踊りたくない会社員


ヨガに通ってます。
といっても、ここ3ヶ月ほどですが。

私が通ってる教室には、ヨガ以外のレッスンもあって、先日、たまたま空いてる時間にやっているレッスンが、ヨガじゃない骨盤を整える内容のクラスでした。

まあ、いいか、と思って、予約を入れ、レッスンへ。

スタジオに入ると、いつもにはないダンスミュージック。

「どうぞ〜!!」と激しい笑顔で迎える
ラテンの雰囲気を漂わせた、小柳ルミ子っぽい先生。
言葉の後ろに、常にビックリマークがついてるような話し方にビビりながら、スタジオの角の目立たない位置を確保。

時間になると、ルミ子が
「このレッスンはじめての方も、今日は多いみたいですね。このクラスでは音楽に合わせて骨盤を動かしていきます。はじめに水分とっていただくと●#▲%■&…」

音楽に合わせて動くの…?

後半のルミ子の言葉が頭に入らないまま、ブルーノ・マーズもどきのダンスミュージックが流れ始める。

そこからはもう、
苦痛の煮こごり。

ステップをふみながら
骨盤を前や後ろに動かし、
時には腰を8の字に回したのです。
この私が。


は、恥ずかしい。


鏡にうつる、ステップを踏んでる私。
音楽に合わせて、腰をクネクネさせてる私。

気持ち悪い。
見ていてめまいに近いものを感じる。

だんだん動く気力がなくなり、足踏みするのがやっとな状態に。
そんな私の動きをサポートしようとしてか、スタジオの前にいたルミ子が、私の隣に来て、マンツーマンで動きを見せてくる。

「足じゃなくて腰から動かす感覚で〜!」

オーバーなまでに腰をふるルミ子。

人々の健やかな体作りに貢献している彼女は素晴らしい。
でも、私はほかの方法で、健やかさを手に入れたい。

ルミ子が、もとの位置に戻ってから、スタジオの時計を見た。
まだ20分しか経ってない。あと40分もある。

爆音のスタジオから無言で脱出し、静かに受付に向かう。

「あの、すいません、具合が悪いので、退席させてください。すいません。」

骨盤も精神も歪んだまま
私は家に引き返した。

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