、腰をみないで治療をしたりする。彼らの基本的な姿勢って全体性を捉えること。

そう、サステナ界からデカルト、還元主義へのアンサーは、全体論っていうこと。


全体論の本質は
世界は予測できない、分けてもわからない



ちょっと長くなってきたので、次回、全体論や全体論のアプローチ、システム的な世界の見方をお伝えして、おしまいかな。かなり長くなってしまいました。

つづく。


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