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目指すべきは、「英語術」の習得

世界を舞台に活躍するには、まずは英語力が必要!・・・そんな風に思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。では、世界で活躍するために必要な「英語力」とは何なのでしょうか?


「国際語としての英語」を習得しようとするときに、まず考えるべきは「技術的な英語力」よりも「伝えるためのコミュニケーション術」です。正しい英語が伝わる英語ではないのです。

これまで私が20年以上の通訳経験を通して見た数々の英語のスピーチやプレゼンテーションを振り返ってみても、感銘を受けた語りの多くは英語ネイティブではない方が発した言葉でした。完璧でなくても、英語ネイティブのように饒舌でなくても、相手の心に響くコミュニケーションは可能です。

英語ネイティブでない人が目指すべき「国際語としての英語」は、ネイティブスピーカーのように話すことではなく、自分の目的を実現するための実用的な英語のコミュニケーション術なのです。


不登校を経て逃げるようにアメリカへ!

私は、今でこそ同時通訳や英語コーチングなど「英語のプロ」と呼ばれる仕事をしていますが、もともとは親戚一同見渡しても英語を喋る人は誰一人いない超!ドメスティックな家庭の出身です。

かなり遡ることになりますが(笑)、子供時代から不登校の経験を経て私が通訳者になるに至った経緯をお話ししたいと思います。

愛知県で生まれ、小学校から高校まで地元の公立学校に通い、英語はいわゆる受験英語を学びました。ただし、あまり勉強はしませんでした・・・実は「あまり勉強はしていない」というのは、かなり控えめな言い方で、小学校一年生から(正確には保育園時代から💦)メチャクチャ学校が嫌いだったので勉強もせず、高校2年生のときにとうとう不登校になってしまいました。

成績も出席日数もギリギリで何とか高校を卒業したあとは、日本での生き辛さから逃げるように「語学留学」と称してアメリカに渡りました。

不登校でマトモに勉強していなかったので英語など全く喋れず、日常会話もままならない状態です。まさに、サバイバルイングリッシュです!!学校帰りに食事を済ませてホームステイ先に帰宅したにも関わらず、ホストファミリーから「ご飯食べる?」と聞かれて日本人お得意の「なんでもイエス」と言ってしまったが故に、晩ご飯を2度食べるなどということは日常茶飯事でした💦

この頃は、とにかくスマイル!「あなたに悪意はありませんよ」ということを伝えるために、ひたすらニコニコしていました。

アメリカでの大学生活

全部を書くと、あまりにも長くなってしまうので端折りますが(笑)、そんな私がアメリカで大学に進学することになりました。
その頃には日常生活は何とかなる程度の英語力は習得していましたが、英語で授業を受け課題をこなすのは大変です。それまでは本格的に英語で読み書きをしたこともありませんでした。このとき初めて、「英語学ぶ」のではなく、「英語学ぶ」経験をしました。つまり、大学の授業で学びながら英語を身につけるという、二つのことを並行して同時に行っている状態です。

これが本当に大変で、毎日泣きながら夜鍋して宿題や予習復習に取り組む日々でした。会話はなんとなく身振り手振りで通じたり相手の表情を読み取ったりして意思疎通ができるけれど、読み書きは単語や文法を知らないとどうにもならないことが多く、自分の語彙力不足を痛感して教科書に出てくる知らない単語を片っ端から必死で覚えました。

思い返せば、これが私にとって使いながら英語を身につけるサイクルの始まりでした。言葉は生き物です。単語や文法を丸暗記しても、それは「知識」でしかなく、知識は使いこなせるようになって初めて「スキル」となるのです。そして、使いこなせるようになるには使うしかありません。言語を使いこなせるようになるには使いながら覚えていくのが一番効果的です。

英語を使って仕事をする、そして通訳に

大変ではありましたが、毎日眠い目をこすりながら懸命に課題をこなしたおかげで無事にアメリカの大学を卒業することができました。その後は帰国し、就職。唯一の強み(?)である「英語が使える」ということを思い切りアピールしての就職活動だったので、入社後は英語に関する案件が次々と私に回ってきました。「英語を使って仕事をする」というのは、アメリカの大学で経験した「英語学ぶ」ということとは、これまた違いました。

同じことを伝えるのでもメールが良いのか、電話が良いのか、会いにいくべきなのか、何をどの順番で誰に伝えるのが話が通りやすいのかなど、言ってみればビジネススキルということなのでしょうが、母国語でない言語でのコミュニケーションは誤解や理解不足も生じやすいので特に気を使う必要があることを学びました。

そんな風に仕事を通してコミュニケーションについて学びながら日本企業、外資企業での経験を経てNPO活動に従事していたときに、このNPOが財政難で突然破綻したことがきっかけで通訳の仕事をすることになりました。そして気がつけば、もう20年も同時通訳の仕事を続けています。

通訳は、「自分が相手の話を理解する」だけではなく、言語や文化が違う人同士が理解し合うためには、どんな表現をすれば伝わるのか、どんな言葉を選ぶべきなのかを考えなければなりません。「伝わる訳し方」を模索して頭を悩ませる毎日です。そして、「英語のプロ」として働く上で必要な英語スキルの総復習も必要で、語彙力、表現力、文法、発音といった英語のテクニックを通訳になってからもう一度学び直しました・・今も学び続ける日々です。

かなり端折ってしまったのですが、詳しい経緯は私の著書「不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由」という本にも書いてあります。良かったら覗いてみてください。


通訳者として思うこと

職業柄、「どうしたら英語がうまくなりますか?」という質問をよくされるます。いつも答えに困ります。というのも、「英語が上手くなる」と一口に言っても、目的や今の英語レベルによってやるべきことは違うからです。

私の子供時代から通訳者になるまでを(駆け足で!)ご紹介しましたが、私という一人の人間を振り返ってみても、ホームステイ先で晩ご飯について意思疎通をするためのサバイバルイングリッシュから始まり、大学で英語で学ぶこと、英語を使って仕事をすること、そして通訳という「英語のプロ」として異なる言語の橋渡しをする立場など、それぞれのステージでの必要な英語スキルは異なり、努力の方向性も変わるということが少し感じて頂けたのではないかと思います。

私が英語を学んだ経緯や同時通訳者として、どんな準備をしているのか、どんな風に伝わる「訳し方」を心がけているのかなど、英語を身につけたい方にヒントにして頂けるようなことが沢山あるのではないかと思います。そういったことを英語術としてお伝えしていきます。

私の夢は「英語の壁を乗り越えて世界で活躍する日本人を一人でも増やしたい」ということです。不登校のダメダメちゃんだったけれど、一応「英語のプロ」になれた私だからこそ伝えられることはあるのではないかとも感じています。

一人一人が夢を叶えるために、自分の目的に合った実用的な英語コミュニケーション術を身につけるお手伝いがしたい。そのための努力を続けるコツや、英語で伝えるための工夫、そもそもコミュニケーションってなんだろう・・・などなどを皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします!

同じテーマでVoicyでもお話ししています!



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