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BLIND TO REALITY / OUTRAGE 全曲レビュー

 アウトレイジ2枚目のアルバム。1stにも増してスラッシュメタルのスタイルを貫いていて、極めてアグレッシブなサウンドが特徴と言える。

 アルバムのオープニングを飾るタイトル曲の1曲目"Blind To Reality"は、わずか5分半の中に多様な展開と凝りに凝ったリフを詰め込み、それでいてスラッシュメタルのパワーを失わない名曲だ。1stアルバムはメタリカに似ているところを感じさせたが、この1曲目を聞いただけで、2ndアルバムですでにオリジナリティの確立がなされていることがわかる。

 続く2曲目"In His Steel Claw"。突進力とグルーヴ感を併せ持つような躍動的なリフが特徴で、そこに橋本直樹のメロディアスなヴォーカルが乗るスタイル。こういうところがアウトレイジの個性を強く感じさせる。9分近い大曲だが、リフで押すフレーズからソロを聞かせるパートまであって飽きさせない。

 3曲目は"Call Of The Hunter"。ウォードラムのようなドラミングと圧力の高い三連符のリフですべてをなぎ倒すようなエナジーが魅力の曲だ。サビの「Call of the hunter!」はライブなら一斉に叫び声が起きそうだ。

 続く"Nowhere To Turn"もミドルテンポで8分を超える長い曲。その分イントロからたっぷりと複雑な展開でゴリゴリに押しまくるギターリフを聞かせてくれる。このバラエティに富んだリフのアイデアがアウトレイジの強みとも言えるんじゃないか。パワフルな冒頭から疾走する展開に、ライブ会場ならばモッシュピット必至だ。アコースティックを絡めて静と動を表現する中間部も見事。

 "Name Your Poison"はアルバム後半戦の幕開けとなるストレートなスラッシュリフが印象的なナンバー。ここでは橋本のヴォーカルもより咆哮味を帯びて、そのアグレッシブさを十分に表現している。不穏なギターソロを擁する楽曲構成もエキサイティングだ。

 "Game Of Greed"は、ドラムとギターのリフが複雑な動きを見せるイントロから始まるミドルテンポの楽曲。リズミカルに展開する曲調もアルバムの中にあってひとつのアクセントと言える。同時にこのアルバムの中での統一感もある曲調で見事な配置の1曲。

 アルバム終盤の7曲目。"What Is The Meaning Of Freedom?"では心地よいぐらいに疾走するギターにアドリブのリックが乗ってくる。自然に体が動くようなスピード感を持った曲だ。それに伴って叩きつけるように突っ走る丹下眞也のドラミングがスラッシュメタルの心地よさを体現している。アウトレイジというバンドにおいて、丹下眞也のドラムの重要さを感じさせる佳曲。

 ラストを飾る"Lookin' Out Time"は再び11分を超える大曲の登場。これだけ尺があると、アコースティックの美麗イントロから、ありとあらゆるヘヴィエッセンスのリフを詰め込み、バンドの表現力を一気に凝縮して爆発させたような曲に仕上がっている。個人的には2ndアルバム中もっともメタリカっぽさを感じた。そのスラッシュメタルの範疇でドラマティックな構成を実現しているのも聞いていて非常に美味しい。

 1stでバンドの個性を炸裂させていたアウトレイジだが、2ndアルバムではその特徴の突出したところにさらに磨きをかけてきた。非常にパワフルなバンドだ。


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