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バインセオという名のサラダ

24年2月期は、なんと1ヶ月も”バインセオ”が復活するというのに、一度も「マムアン」に行けていないとは何事だろうか。

11月のプレミアムメモリーを回顧しておこうではないか。

那須塩原の名店南国食堂マムアンに出会ったことは、大きい。何度もこのエッセイでは綴り続けているが、やはり大きいのだ。

初めての場所で、居場所がなかった僕に、”美味しい”からつむぎ出した唯一無二の存在で、那須塩原の母ができた(しかも2名)。
そこは、栄養補給の場所。

心も体も。

タイ・ベトナム料理を通じて、週末にこれでもかと野菜とタンパク質と糖質と、バランスよくたっぷり摂取できる場所だ。

中でも思い出のバインセオ週間で出てくるバインセオは、それこそ平日きちんと食事を取れない僕のために用意してくれたかのような、私得すぎるイベントだった。11月のことだ。

バインセオ。一体何なのか、みたことはあったけれど、オムレツではあるまいし、聞けばそれはサラダだとかよく分からないことを言われるし。

バインセオどうこうよりも、マムアンで供される料理に間違いがあるわけがないから、無条件で「食べます」となるのはもはや自然のこと。
サラダ食べに行きます、とバインセオ週間の前にそう伝え、翌土曜日を迎えた(2週連続マム活なんて当たり前)。

そこはバインセオ活動の本拠地だった。
2週間店内飲食限定となれば、バインセオを頼まない人がいるだろうか。

常連を多く持つここマムアンは、皆バインセオを求めて群がる。
常連同士が知り合いなんて不思議なことでもない。

僕も「さ、サラダのヘルシーランチでもしようか」なんて気軽なノリで、バインセオ活動の中へ。


卵じゃないよ、ターメリックだよ

確かにオムレツにも見えるその半月形の大きな生地は小麦の生地はターメリックいりのクレープ。
どうりでオムレツ色なわけだ。

どこで覚えたか、スパイスのちょっと詳しい僕は香りを嗅ぐなりターメリックと分かってしまったのだから自分でも怖かった。


お月様や、、とつい。

パカーンと口を開けるとエビや豚肉、もやしが真珠のように隠れている。
その周囲、貝を囲む海藻のようにどっさりとレタスやパクチーなどの葉野菜が囲み、確かにサラダにしか見えなくなってしまった。

ちぎって巻いて、「肝はたっぷりのなますだから」と、注意喚起を聞き逃してはいけない。

手を綺麗に拭いどっさりと野菜となますを丸め込む。

欲張りは毎回顎が外れそうだ。
勢いを大事に顎を外しながらとにかく口に入るだけ詰める姿は滑稽だっただろうに。美味しい瞬間を逃したくはないのだ(全力バインセオ)。

しゃきっ、ふわっとターメリックが香ればなますのお酢の効いたアクセントがたまらない。
まるでドレッシングのように葉野菜とクレープ生地をまとめ込むではないか。

あぁ、これは病みつきだ。

うまいうまい、そう呟く小声は全くもって小声ではなかったようだが、夢中な自分がどうみられたって良い。
大口に詰め込むバインセオの幸福といったら、それが正解に感じてしまい、これでもかと大きな一口に詰め込む食べ方を、”バインセオの食べ方”として勝手に決定づけた。幸福食べとでも言おうか。

もりもりサラダをかきこむと案外お腹は満腹で。
サラダでお腹いっぱいなんて、幻か、いや現実だ。

そして毎度マムアン贔屓は加速するのだが、バインセオというまとまりではなく、やっぱりアムアンのバインセオが美味しい。と改めて思ってしまったのだ。

丹精を込めてしこまれたなますがあってこそだから。
そうマムアンから教えてもらった。

それは間違いなく、マムアンの手仕事で、美味しさなのだから。

いつも通り、また来ますといって、心地よくお店を後にした。


美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:南国食堂マムアン(栃木県那須塩原市上厚崎377-55)



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