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人生ご褒美の食仕方

こんばんは、ご覧いただきありがとうございます。これからのんびり気ままに投稿していこうと思います。


今日の食日記

僕はまだ23歳。
人生これからで、きっとたくさんの出会いが待っている。たくさんの人と出会い、まだまだ美味しいものに運命的な出会いを繰り返していくのだろう。
とは思いつつ、23年間の自分史を振り返ると、鮮明に浮かび上がる食べ物がいくつかある。
僕はそれらを人生〇〇と名前をつけて、胸の奥の人生アルバムにきちんと刻んでいる(人生に刻まれた感動体験は一生忘れることは無いだろう。多大なる功績が全身に残っているわけだ)。

2022年は激動の年で、目まぐるしく環境が変わり、辛いなーとか上手くいかないなーとな、諸々そんな弱音を吐きながらも頑張ってきた。
そんな時支えてくれたのはまさに食という楽しみ。
食べること、行くこと、嗅ぐこと、満ち溢れる多幸感を思い出すだけで頑張ろうと必死になれた(なんと恩恵を受けていることか)。

とりわけ毎日のように頭に出てきたのは、Kewのカスタードドーナツだ。2021年の夏に初めて出会い、目を開けられなかったことを覚えている。
何時も頭に出てくる。だってドーナツの重さじゃなかったし、テイクアウトだってできない。
しかも京都の龍安寺辺りという、まあなんとも遠い立地なわけで。要予約なのも壁が高い。
でもやっぱり、あの人生ドーナツのご褒美感に勝るものはおらず、会いに行きたくなってしまう。芸能人に会うことのように嬉しく、尊い。ファンの気持ちだ。

てなわけで、ご褒美ドーナツに会いに行ってしまった。それこそがご褒美の食仕方なのだ。


今日のお店

相変わらず行きにくいのだが、それを含めて行った甲斐があるもの。降り立った途端の特別感が爽快に突き抜けて足取りが早まる。
店内に入った途端、夏の甘い香りが思い返された。念願すぎて、終幕が嫌すぎて、もう食べたくない(なんなの)という本音が辛いほどに溢れ出し、必死に飲み込む。

1番奥の席、カウンターだ。この席を待っていた。
少々外の人との目合わせが気になるのだが、どこの席よりもオーブンが近く、バターの畑に放り込まれた気分になる。幸福が貫いていく(というか狂いそう。呼吸の旅にマドレーヌを焼く香り)。

前回も思った。次回はチーズケーキをたべよう、と。そう決意したのは、チーズケーキもとてつもなく美味しそうであるから。
だが、今回もドーナツにしてしまった。あのカスタードが罪なのだ。

せっかくの時間。心身にこの記憶全てを刷り込ませようと、とにかく店内を這いつくばるように見渡す。

丁寧に火で包丁を炙り、大きすぎるチーズケーキに刃を入れるパティシエが目の前に。
マドレーヌが焼き上がり、もう大混乱。泣きたくなる。最後の晩餐でもいい。

すると、あのドーナツ、僕の人生ご褒美が来た。

これこそが僕の人生ドーナツ(ご褒美)

心は踊った。叫んだ。誰もいなかったら大声を出したかった。
芸能人に会うよりも嬉しい、僕の人生ドーナツ。
再会と共にあの一口目を回顧し、もう帰りたくなる(おい。辛いです)。
食べられません。食べてしまったら、もう生きる意味が無くなりそうで、、、、
食べたくても食べられない。今日が終わるのが嫌だ。
とにかくダダをこねた。

はあ、食べたくない。
もう10分も見つめてしまった。この角度で。
上から見下ろすように、艶やかなカスタードとどう見てももっちりなドーナツを羨ましく思う。
カスタードをぺろぺろ。それだけで思い返した、あの味を。
ミルキーでバニラが香る、バニラアイスのような風味が濃厚で爽やかなカスタード。
持ち上げたあの、自分にかかる重力以上の力が働いているのではないか、そう疑う重さに愛おしさが湧いてしまう。

流石に変人に見られ始めたことがわかる(周りの人とまあ目が合うわけだ)ので、歯を食いしばりたっぷりとカスタードを口にドーナツを食べた。

もっちりぎっしりの生地は、シュガーか甘く、イーストの反動がとにかく食べ心地の良さにつながる。
噛み締めるのが嬉しい、抱き枕を思いっきり抱きしめるように食べられる、そんなドーナツ。
幸せ。幸せ。幸せ。

食べたら反対側から溢れ出すカスタードにキスをする。それの繰り返し。無くなることへの喪失感に勝てず、何度も手を止めては見る。の繰り返し。進まない。
生地からカスタードへの流れがスムーズすぎて、ドーナツを食べているのか、カスタードを食べているのか分からない。カスタード溢れるだけ幸せが溢れていくのだ。

とにかく粘って粘って、でも一口は大きく食べた。食べ切った。
意外にも夢から覚めなかった。続いていたのだ。

こんな思いをしたから、とにかくパティシエにお店の方々にお礼を言いまくってお店を出た(心で人生頑張ります。と激励を汲み取って返していた←ドーナツを通して励まされた)。

いやー、もうここまで味わえたことに感謝しかないし、自分にも流石だと思う。

良いスタートが切れそうな2023年。
ご褒美が待っているから。また走りだそうではないか。

美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:Kew(〒 京都市右京区龍安寺)



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