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対詩のための自作詩

普段は文章の創作はしないのですが、お友達と対詩をすることになり、筆をとってみました。

お互い5行づつくらいに分かれた詩を交互に創作しました。以下、私のパートのみ掲載します。

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大根を短冊に切る
窓からさしこむ冬のひざしの中で
屋根からぽたぽた
雪解け水の規則的に落ちる音が
包丁のまな板を打つ音と重なって
光とリズムの見事なアンサンブル

小さな手と紙粘土のあたたかさ
ヤマモモの実のあまずっぱさ
鮮やかな記憶の断片たちが狂おしい
あ、ほら小道からあの子たちが飛び出してくる
私の脳は現在と過去を判別できない

知らない空の下をひとり歩く
身を潜めて 見つからないように
夏の闇と同じ藍色の服を着て
この街に来てかなえようとしていたちいさな夢は
粉々になって塵に紛れてしまった

白く小さな畑つ守の花が枝を飾る頃
一面の田んぼに水が張り
ラベンダーの空と墨色の山の稜線を逆さに映していた
あの町はどこだろう
月の光は今も谷の森を青く満たしているのだろうか

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四季の詩なのですが、時系列で並べたら冬から春への順番になりました。最後の連も過去の光景ですが現在の自分が記憶を辿っています。

大根の部分は過去に描いたスケッチがありました。この頃は何もなかったけどほんとうに幸せでした。

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