「世間では、父は闇のプリンスで、観客を無視して背を向ける不機嫌なパフォーマーだと思われています。それは実際の父とは全然違うんです。でも、伝説的なバンドの一員として一緒にステージに立つまでは、そのことに気づきませんでした。父は観客に背を向けていたのではなく、バンドの方を向いていたんです。それは、彼の演奏を聴くためにそこにいる人たちに対する無礼な態度ではなく、演奏するためにそこにいる人たちに対する敬意の表れだったんです。そして、私は幸運にもその場で演奏することができたのです。

彼が有名なミュージシャンであることは知っていましたが、どのくらい有名なのかはよくわかっていませんでした。子供の頃、私はいつも彼にミュージシャンになりたいと言っていました。そして14歳のとき、夏に一緒にツアーに行かないかと誘われました。もちろん、私は「イエス」と答えました。

夏のツアーでは、音楽についてだけでなく、父について多くのことを学びました。父にとって、ライブで音楽を演奏することが最も重要なことなのだと、私は舞台のそでに立ちながら理解しました。

あのツアーで、私は初めて父と一緒に長い時間を過ごしました。父は、どんな演奏でも、その場で何が起こっているのかを分析し、そこから何かを感じ取ることができる人でした。

MTVでヘヴィメタルの番組を観ていたときに、スレイヤーが出てきて、私は「親父はこれが嫌いなんだろうな」と思ったんです。でも、彼は少し観てから、『へえ、あのドラマー、本当にすごいな』と言ったんです。そして、そのまま立ち去りました。

1990年のツアーで、彼はついに私をステージに誘ったんです。彼は私にチャンスを与えてくれたのですが、私は失敗することを恐れていました。私はエレクトロニック・パーカッションという、父が発明したようなジャンルを演奏していました。

リハーサルもしませんでした。私の前にやっていた人が2、3回ショーをやっているのを見ただけで、あとはただ座って演奏していました。緊張もしましたが、同時に、父が私の方を向き、私の話を聞き、対等に一緒に演奏してくれるのは素晴らしいと感じました」

エリン・デイヴィス