【映画】アカデミー賞授賞式での差別?問題

今年のアカデミー賞は予想された通り『オッペンハイマー』が多くの賞を獲りましたが、大きく予想外だったのが主演女優賞。
『哀れなるものたち』のエマ・ストーンがなんといってもスゴイけど、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンも素晴らしく、かつ、ネイティブアメリカンの役をネイティブアメリカンが演じたことでここ数年のトレンドに合致することから、彼女が受賞すると言われていました。
どころがエマ・ストーンが受賞し、みんな驚いたけど、決して変な結果ではないと誰も納得するものでした。

しかしそれだけでは済まず、彼女が受賞したとき、プレゼンターのミシェル・ヨー(昨年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で受賞)を無視するかのような様子が見られました。

助演男優賞のロバート・ダウニーJr.も、やはり『エブエブ』で前年受賞のキー・ホイ・クアンを無視したとの話。
この話題を受けてYouTubeで受賞シーンを見てみたところ、ロバート・ダウニーJrはかなり露骨にキー・ホイ・クアンを無視しているように見えました。

エマ・ストーンの方はもうちょっと複雑な感じでしたね。
彼女自身受賞すると思ってなかったでしょうから、以前一度受賞したとはいえ驚きでうまく立ち回れなかったとしても仕方ないのかなと思いました。
アジア人に対する差別感情がついうっかり出てしまったとして、そういう誤解を受けないように振る舞うべきだとは思います。
ただいかにハリウッドセレブとはいえ、いつでも適切にふるまえるとは限らないので、無意識の感情が表現されてしまったとしても、恥ずかしいことではあってもそれほど責められるような話でもないとも思います。
それでもロバート・ダウニーJr.には、そういう同情を向ける気にはならないですね……

昨年の『エブエブ』快進撃でアジア系の地位向上が感じられた翌年の出来事ですから、多少のバックラッシュがあったのかもしれません。
まだまだ公平性にはアップデートの余地が残っており、白人以外に賞を与えることを意識的に行う必要があるように思えました。
つまり、やはりエマ・ストーンではなくリリー・グラッドストーンが主演女優賞を獲るべきだったのではないかと。
アカデミー賞は、誰に何を獲らせるかがメッセージであり、単純に優れた作品や人に賞を与えるというものではないという歴史があります。
そう考えると、白人以外の授賞がまだ必要だし、そう考えざるを得ないというのは残念なことです。

一方、この問題に日本人としてどう向き合うかはよく考える必要があると思いました。
特にアカデミー賞やその作品に関心を持つ、私のような洋画ファン層です。
外国映画(ハリウッド作品)には圧倒的な魅力があると感じており、ハンサムな俳優や美しい女優に心惹かれてきたのが私たち。
かなり多くの人が、白人への憧れを強く持っているし、現実のアメリカの人種構成は映画の中みたいに白人だらけ+黒人じゃないよっていうことをあまり知ることなく、その世界に魅了されてきました。

つまり、そこそこ差別者側の感性を持っているのではないかと思った方が良いでしょう。
今回のような出来事で「自分たちは差別される側だったのか」と気づかされて少なからずショックを受けている私たちです。
そこには、もともと内面に差別的な感情があったことにも気づかされているということもいえると思うのです。

それでも、洋画ファンの多くはハリウッドのアップデートの努力に足並みを揃えようという意識もあって「こんなにアジア系が幅を利かせているハリウッドはイヤだ」とか言ったりする人はそんなにいないので、ある人々からは偽善的に感じるでしょうが、十分希望はあるはずです。

(ちなみに…… 『ゴジラ-1.0』の視覚効果賞は喜ばしく思うけど『君たちはどう生きるか』については特にそういうふうには思わないので、日本勢が受賞したことを喜ぶ感覚は、私はあまりないです)

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