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成城石井を囲むディナーはもはや貴族の嗜みだった話

名古屋から那須に引っ越した僕。
家の周りには市営地下鉄が3駅もあり、駅のスタバなんて当たり前、ちょっと寄れる成城石井が好きだった。駅前に本屋さんと成城石井がある駅が大好きだ。
なんなら早く出発してわざわざ過ごすくらいに。

成城石井が大衆化され始めたのは、まだここ10年くらいの間のイメージがある。
地味なスーパーに見える外観は、圧倒的に市民よりなのに、価格を見れば一級品。そんなスーパーだからこそ、一般市民に刺さる高級志向スーパーとして受け入れられたのだろう。

外食に行くのは嫌だけど、美味しいものを食べたい。
週末のちょっとしたご褒美に一品どうだろうか。
そんなタイミングで行きたくなるのが成城石井。コンビニで好きなものを買うでは満たされたない背徳感を見事に叶えてくれるのが成城石井。
詰まるところ、ストレス社会に暮らす我々が最終的に行き着く終着点こそが成城石井なのだ(言い過ぎ?)。

友人とディズニーシーに行った帰り道、ショーを見たことがない友人と「シーオブドリームス」の余韻に泥酔しかけている二人は、幸福感の中いくはずだった韓国料理屋さんに見事に振られた。

家に帰るまでがディズニーの理念のもと、韓国料理屋のことなんてすでに忘れた僕たちは、閉店30分前の成城石井に向かった。

いつものお気に入りメニューなんてものはないのだが、もはやビュッフェスタイルにしか見えてこない、逸品の数々を前にめまいしそうになる。天国の帰りにまた天国行きか、、、と。

もはや全てが運命として肯定化されている我々は、間髪入れずに、次々にカゴに食べたいものを放り込んでいった。

それにしても、どういう物流システムなのか。
増え続ける路面店に、真心を感じる手料理のようなお惣菜が並ぶショーケース。
和洋中全ジャンル揃い、サラダやケーキも、普段食べるにはちょっと想像の域を超えているんだよなぁ〜の絶妙なラインのラインナップを揃えてくるあたりに脱帽する。
(小籠包だとか、ちまきが5個入りなところも流石だし、サラダにもキヌアを入れるところに抜かりなさを感じる)。

閉店間際、割引シールの商品も選んでいたから、と余裕の表情で通過したレジのお会計は、見事に6,000円越え。
内心のドキドキは忘れることができない。
値段の分からないお店で好きなだけ食べたお会計はこんな恐怖にも似た不安感に襲われるのだろうなぁ。

成城石井を後にして、我々は「流石に嘘じゃない?」と恥ずかしながらレシートを舐め回すように確認した。

これはちょっとした貴族の嗜みだ。

そう割り切ると、この背徳感も眩しい瞬間に思えてくる。

お腹を空かせた我々は、友人宅につくやいなや間髪入れず電子レンジを稼働させ続けた。

今日のメニューの登場


食の多様性テーブル

山椒がきいた四川麻婆豆腐は熱々で中華鍋から上がった出来立ての美味しさ。すぐさま冷凍の白米を勝手に温め直した。

ベトナムのフォーはフレッシュなライムが美味しすぎる。
湯気と一緒に、柑橘の風味が立ち上り、啜るたびに爽やかな柑橘と出汁の旨みに癒される。米粉麺だってばっちりの歯応えが食べ心地がお店すぎる。

いつも食べたい思いを実は堪えていたキヌアのサラダ。
ヘルシーな胸肉のチキンに、キヌアとオリーブ、ドライトマトなど栄養たっぷりな贅沢サラダ。オリーブオイルのシンプルなドレッシングも嬉しく、普段のテーブルには絶対に登場しない、成城石井らしい一品だろう。

冷静にレビューしてはいるが、疲れた身体と脳内に直撃する美味しさの感動はひとしおで、高貴な嗜みを忘れ(お会計をしてしまえば、食べ方なんてどこにいった話か。罪深さがまた贅沢で)がっつくのがたまらなく幸福だった。

お腹いっぱいの後は、成城石井の戦利品、クラフトビールで談笑し、天国行きのまま眠りについた。

夢の国は帰ってからも夢だった。

あっという間の6,000円(食べ過ぎ)、夢の国に地に足ついた帰り道では、もはや夢の中と同じ。

癖になっては困る贅沢な嗜みを見つけてしまった。


美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。


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