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2021年電気学会での発表内容について

2021年3月に電気学会で学会発表します。学会発表する内容について,この研究に対する思いを書いてみようと思います。すべてのテーマで書こうと思ったのですが,研究期間の長い2件だけ紹介します。

バスバー構造設計

パワエレ回路を対象としたバスバー構造(単純に言うと,銅板2枚をどのように組み合わせるか)に関する研究は10年以上行っています。この研究の始まりは,以前の電気学会誌にも記載しています。(電気学会会員ではないと読めないかもしれないです)

今までは,銅板2枚に寄生するのインダクタンス・キャパシタンス・抵抗をどのように求めようかとする研究でした。今回は,銅板2枚の間で起きる部分放電について考えてみました。もしかしたら,放電現象の専門家から見たら当たり前のことかもしれません。ですが,パワーデバイスのスイッチング速度が速くなって,将来のパワエレが飛行機や宇宙などの気圧が地上とは異なるところで使われることを考えると,研究として取り組む意義はあるのかなと思っています。

正直な話,銅板だけで10年以上も研究できていることに,実は自分が一番驚いています。これについては,学術雑誌ですでに7件ぐらい採択になりました。

磁界ばく露装置

 なにやら怪しいタイトルですが,85kHz, 400Aの電流をコイルに流して空芯コイル中に磁界を発生させようとする研究です。ちなみに,この研究では1秒間のみの動作時間です。数字だけ見てもよくわからないのですが(すぐにわかる方はプロです),実はすごく大変でした。やっと,動き始めたのですが,これが順調に動いてくれるかどうかは,21年度の仕事になります。磁界発生装置の研究も実は10年以上行っており,最初は20kHz, 20Aの装置を作りました。現在は5代目ぐらいの装置になっており,随分と規模が大きくなりました。周波数と電流値を同時に大きくするのはそろそろ限界を感じておりますが,この研究自体はまだまだ続く予感がしています。どのような数値目標になるかは,ワイヤレス電力伝送(WPT)に関する社会動向に大きく依存すると考えています。

また,この研究は専門外の方々と一緒にしている仕事なので,いろんな意味ですごく大変です。大学で学生さんと一緒に研究するだけであれば楽しいことも多いのですが,外部の方と一緒に仕事するというのは企業の方からすると当たり前かもしれませんが責任が大きくなります。打ち合わせの数も多いですし,予想外のことも沢山あります。

まとめ

学会発表で発表する内容の性質としては二つ (「新しいテーマ始めました」「研究が少し進みました」)あると考えています。どちらにしろ,外部の方から意見をいただけるのは貴重なことであり,研究室の活動が趣味に偏らないようにこれからも発信を続けていきます。また,ここでは学会発表に書かないような研究に対する想いも発信していきたいと思っています。


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