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立ち返るミートソースパスタ

シンプルが好きだ、とまだ24歳だが、口癖のように言葉にすることが増えたように感じる。
歳をとるとそう感じるみたいだ、なんて独りごちているが、世間の言う歳を取った末が24歳なんてことはおそらくないから、シンプルが好きになるには、どうやら早いらしいが、だってそうなんだから、と言いたい。

焼き鳥も塩が好きだし、焼肉も焼肉のタレはしつこくて食べられない。塩とわさびがあれば良い。
そんな潮流はどのジャンルにも現れてくるようになってきたのだから、やっぱり歳なんじゃないかと自答する。

まだ立ち返ったことがなかったのが、パスタ。

昔はスパゲッティーと呼んでいただろうか、いつからかパスタと呼び、お店にいけばまるで冒険家のように和風パスタやオイルパスタを次々と試し、いつまでもお気に入りのパスタは見つからなかった(そもそも、パスタにお気に入りを見つけられないのかもしれない、そう食べるものでもないし)。

どれも美味しのだが、パスタと言えば絶対にこのパスタが好き!がなく、五右衛門に行ってもいつまでも決まらない。

ただ、謎の信念なのか、一つ選ぶことがなかった種類、それがミートソースだ。
思い返しても、トマト嫌いのようにことごとく避けて来た記憶がある。
トマトはむしろ好物なはずだが、。

そのミートソースへの想いは、トマトソースなんて、どれも一緒でしょう。の要らぬ偏見からきているものだった(トマトソースなんて、子供が選ぶものだ!と思っていた気がしなくもないのが、この上なく恥ずかしい)


今日のお店

同僚たちとランチに行ったある日。
忙しすぎる仕事の合間、今すぐメニューを決めて!と突然の緊急LINE。

メニューを熟読・熟考したい僕にとって、絶望的なシチュエーションに、今日のランチは詰んだと、気分は相当下がっていた。

そんなネガティブオーラを隠しながら、なんとか選ぼうとメニューを睨み、モッツァレラチーズの文字をみて、これなら!と即決したのがモッツァレラチーズとなすのミートソースパスタ。

ありえない、それまでの自分にとって最も選ぶことのないメニューを自ら選んでしまった。
こんな風に即決させるからだ、ともはや同僚に恨みでもあるかのレベルでナイーブになりながら、車を走らせた。

せきに着くや3秒後にパスタの登場。

息つく暇もなくの登場が本当に嫌な僕にとって、またもやショッキングな出来事。もうどうしてくれるんだ、と思ったその時、童心に帰る懐かしの香りが鼻腔をくすぐるではないか。。。

え、、、、

白い大皿の真ん中に、ツヤッツヤのミートソースパスタが現れたではないか、、、


湯気が美味しいパスタ

立ち上る湯気を深呼吸すると、清々しいほどのトマトの酸味。
熱々の美学を信じ、一口。

どのパスタよりもずっと美味しかった。
アルデンテが強めのパスに、トマトソースの酸味とひき肉の強い旨みがギュッと詰まっている。
肉肉しくて、でもずっとトマトで。
とろっとナスとモッツァレラチーズの贅沢なコクがまた表情を変えて絶妙に決まる。

ミートソースに立ち返ったのに、偏見により固まっていた僕の子供らしさなんてどこへやら。
トマトやお肉の旨みを感じるなんと贅沢な味わいなのか。

発見と感動にさっきまでの不信感を完全払拭。
今日から始まるパスタ体験はきっと、ミートソース推しだろう。

そんな出会いに感謝し、さぞキラキラの笑顔で店を出たことだろう。

即決させられたことはやはりやるせない、悔しい経験になってしまったが(真剣)、それでもミートソースに出会わせてくれた今日のランチは素晴らしい時間だったことだ。


美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:パスタ専門店クーシ(〒325-0302 栃木県那須郡那須町高久4388−5)



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