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やっぱり訳しにくい言葉〜"work"

シンプルな言葉なのに・・・

"work"という英単語を習ったのは中学生の頃でしょうか。
英単語のなかでも比較的なじみがある言葉だと思います。

しかし、通訳をしていると、この"work"という単語は「訳しにくい💦」と感じることが多いのです。

「働く」「仕事をする」という意味の他にも、いろいろな使われ方をします。意味そのものはそれほど難しくもないのですが、いざ「訳す」となると、いちいち適切な日本語を考えなくてはならないため通訳にとっては少し厄介です。

"work"のいろいろな使われ方

"work"という言葉が使われるのは、人に対してだけではありません。

自動販売機やコピー機が壊れているときには"Its not working"と言ったりします。機械が「働いていない状態」であるため、"not working"という言い方になるのでしょうが、主語が「機械」であるため自然な日本語に訳そうとすると「働いていない」ではなく「壊れている」「不具合が生じている」などと言い換える必要があります。

また、先日アメリカ人の人とスケジュール調整についてメールでやりとりしている際に、日程候補を挙げながら無意識に"Does it work for you?"と書いていました。この場合の"work"は、「ご都合いかがですか?」という意味です。

筋トレ」は"work out"。筋肉を「働かせている状態」であることから、"work"という言葉を使うのだろうと想像します。

何かが上手くいっているときは、"It's working"と言ったりします。日本語に訳すとしたら、「(願ったことが)実現できている」という感じでしょうか。

こんな風に少し考えただけでも、"work"は英語の会話によく出てきます。「ザ・頻出単語」です(笑)

"work"の語源


こういう頻出単語は覚えておくと便利な反面、使いこなすには(そして訳すには)単語の意味を暗記するだけではなくニュアンスを掴んでおくことが重要です。ニュアンスを知りたいときに、私が最初にやるのが語源を調べることです。その言葉がどんな風に使われてきたのか経緯を知ることで含蓄される意味を掴めることがあります。

語源辞典で調べてみると、"work"という言葉は、1200年ごろから「肉体的にまたは頭脳を使って働くこと」「労働」という意味で使われ始めたようです。更に、それ以前には「成し遂げられること」「誰かによるなんらかのアクション」の意味で使われていたということで、「仕事」「働く」という他に筋肉を動かすアクションの「筋トレ」を"work out"というのも納得です。

語源を知ることで、ニュアンスや含まれる意味は掴めましたが、訳すときには文脈によって日本語の言葉を選ばなければいけないということも再確認できました💦

その言葉が示すことを一歩踏み込んで考えてみると、一つの単語でも汎用性が広がることがあります。馴染みのある言葉でも、状況によってどのように意味やニュアンスが変化するのかを観察してみると「英語体力」が強化されて「使いこなせる」感覚に繋がると思います。

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