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七夕ーー迢迢牽牛星

今夜は七夕。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

七夕と言えば、やはりこの詩を思い出される方も多いことでしょう。

迢迢牽牛星  Tiáotiáo Qiānniúxīng

皎皎河漢女  Jiǎojiǎo héhàn nǚ

繊繊擢素手  Xiānxiān zhuó sùshǒu

札札弄機杼  Zhá zhá nòng jīzhù

終日不成章  Zhōngrì bù chéngzhāng

泣涕零如雨  Qìtì líng rú yǔ

河漢清且浅  Héhàn qīng qiě qiǎn

相去復幾許  Xiāngqù fù jǐxǔ

盈盈一水間  Yíngyíng yī shuǐ jiān

脈脈不得語  Mòmò bùdé yǔ

【書き下し文】

迢迢たり 牽牛の星

皎皎たり 河漢の女(むすめ)

繊繊として 素(しろ)き手を擢(あ)げ

札札として 機(はた)の杼(ひ)を弄(あやつ)れど

終日 章(あや)を成さずして

泣涕(きゅうてい)零(お)つること雨の如し

河漢 清く且つ浅く

相い去ること 復(ま)た幾許(いくばく)ぞ

盈盈(えいえい)たり 一水の間

脈脈として 語るを得ず

【桂花私訳】

遙か遠くの牽牛星

白く輝く織女星

か細い手を挙げては さっさっと機(はた)の杼(ひ)を動かすけれど

一日中かかっても模様は織り上がらず

はらはらと涙が雨のように落ちるばかり

天の川は水も清く、浅いけれど

二人は いったいどれほど離れていることか

水の溢れるこの川を挟んで 

じっと見つめ合うだけで、言葉を交わすことも叶わない

【詩の形式】

五言古詩

【語句】

*河漢:天の川

*杼(ひ):機織りの際、横糸を伸ばし出してくる糸巻き

*脈脈:「眽眽」とも表記される。遠くから視線を通わせるさま。


【出典】

『文選』「古詩十九首」の第十首

『文選』は,梁の昭明太子(梁の武帝の子)の編集した詩集で、春秋末期から梁(6世紀)までの作品を集めたもの。

「古詩十九首」には、作者不明の古詩がまとめられている。


上の【出典】にも書きましたが、有名なこの詩は、実は詠み人知らずなのです。

文字に書かれたものがこうして後世に伝わり、なんと異国でも親しまれていると知ったら、作者はどれほどびっくりすることでしょう!?

『漢詩一日一首(夏)』でも指摘されていますが、この詩は、織り姫と彦星が1年に1回逢うことには触れていません。

それにも関わらず、懸命に機を織る織り姫の姿を想像すると、考えただけで涙が出そうになりますね。

今夜はあいにく雨の地域が多いようですが、たとえ雨が降っていても、雲の上はいつも晴れと信じて、1年ぶりに再会した二人の笑顔を想像したいと思います。

頼まれもしないのに、今年もまた笹を買ってきて、七夕飾りを作ってみました。短冊に願いごとも書きました!

皆さまも心の中の短冊に楽しいお願いごとを書いてくださいね。

【参考書籍】

・『漢詩一日一首(夏)』一海知義著   平凡社ライブラリー

・『チャート式シリーズ漢文』  数研出版

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